【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

新緑のポンポン山

2012年04月29日 21時40分25秒 | 登山&アウトドア(関西)

ひさしぶりにポンポン山に登ってきた。(今年初めて)
クライミングに比べて、そんなに脚力は弱っていない(気がする)。
写真を撮ってきたので、見てみて。(新緑がいい感じ)







右ベンチ上のザックが私のデイパック 


「アジアにこぼれた涙」石井光太

2012年04月24日 22時25分45秒 | 読書(ノンフィクション)


「アジアにこぼれた涙」石井光太

石井光太さんの新刊。
アジア各地を取材して、全部で10作品収録されている。
時代は2000年から2008年にわたっている。
何らかの理由で「物乞う仏陀」「神の捨てた裸体」に洩れた話。
だから、「拾遺集」のような作品と思う。
内容はどうかなぁ、と思って手に取ったけど、うん、よかった。

ノンフィクション作家で、全作品を読んでいるのは石井光太さんだけ。
それだけ(私の中で)レベルが高い、と言える。
今回も期待した以上に充実していた。(今のところハズレなし)
いくつか文章を紹介する。

P189(タイの都市伝説「注射器娘」について)
注射器娘にはいろんな説があったけど、定説はパッポンのゴーゴーバーで働く23歳の女性だという話だった。ある夜、彼女がお客さんと一緒にホテルに行ったところ、十数人の男性が待ち伏せしていて、部屋のベッドで代わる代わる彼女を犯した。そのせいで、彼女はHIVに感染してしまった。彼女は半年後には田舎にもどって婚約者と結婚する予定だったのにそれも破綻した。
 それから、彼女は自暴自棄になり注射器に自分の血液を入れ、パッポンにいる外国人客や売春婦を襲いはじめた。みんなをHIV感染させ、自分と同じ苦しみを味わわせようと思ったみたい。それがこの注射器娘の正体にまつわる話よ。

この噂により、客足は遠のき、店の女の子達は辞めていった。バンコクの歓楽街パッポンが閑散とした。

P201-204
ゴーゴーバーを経営する男性にとって、この事件は衝撃だった。それまで、店の女の子は店長や客の言いなりになって働く奴隷のような存在だった。だが、エイズという問題に直面したことで、その力関係が完全に崩れたのだ。(中略)
「注射器娘の噂がなかったら、ああいう騒動は起こらなかっただろうな。店で働く女の子たちは注射器娘の話によって、真剣にエイズ問題について考えるようになった。ゴーゴーバーに勤める女の子たちがコンドームの使用を求めはじめたのは、その証だった」(中略)
「女の子の方からコンドームをつけてくれと頼んだのは事実です。今だから本音をいえば、お店の売り上げはそれによって確実に落ちると思っていました。だから、コンドームの使用がすっと受け入れられ、お客さんが戻ってきたときは信じられませんでした」(中略)
1989年には、政府が段階的にコンドーム・キャンペーンを開始。やがてそれは「100%コンドーム・キャンペーン」として全国に広がり、それまで14%だったコンドーム使用率がわずか5年で90パーセント以上に上がった。(中略)
こうした成果もあり、「十年後にはエイズで国が滅びる」とまでいわれたタイでは、少しずつエイズの嵐が収まっていった。1991年には14万人いた1年の新規感染者が、ここ数年は2万人を下回っている。こうして「世界でもっとも予防に成功した国の一つ」として見なされるようになったのである。

P240「幸せの国」ブータンについて
今でこそブータンは「幸せの国」として知られているが、歴史を見れば今日の体制を樹立するために多くの異端者を排除してきた事実がある。もともとブータンでは国王の政治的権力はそこまでつよいものではなかったが、1970年代に中央集権的な構造をつくることに成功し、一気に強大な力を握ることになった。
 当時、国内には様々な民族がおり、ネパール系民族も多かった。(中略)
  国王はこうした状況に危惧を抱いた。ネパール系民族が増えることで自らの王政が危ぶまれるのではないかと思ったのだ。そして、90年代の初頭に突如「一国家・一民族」という理念を掲げ、このネパール系民族を「不法な移民」として追放しはじめたのである。
 無論、ネパール系民族からすればこの政策は民族浄化に等しく、反対の狼煙を上げた。だが、国王は政策を変えるどころか、弾圧、拷問、投獄などの力によって押さえつけ、国民の2割以上にあたる十万から十五万人に上るといわれるネパール系民族を国外に追放し、国王を頂点とした「一民族」の国家をつくり上げようとしたのだ。そして国民には民族衣装の着用を義務づけ、近代化を押しとどめた国造りを「国民総幸福量」という概念のなかで推し進めていったのである。 

【ネット上の紹介】
アフガントラックに絵を描く父子、ジャカルタのゲイ娼婦、インド、フィリピンのストリートチルドレン、テロリストに息子をさらわれたイラク人。アジアの底で生きる人々の希望と絶望を描き出した10の物語。
[目次]
アフガントラックの絵師;ダルフールからやってきた兄と妹;ジャカルタの失恋者たち;イメルダが私に願ったこと;クリシュナと“長髪”の花園;歓楽街の注射器娘;はかない夢;誰がために金は鳴る;砂漠に消えた少年;白浜で踊る

【関連図書】

もし石井光太作品を読んだことがないなら「神の捨てた裸体」「物乞う仏陀」をお勧めする。
(どちらも文庫本になっている)


LEDランタン

2012年04月22日 20時13分15秒 | クライミングギア&登山装備

ランタンを購入した。
(キャンプの予定全く無いけど、何となく欲しくなったので)
ブラックダイヤモンドの「アポロ」を買った。
使う時は、足を立てて大きくする。普段はコンパクトに収納。
災害緊急時に役に立つかも、と思っている。
前回・・・阪神淡路大震災の折は、コールマンのランタンを押し入れから出してきて使用。
ホワイトガソリンとかでけっこう手間取った記憶がある。
今回は単三電池4本。


以下は、ロストアローのサイトから転用した。
全光束:80ルーメン
最大電池寿命:60時間(低照度)
電池      :単3アルカリ×4本NRGバッテリー(別売)
重 量     :320g/220g(電池込み/本体のみ)
カラー     :ウルトラホワイト(WT) ダークチョコレート(DC)
サイズ     :使用時=直径8.5cm×高さ24cm
              収納時=直径8.5cm×高さ13.5cm 

ちょっと点灯して、昔のランタンと比較写真を撮ってみた。




【参考リンク】
LEDヘッドランプ 


「望遠ニッポン見聞録」ヤマザキマリ

2012年04月20日 22時25分33秒 | 読書(エッセイ&コラム)

「望遠ニッポン見聞録」ヤマザキマリ

ヤマザキマリさん初エッセイ。
17歳で日本を出て、それ以来外国暮らし。
だからこそ見えてくる、日本と外国の違い。

P103
恋人同士に限らず、家族は何かのたびに抱擁してそれぞれの体の存在を確認し合う。
見知らぬ人とでも握手を交わすことでスキンシップは必ず取る。私の姑は私が2年ぶりに再会した母とただ手を振っただけで挨拶を済ませたのを見て「信じられない!」と叫んだことがあった。「あんた達、どうかしてるわよ!!ゼンも程々にするべきよ!」と。

P158
日本人では歯を全部見せる勢いの笑顔で写真に収まる人は滅多にいない。私もカメラに向かって笑う時はどうしても口を閉じてしまうのだが、10人の中で1人だけ口を閉じている写真というのは「この人、どうして歯を見せないんだろう」という変な疑問を見ている人に抱かせる感じになってしまう。

P162
知り合いでもフランスで前歯の隙間を褒められたという人がいるが、つい最近シャネルのモデルを務めたミック・ジャガーとジェリー・ホールの娘のジョージアもばっちり隙ッ歯なのだ。シャネルの宣伝に隙ッ歯モデルはあまりに意外でかなりの衝撃を覚えたが、八重歯はダメで隙ッ歯は逆に得点が高かったりするのも不思議な話である。

P177
彼曰く、日本人がアジア人だと思う要素は日常生活の中にも山のようにあるという。
例えば家の中に入った時。どんなに外ではマナーにうるさい家族であっても、家に入ると家具の上の隙間などに要らない箱などを積んだり押し込んだりしていたり、沢山の小物などがあちらこちらに溢れているのを見た時。
 鼻をかまずに啜り上げる人を見た時。
 テレビで食べ物のレポーターが咀嚼中の食べ物が口の中に入ったまま喋っているのを見た時。
 車の中にキッチュな縫いぐるみやお守りがぶら下がっているのを見た時。
 足をぺたぺた引きずり気味に歩く人を見た時。
 彼が挙げてきた具体例はまだいろいろあったが、とにかくそういった日本人に対する西欧人的な見方を示されると止むを得ず納得せざるを得ないものもあるし、またそういうアジア的部分が日本人の中に生き続けてくれていることを自覚するのは、実は内心嬉しかったりする。

【ネット上の紹介】
『テルマエ・ロマエ』の著者、最新刊は初エッセイ!お風呂だけじゃない! 平たい顔族の驚くべき日常。   「膨大な金を算出し、宮殿や民家は黄金で出来ている。また、ジパングの人々は偶像崇拝者であり外見がよく、礼儀正しいが、人食いの習慣がある」というのは、マルコポーロ『東方見聞録』の日本の記述。「いえいえ日本はそんな変な国じゃありませんよ」と言いたいところですが、漫画家・ヤマザキマリさんから見た日本は、やっぱりじゅうぶん変だった!異国暮らし歴十数年の著者が、近くて遠い愛すべきニッポンの妙を、バカバカしいくらいに真面目に綴った現代版見聞録。ポットン便所のトラウマが生んだお尻洗い機能付き便器、おっぱいだけが巨大化しつづけるオタク漫画、ドSな吹き替えが強烈なハリウッド映画など。とにかく日本は突っ込みどころ満載!

「花嫁」青山七恵

2012年04月17日 22時49分53秒 | 読書(小説/日本)


「花嫁」青山七恵

芥川賞作家が書いたと思えないほど、娯楽性も兼ね備えた作品。(これは褒め言葉)
次のシーンは、妹が兄をベッドに押し倒すところ。(兄が妹を、じゃない・・・注意!) 
そこに両親がドアを開けて入ってくる。 

P126-128
「やだ!!あなたたちいったい何してるの」

母さんが走ってきて俺の体を麻紀からひっぺがした。麻紀のパジャマの胸元ははだけて、湯上がりの上気した肌がのぞいていた。床に崩れ落ちた俺を父さんがひっぱりあげた。頭のなかで、聞き覚えのある電子音が鳴って目の前がチカチカ光った。何かと思ったら俺はげんこつで思いきり右のこめかみのあたりを殴られて倒れているのだった。俺は床に腕をついて、どうにか起きあがろうとした。すると続いて父さんが左のこめかみを殴った。今度は耳の奥でガチャッっと音がした。なつかしい、毎日聞くあの機械音・・・・・・OKです、お入りください、OKです、お入りくださいと俺を歓迎してくれる音・・・・・・ああ富子!富子!俺はもう、こんな狂った家にはいられない。

もうこのシーン最高!筒井康隆さんのスラップスティック・コメディを彷彿させる。
最初、これは近親相姦の話か?と思うかもしれない。
そうではなく、「家族」の話。
兄が花嫁をもらう、これが契機となり家族の秘密が露わになってくる。
もうほとんどミステリ。
全部で4編からなる連作長編で、語り手がリレーのように変わっていく。
妹→兄→父→母
次の文章は「父の章」の語り。

P132
かつて私は、人間が年をとるということは、それだけ何かを得ることだと思っていた。しかしいつからだろう、今では、年をとるということは、それだけ何かを失うことと同義になってしまった。私はこのまま順当に年齢を重ね、何かを失い続けた結果としての、無という状態について思いを馳せた。 

P143-144
かつて妻の心の奥底に蒔かれていた嫉妬の種は、とうの昔にすべて死滅したものだとばかり思っていたが、そのうちの一つや二つはまだしぶとく細い根を張っているのだろうか。どちらにしろ、さおりの表情からそれを読みとるのは、もはや不可能に近い。やはりある程度年を重ねると、めったなことでは、心と表情は連動しなくなるらしい。表情だけではなく、発する言葉だって、心との関連はだいぶ薄い。そのかわりにかろうじて心と連携を保っているのは、沈黙だろう。心身に何かしらの動揺が生じたとき、私は自らの沈黙でそれを知る。言葉と言葉のあいだ、もしくは呼吸と呼吸のあいだが、私の動揺を語る。

P167-168
私は麻紀を「愛しすぎた」と言った。
しかし愛する気持ちを示す単位などどこにもない。適度な愛などどこにもない。
愛しすぎるか、愛が足りないか。
我々は、常にどちらかしか選べない。

私が一番好きなのは「お父さんの星」の章だけど、
一番怖いのは、最後の母の語り「旧花嫁」の章である。 

【ネット上の紹介】
仲良し四人家族の中に、ある日いきなり「花嫁」がやってきた。今までそれぞれがひた隠しにしてきた過去が掘り返されていく…。情熱と契約で結ばれた家族の果て。


お伊勢参り

2012年04月16日 23時51分56秒 | お出かけ

お伊勢参りに行ってきた。(自宅から片道2時間半)

今回は皇大神宮・内宮(こうたいじんぐう・ないぐう)のみ。
・・・次回は豊受大神宮・外宮(とようけだいじんぐう・げぐう)も行ってみたい。

御厩(みうまや)の神馬

神域のニワトリ・・・神様の使いとされる。

 
1度は見たい『日本の風景』定番・・・・二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)の夫婦岩 

【参考リンク】

伊勢神宮公式ホームページ

伊勢の神宮
神宮会館
伊勢神話 (写真集)


第43回大宅壮一ノンフィクション賞

2012年04月13日 23時57分26秒 | 読書(ノンフィクション)

第43回大宅壮一ノンフィクション賞が発表された。
ひとつが、「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」(増田俊也)、
もうひとつが、「『つなみ』の子どもたち」(文芸春秋刊)と「つなみ 被災地のこども80人の作文集」(森健)。


「つなみ」は、昨年7月このブログでも紹介したことがある。→文藝春秋増刊 2011年8月号
「『つなみ』の子どもたち」は、その後を取材し、再生への日々を追った作品。
気になるので、いずれ読んでみたい。

また、「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」はタイトルが内容を説明している。 
このようなタイトルをつけられると、私も気になる。「なぜだろう?」、と。 
(前後の経緯は「空手バカ一代」で知られているので、多くの方が気になっている、と思う)
こちらも、いずれ読んでみたい。 

【参考リンク】
中日スポーツ増田記者が大宅壮一賞 柔道着はおり受賞の喜び
大宅壮一ノンフィクション賞に作文集「つなみ」
大宅壮一ノンフィクション賞


小玉ユキさんと古市憲寿さん

2012年04月11日 21時54分11秒 | TV/ドラマ

最近TV関連の紹介が、以前より増えてきた。
クライミングと読書時間が減って、TVを見る時間が増えたからでしょうか。
そんなわけで、2つほどTVの話題を提供。

●【TV話題(1)】
今晩の「クローズアップ現代」、テーマは『18歳は大人か!? ~ゆれる成人年齢引き下げ論議~』。
国谷裕子キャスターの相手をするゲストが、やたら若かった
今まで招かれたゲストで最も若いかも、と。
紹介された名前を見ると古市憲寿さん。
う~ん、どこかで聞いたような。
あぁ、そうか、と。次の作品の著者である。(なっとく)

古市憲寿『絶望の国の幸福な若者たち』 (03/16)

●【TV話題(2)】
TVの話題をもうひとつ。
「坂道のアポロン」がアニメ化された。

関東は4月12日から。
関西は4月17日火曜 25時58分 - 26時28分(関西は来週)
詳細は次のとおり。
【公式サイト】
http://www.noitamina-apollon.com/(音が出るので注意、音楽は菅野よう子さん)
【内容】恋と友情と音楽。思春期というものは、いつの時代も眩しくて少し苦い。60年代後半、地方の町を舞台に、ナイーブ男子とバンカラが繰り広げる直球青春物語。 1966年初夏、横須賀(よこすか)から地方の高校へ転入した薫(かおる)。幼い頃から転校の繰り返しで、薫にとって学校は苦しいだけの場所になっていた。ところが転入初日、とんでもない男と出会い、薫の高校生活が意外な方向へ変わり始め…!?
【ウィキペディア】
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9D%82%E9%81%93%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%9D%E3%83%AD%E3%83%B3 

放送地域放送局放送期間放送時間備考
関東広域圏 フジテレビ 2012年4月12日 - 木曜 24時45分 - 25時15分 制作局
東海広域圏 東海テレビ 木曜 26時05分 - 26時35分  
佐賀県 サガテレビ 2012年4月13日- 金曜 25時05分 - 25時35分  
福岡県 テレビ西日本 金曜 26時05分 - 26時35分  
山形県 さくらんぼテレビ 2012年4月14日- 土曜 25時05分 - 25時35分  
秋田県 秋田テレビ 土曜 25時35分 - 26時05分  
鹿児島県 鹿児島テレビ  
熊本県 テレビ熊本 土曜 26時05分 - 26時35分  
福島県 福島テレビ 2012年4月16日- 月曜 25時10分 - 25時40分  
広島県 テレビ新広島 月曜 25時15分 - 25時45分  
愛媛県 テレビ愛媛 2012年4月17日- 火曜 24時35分 - 25時05分  
新潟県 新潟総合テレビ 火曜 25時30分 - 26時00分  
宮城県 仙台放送 火曜 25時45分 - 26時15分  
関西広域圏 関西テレビ 火曜 25時58分 - 26時28分  
岩手県 岩手めんこいテレビ 2012年4月18日- 水曜 25時50分 - 26時20分  
静岡県 テレビ静岡 2012年4月19日- 木曜 25時10分 - 25時40分  
長崎県 テレビ長崎 2012年4月22日- 日曜 26時20分 - 26時50分  
日本全域 BSフジ 2012年4月28日- 土曜 26時00分 - 26時30分  

「舟を編む」三浦しをん

2012年04月10日 21時18分26秒 | 読書(小説/日本)


「舟を編む」三浦しをん

人気作品を読んだ。
よかった、おもしろかった!
テーマは辞書編集。かつてないテーマのエンターテイメント。 

P27
「辞書は、言語の海を渡る舟だ」
 魂の根幹を吐露する思いで、荒木は告げた。「ひとは辞書という舟に乗り、暗い海面に浮かびあがる小さな光を集める。もっともふさわしい言葉で、正確に、思いをだれかに届けるために。もし辞書がなかったら、俺たちは茫漠とした大海原をまえにたたずむほかないだろう」

P203
辞書づくりに取り組み、言葉と本気で向きあうようになって、私は少し変わった気がする。岸辺はそう思った。言葉の持つ力。傷つけるためではなく、だれかを守り、だれかに伝え、だれかとつながりあうための力に自覚的になってから、自分の心を探り、周囲のひとの気持ちや考えを注意深く汲み取ろうとするようになった。
岸辺は『大渡海』編集部を通し、言葉という新しい武器を、真実の意味で手に入れようとしてるところだった。

人気作品だけあって、充分楽しめて、読後の満足度も高く、カタルシスも得られる。
さすが三浦しをんさん、である。

【蛇足】
P146
「おつかれさま。今日は自宅にいる。何時でもいいので、あせらずにどうぞ。待ってます」
 西岡は微笑み、文面を二度読んだ。絵文字はひとつもない。麗美の文章はいつもと変わらず、案外硬派なものだった。(後略)

・・・実を言うと、(メールでもブログでも)生まれてから一度も絵文字を使ったことがない。(生まれた当時、パソコンないけど)
他の方が使うのは、かまわないけど、自分が使う分には、抵抗を感じる。
皆さん、どうなんでしょう?

【ネット上の紹介】
玄武書房に勤める馬締光也。営業部では変人として持て余されていたが、人とは違う視点で言葉を捉える馬締は、辞書編集部に迎えられる。新しい辞書『大渡海』を編む仲間として。定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる老学者、徐々に辞書に愛情を持ち始めるチャラ男、そして出会った運命の女性。個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく―。しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか―。


ナカガイジム・新サーキット

2012年04月09日 21時57分02秒 | ジム練習

このところ、1週間に1回ペース、3時間の練習で、ほそぼそと続けている。
さて、ナカガイジム・高槻店に行ってきた。
白テープ・黒文字のサーキットが10課題出来ていた。

結果は、10課題トライして、7課題成功。(1撃できたのは3本くらい)
残りの3課題が出来なかった。
出来なかったのは、3、8、9、である。
次回登れるかどうか・・・それは不明。
9番は、フレッシュパワーならOKかも?
3は、ムーブを変えてトライしよう、と思う。(手送りムーブでは確率悪し)
8は、身体の慣れ+指の保持力なので、自信なし。 

【全体の感想】
以前のサーキットより難しく感じる。
それが私の実力低下のため難しく感じるのか?
それとも、純粋に課題レベルが上がっているのか?
以前なら、きちんと断言できたのだが・・・。
なんとも、判断がつかない。 

【参考リンク】
ボルダーサーキット情報 (04/07) 


「リアル猟師奮闘記 山賊ダイアリー」(1)岡本健太郎

2012年04月08日 08時31分55秒 | 読書(マンガ/アニメ)


「リアル猟師奮闘記 山賊ダイアリー」(1)岡本健太郎

岡山に住む猟師が日々の生活を描いている。
絵で紹介されているので、解りやすい。
どのように獲物に近づくのか、とか。
どうやって解体するのか、とか。
具体的に描かれているので「ふ~ん、そうなのか」、てな感じ。(勉強になる)
いくつか文章を紹介する。(このあたりからタイトルが来ているようだ)

P92
ぼくが知る限り 猟に理解ある女性は見たことがありませんね 

P8-P9
彼女に猟師になる、と打ち明けるシーン
「ええっ・・・!!最悪!!動物を殺すなんて!!」
「さ・・・最悪?君だって肉よく食ってるじゃん・・・」
「ウシやブタは別でしょ!!また屁理屈!?」
「またってなんだよ・・・同じだよ 人は他の生き物の命をうばって生きているんだよ
あのね猟で命をうばうのもスーパーで肉に金を払うのも行為としては同じ事で・・・」
「は~~~こんな野蛮なこと言う人だとは思わなかった見損なった」
「な・・・・・・なにぉ~・・・」 
「じゃあなっ・・・オレは田舎の猟師として生きていくから」
「さようなら山賊さん」

・・・これが冒頭のシーンで、2人は別れ、著者は岡山で猟師となる。 
上記の会話、どう考えても、彼女の理屈はヘン。 
動物を解体するシーン、「カワイイ」と対極。 
「カワイイ」を追求しすぎて、道理が解らなくなってるのかもしれない。
(あるいは、単にアタマ悪いだけか?) 


「いるのいないの」京極夏彦/作 町田尚子/絵

2012年04月05日 22時12分16秒 | 読書(絵本)


「いるのいないの」京極夏彦/作 町田尚子/絵 

いろんな絵本があるけど、このようなコンセプトのシリーズがあるとは知らなかった。
怪談絵本シリーズの3巻目。
荻原規子さんが、ブログで「怖かった」と書いておられた。
そこで、ちょっと読んでみようかな、と。
・・・う~ん、たしかに怖い。
このシリーズの他の作品(1)(2)も読んでみたけど、
この3巻目が一番怖いかも。



【参考リンク】
怖い絵本

【ネット上の紹介】
おばあさんの住む古い家でしばらく暮らすことになった。家の暗がりが気になって気になってしかたない。―京極夏彦と町田尚子が腹の底から「こわい」をひきずりだす。


羽海野チカさん原画展

2012年04月04日 23時20分53秒 | 読書(マンガ/アニメ)

羽海野チカさん原画展に行ってきた。
大丸梅田店15階・・・入場券購入だけで30分待ちでした。



【参考リンク】
http://3lion.younganimal.com/exhibition/ 

・・・それにしても、クライミング・ブログなんだろうか? (スマン)


ヒーローたちのオリンピック

2012年04月04日 12時16分23秒 | TV/ドラマ

NHKでヒーローたちのオリンピックが放送される。
全4回のシリーズ。 
第1回は「美しき女たち~体操女子~」

チャンネル:総合
放送日: 2012年4月4日(水)
放送時間:午後10:55~午後11:25(30分)
https://pid.nhk.or.jp/pid04/ReminderInsert/Confirm.do?area=001&date=20120404&media=21&eid=19769&areasel=false


「朱龍哭く 弁天観音よろず始末記」西條奈加

2012年04月03日 21時27分05秒 | 読書(小説/日本)


「朱龍哭く 弁天観音よろず始末記」西條奈加

西條奈加さんの新刊。
連作長編時代小説。
最初、1話完結の短編集と思っていたら、
どんどん話が膨らんで大きくなっていった。
1話1話楽しめて、全体としても楽しめる趣向になっている。
ヒロイン2人の対比が面白く、それによってストーリーも動いていく。

【ネット上の紹介】
お侠な小町娘のお蝶と、物腰穏やかな色白美人の沙十。人呼んで“弁天観音”美人姉妹と、次々と現れるクセ者の男たち。一本気な枡職人、ワケあり破戒坊主、無愛想な若侍、好色な若旦那。かしましくも賑やかな日々の裏、お蝶を狙う影が迫っていた…。

【蛇足】
過去に読んだ作品と比べると、ちょっとキレが無いような気がする。
例えば、「烏金」「はむ・はたる」「善人長屋」「金春屋ゴメス」と比べると。
でも、今後も西條奈加作品は読んでいくつもり。