P85
姐さんのように生きられたら、とサダは思う。
吉原に売られてきた娘が女郎に上がると新造と呼ばれるが、これは“新しい舟”という意味の言葉である。
だから吉原の妓(おんな)はみな舟なのだ。
だのに、決して流されず、漂わず、生きていける妓も、ほんのわずかながらいる。
P261
「(中略)伊庭家の当主の軍平は、おいらがどれだけ放蕩しても、文句ひとつ言わねェ親父だ。けど、そんな親父が一つだけ守れと言っていることがある」
「軍平どのが?」
八郎が頷く。
「聞いて驚け。『ここぞ、というときは愚直になれ』てェのが、我が家の家訓だ」
「なんなんだ、その妙な家訓は」
「普段は幾らでも利口で構わないが、ここぞというときは愚かもんになれってェ、そこだけは曲げるなと言い聞かされているんでね。老中相手と知って、あいにく利口に手は引けねェ」
今回も剣戟シーンの筆は冴えていた。
近藤勇、土方歳三、沖田総司も登場・・・役者が揃った!
【ネット上の紹介】
稲本楼のサダから六所宮のお守りが欲しいと頼まれ、府中まで出かけた伊庭八郎だが、鱗三郎が行方不明になってしまう。知り合った天然理心流・試衛館道場の土方歳三などと鱗三郎の行方を捜す八郎だが、どうやら攘夷を狙う浪人たちが絡んでいるらしい。気鋭の女性作家の書き下ろしシリーズ第三弾。
「エンジェルフライト~国際霊柩送還士」佐々涼子
外国で死ぬと遺体はどうなるのか?
外人が日本で死んだらどうするのか?
遺族の意向により、家族の元に送り届けるのが国際霊柩送還士。
第10回開高健ノンフィクション賞受賞作。
書評でも取り上げられている注目の作品である。
P8
外国から戻ってくる遺体には、エンバーミング(防腐処理)を施してあるのが普通だ。亡くなった人の静脈に管を入れて防腐剤を注入することにより、遺体は生前と変わらぬ外見を保つ。
P37
外務省の「海外邦人援護統計」(2001~10年)によると1年に約400人から多い時で600人の邦人が海外で亡くなり、エアハースでは毎年約200体から250体の遺体を運ぶ。特に海外から運ばれてくるとなれば病気のほか、事故、事件、災害など、自然死でない遺体も多くなる。
P121-122
もともと葬儀には説明のつきにくい慣習が多いものだ。
全国的によく知られているのは、死者の枕元に逆さにした屏風を立てる「逆さ屏風」だ。あるいは、湯灌のためのぬるま湯を作る時の「逆さ水」というのもある。通常湯をぬるくするには湯に水を足すが、この時に使うぬるま湯は、水に湯を足して作るのである。年長者の中には、今でも水に湯を足すことを「縁起でもない」と忌み嫌う人もいる。逆さのにする儀式はほかにもあげられる。死装束の左前や、地方によっては「逆さ布団」というしきたりもある。
P139
親を失うと過去を失う
配偶者を失うと現在を失う
子を失うと未来を失う。
読んでいて、もし自分が当事者なら・・・と考えながら読んだ。
海外に登に行くクライマーは多い。
万一に備えておく必要がある。
少なくとも、保険に入って、緊急連絡を知らせておく必要がある。
自費でエンバーミングして、遺体を日本に戻すには相当な費用がかかる。
【ネット上の紹介】
第10回開高健ノンフィクション賞受賞作 国境を越えて遺体を家族のもとへ送り届けるのが国際霊柩送還士の仕事。日本初の専門会社で働く人々と遺族の取材を通して、筆者は人が人を弔うことの意味、日本人としての「死」の捉え方を知る。
「島へ免許を取りに行く」星野博美
星野博美さんは1966年(丙午)生まれ。
人間関係が破綻し、友達を失い、愛猫にも死なれ、閉塞状態となる。
それを打開するために、40台半ばにして思い立つ。
「免許を取ろう」と。
ネットで検索したら、長崎の五島列島に希望に添った自動車教習所が見つかる。
(無料で馬にも乗れて、目の前が海というロケーションのよさ)
この作品は、そこでの寮生活、日々の奮闘を描いている。
P18
合宿免許・・・・・・。二十年前ならともかく、もう四〇も半ばだよ。高校卒業したての子たちと一緒に合宿するなんて、悪い冗談にしか聞こえなかった。
私はもともと協調性に著しく欠け、クラブ活動やサークル活動もろくにしたことがない。当然、合宿経験は一切なし。通学する時も、同級生がいない遠くの車両にわざわざ乗るくらい人間関係が煩わしく、会社勤めだって、ロッカールームや女子トイレでたむろする女性たちの井戸端会議がいやで挫折したほどだ。旅行にしても一人旅が鉄則。団体行動がとにかく苦手なのだ。
P61
人間、何かができれば嬉しいし、できなければ悲しい。できないことばかりを考えていたら前には進めない。だからできないことは、「自分には向かない」と言い訳して存在を無視する。そうやってこれまで生きてきた。
いつまで経っても上達せず。先生から2点アドバイスを受ける。
運転にメリハリがない点と視点が近すぎる点、である。
・・・そして天使が舞い降りる。
P155-156
「近くを見るから怖いんだ。遠くを見ろ!そうしたら怖くなくなるぞ」
言われた通りにすると、すーっと恐怖が消えて無くなった。
「メリハリというのはつまり、大胆と慎重、勇気と臆病、自信と謙虚といった、二つの正反対の価値観を使い分ける、ってことですか?」
「すごく難しく言えば、そういうことです」
(中略)
勇気ある前進と、細心の安全確認。大胆な走りと、慎重な危険予測。自分は大丈夫という楽観主義と、どんな悪いことも起こりうるという悲観主義。その際限ない繰り返しが、車を運転するということか。
(中略)
脳の中で「カチッ」という音が聞こえたような気がした。その瞬間、脳内画面を埋め尽くしていた意味不明な文字列が、すーっと意味のある文字列に変わっていった。
(中略)
「先生、いま、何かを理解したような気がします」
「そうですか?それならよかった」
「先生が天使に見えてきました」
「天使?僕はただの指導員ですよ」
「いや、いま確かに天使が舞い降りました」
免許を2週間で取得する予定が1ヶ月過ぎようとしていた。
いつしか『寮長』とあだ名されるようになり、若い子たちの面倒もみて、人生相談にものるほどになる。
23歳でバツイチ3歳の子持ち、母を亡くし、生活のために免許を取りにきたガラパちゃん。
P205
「自分、普通の人が一生かけて経験することを、この歳で全部やっちゃったって感じです。この先、いいことなんてあるんですかね?」
自分に発言する資格などないように思えたが、あえて言った。いいことだらけの人生はないし、悪いことだらけの人生もない。いろんなことをゆっくり経験する人もいれば、一気に経験する人もいる。いまは嵐のように思えるかもしれないが、嵐のあとには必ずナギが来る。これからいいことはいくらでもやって来る。それをしっかり掴めばいい。
なんとか運転も出来るようになり、卒業検定も合格、落ちこんでいた精神状態も回復。
平成22年5月25日、東京の鮫洲運転免許試験場で筆記試験を受け、合格する。
P233
誰もが無理だと思っていた車の免許を、本当に取ったぜ!誰かに見せびらかせたい。「どう?」と愛猫、のりに見せてみる。「うるさいなあ、まだ眠いんだよ」という顔で見事に無視される。
あとは実践を積んでさらに上達するだけ。
でも、なかなか上手くならない。
教習所の校長先生に電話をかける。
P248-249
質問 いつまでも運転がうまくならず、「下手くそ」と言われ続けています。
回答 運転を形容する言葉は二種類しかありません。それは「安全」と「危険」であって、「上手」「下手」ではない。目指すべきは「安全な運転」であてって、「上手な運転」ではない。運転技術の向上などまったく目指さなくてよか。「上手だけど危険」、これが一番いかん。「下手でも安全」、それでよかとです。
(この作品の舞台となった自動車学校を、次にリンクしておく。(ホントに、目の前が海だ。私も行ってみたい気分)
・・・五島自動車学校
〒853-0026
長崎県五島市浜町424番3
【ネット上の紹介】
人間関係の悩み、愛猫の死、人生に行き詰まったアラフォーの著者が決意したのは、「合宿免許を取りに行く」こと。長崎県・五島の小さな自動車学校に待っていたのは、意外な出会いや発見だった。
「士道の値~伊庭八郎幕末異聞」秋山香乃
シリーズ2作目。
17歳の頃の伊庭八郎が描かれている。
辻斬り事件が頻発する。
その太刀筋から心形刀流の遣い手が疑われる。
いったい誰なのか?
門弟の1人なのか?
江戸時代の検死事情が書かれているのが興味深い。
現代からは考えられないようなずさんな状態。
土左衛門、即ち水死体が見つかると、竿で突いて流してしまうという。
P196
江戸は水の町と言われるほど水路が多いが、そこに落ちた死体はよほどのことがなければ引き揚げられない。
竿で一、二回つついて流れていけば、不問にしていいことになっていた。
面倒だから、たいてい何度かつついて流してしまう。
【ネット上の紹介】
江戸の町を震撼させる連続辻斬り事件が起きた。下手人はその太刀筋から心形刀流の遣い手と思われる。伊庭道場の若き天才剣士・伊庭八郎は事件の探索に乗り出した。そんな折、二年前に吉原の禿だった娘と再会する。美しく成長したサダに八郎の心は激しく揺れる。気鋭の女性作家の書き下ろしシリーズ第二弾。
私の生涯読書ランキングで、常にトップクラスに位置するのが、米原万里さんの「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」。
電子図書になったのを機に、ノンフィクションライターの最相葉月さんが評されている。
リンクしておくので読んでみて。
- 【本の達人 電子書籍を読む】
嘘つきアーニャの真っ赤な真実 [著]米原万里
2013年1月28日(月)、BS1で小田桃花ちゃんの特集があった。(知らなかった)
4月21日(日)、BS1で再放送がある。
興味のある方は観てみて。
(我が家ではBSが映らない・・・どなたかDVDに落として貸して下さい)
■「誰も見たことがない頂へ スポーツクライミング小田桃花」
4月21日(日)【BS1】午前0時00分(20日深夜)からアンコール放送します。
「未熟者~伊庭八郎幕末異聞」秋山香乃
女性作家で、時代小説を書かれる方は何人もおられる。
その中でも、秋山香乃さんはトップクラスの巧さ。
詳細な時代考証、生き生きとした人物造形。
注目すべきは剣戟シーン。
おそらく、女性作家では、決闘シーンの巧さナンバーワン、と思う。
・・・というか、ほとんどの女性作家は、時代小説にもかかわらず、剣戟シーンを描かない。
代わりに、心理描写、愛憎表現、恋愛シーンでバランスを取っている。
秋山香乃さんは、両刀遣いで、戦闘シーンも、細やかな心理描写も可能な希有な作家なのだ。
さて、ご存じのように伊庭八郎は幕末を生きた実在の人物。
本作はシリーズ初回で、15歳ころの伊庭八郎が描かれる。
剣の天才で、心形刀流の御曹司。
北辰一刀流の古今無双の剣士・山岡鉄太郎(後の鉄舟)との対決シーンが見所。
見事な表現力で、手に汗握って読んだ。(読み終わった後も、再度読み返した)
ホント、すばらしい。
【ネット上の紹介】
心形刀流の若き天才剣士・伊庭八郎、十五歳。病弱のため剣の道から離れていたが、五年ぶりに仕合に臨んだ相手は、北辰一刀流の古今無双の剣士・山岡鉄太郎(後の鉄舟)だった。山岡の鉄をも貫くと言われた豪剣“鉄砲突き”を八郎は打ち破れるのか!?気鋭の女性作家の書き下ろし新シリーズ第一弾。
「ぬけまいる」朝井まかて
引き続き、朝井まかて作品を読んでみた。
女性3人が、仕事と家庭をほっぽり出して伊勢参りに旅立つ。
ほとんど無一文に近い状態。
道中で足ツボマッサージをしたり、アルバイトをしながらの旅。
いったいたどり着けるのか、話の落としどころはどうなるのか?
各地の風物、人情を描きながら物語が進行する。
P40
裾短かにつけた着物の上に湯帷子をゆるく羽織り、脇腹のあたりで紐を蝶々に結ぶのが旅の装いだ。着物が汚れるのを防ぐ目的もあるが、行く先々の土地の者に旅人であることを知らせる目印にもなる。
【ネット上の紹介】
母と二人で一膳飯屋を切り盛りしているお以乃。譜代の御家人の良き妻・お志花。江戸で知らぬ者のない小間物屋の女主人・お蝶。若い頃は「馬喰町の猪鹿蝶」で鳴らした三人が、それぞれの鬱屈を胸に、仕事も家庭も捨ておいて、お伊勢詣りに繰り出した。かしましい道中は波乱の連続
「すかたん」朝井まかて
この方の作品を読むのは初めて。
どうだろう?、とおそるおそる読んだが、思った以上に良かった。
夫の赴任にともない、江戸から大阪にやってきた知里。
ところが、夫が急な病で亡くなる。
生活のため働き出す。
それも、問屋の住み込み女中に。
江戸の武士の妻だった者が、大阪の商人の女中としてやっていけるのか?
言葉の問題、文化の違いを織り込みながらストーリーが展開していく。
なじみのある地名、当時そんな名産があったのかと感心しながら読み進む。
話のエンディングは最初から見えているけど、それでも楽しく読める。
大阪の商人言葉も駆使して、よく出来ている。
P78
「儂は四十年ほど前、河内屋に奉公させてもらうためにこの道を逆に上がったんや。十(とお)の歳やった。親に貰うた名ぁが長市やから、丁稚名は長松やったな」
「丁稚どんの名前って、そういえばみんな松か吉がついてますよね」
「そうや、本名の上の字を取って、下に松をつける。五年ほど勤めたら吉の字をいただいて長吉、十年経って手代に引き上げてもろうたら長七で、二十年で番頭になったら長助、三十年勤め上げたら長兵衛を名乗り、暖簾と支度金を分けていただいて別家として一家の主になるんや」
【ネット上の紹介】
江戸詰め藩士だった夫の赴任にともなって、知里は初めて大坂の地を踏んだ。急な病で夫が亡くなり、自活するしかなくなった知里は、天下の台所・大坂でも有数の青物問屋に住み込み奉公することに。慣れない仕事や習慣の違いに四苦八苦し、厳しいおかみさんから叱責されながらも、浪華の食の豊かさに目覚め、なんとか日々をつないでいく。おっちょこちょいで遊び人だが、野菜にかけては暴走気味の情熱を燃やす若旦那に引き込まれ、いつしか知里は恋に落ちていた。仕事に恋に精を出す浪華の江戸娘奮闘記。
「悪魔のような花婿(あなた) エメラルド島の花嫁」松田志乃ぶ
シリーズ最新刊。
キルケニア島に移動した一行。
キルケ公爵は吸血鬼の噂がある人物。
その噂を裏付けるかのように、異様に若く見える。
本当に吸血鬼なのか?
さて、帯には、『完結まであと1冊』、と書かれている。
次巻で終了なのか・・・名残惜しい。
でも、読んでみると、実質今回で終了。
ついに××を迎えてしまう!
次巻は、こぼれたエピソード集になりそう。
あとがきには、次のように書かれている。
その後のジュリエットとウイリアムの結婚生活(赤ちゃんは生まれたの?)、リオンとイーヴのその後、ヒューとサラの話を短編で補足したいと思っています。
【ネット上の紹介】
王妃との対決を終えたジュリエットたちはキルケニア島へ。貴重なキルケニアン苔を手に入れ、カスタードに呪いを解かせるためだ。島でキルケ公爵の歓迎を受けるが、老人と聞いた公爵が美青年の姿で現れて!?
freefan67号発行&“安全ブック3”
JFAから「安全ブック」と「feefan」67号が送られてきた。
安全ブックで、まず読んだのは柏木の事故報告。
事故当時、メールをもらって経緯を知っているが、再度読んだ。
(何度読んでも心拍数が上がる)
防げそうで、防止できないのが、うっかりミス。
ベテランの方ほど、油断してミスしてしまう。
うっかりするから、うっかりミスである。
落ち着いて考えれば、普通やりそうにない・・・でも見逃してしまう。
特に2ピッチ目スタートだと、ビレイヤーとの相互チェックが困難。
そこに落とし穴がある。
出来る限り、ビレイヤーとの相互チェック・・・指さし、声出し、お互いチェックしたい。
他にも、安全ブックには、様々な事故報告が書かれている。
とても、他人事と思えない。
自分が当事者になる可能性が有るから。
登っている限り、危険を排除することは出来ない。
でも、危険を遠ざけることは出来る。
安全確認、相互チェック等、習慣と工夫により事故ゼロを目指したい。
【覚書】
今年度2013年会費3000円を郵便局から振り込んだ。
【参考リンク】
freefan67号発行(13/03/21)
- [連載]
新・日本の岩場を斬る
日本のボルダリングの原点 王子ヶ岳
[文:新田龍海 写真:福谷陽一、谷田典夫] - 王子ヶ岳の魅力 [文:福谷陽一]
- [MADE IN JAPAN]
「Jazzy Sport」代表 吉田直 [聞き手:藤枝隆介] - [エリア公開]
福岡・唐泊
[文と写真:田嶋一平 写真:枝村康弘、高木俊樹] - [アクセス報告]
伊豆・城ヶ崎海岸の現状報告 [文:JFA環境委員会] - [エッセイ]
電子書籍2013 [文:榎戸雄一] - [ローカルレポート] 2012年9月~2013年2月
[構成:宮脇岳雄、井上大助、尾崎基文、阪井学、
北岡和義、牛澤敬一、編集部]- 「ながの村」村長にクライマーが就任 [文と写真:阪井学]
- 京都府・笠置の岩場清掃2012報告 [文:池田祐夫 写真:黒田晋生]
- 島根半島 片句リボルトの報告 [文:阪井学]
- 城ヶ崎大穴口のアプローチについて [文と写真:freefan編集部]
- 備中・長屋坂 リボルトの報告 [文:阪井学 写真:新田育夫]
- 遠目ボルダー御披露目会 [文:牛澤敬一 写真:小池徳久]
- 埼玉・天覧山の岩場の利用について [文:freefan編集部]
- ランディング&スポット講習会 [文:青山勝也 写真:宮脇岳雄]
- 紅ノ峰の岩場の駐車スペースについて [文:北岡和義]
- 山神社左岩終了点整備報告書 [文と写真:西村良信 写真:河野誠一]
- 北山公園の駐車場について [文:尾崎基文]
- 古賀志山でリボルト勉強会を実施 [文と写真:佐々木穂高]
- [The Competition]
2012年度下半期 コンペレポート [文と写真:伊東秀和]
「日本の七十二候を楽しむ 旧暦のある暮らし」白井明大/文 有賀一広/絵
書店に行くと平積みされている人気の書籍。
挿絵もいい感じ。
手元に置いて損はない。
P208
節分について
昔は、季節の変わり目にあたる立春、立夏、立秋、立冬の前日がすべて節分とされていました。一年の節目にあたる春の節分に重きが置かれはじめたのは、室町時代からだそう。季節の変わり目には悪鬼が出てくるといわれ、豆が「魔滅」の音に通じることから「鬼は外、福は内」のかけ声で豆まきをするならわしがはじまったとか。
P158
秋の山が紅葉するようすを、山粧うといいます。また、春の山のさわやかな初々しさは、山笑う。夏の山のあおあおとしてみずみずしいさまは、山滴る。冬の山の枯れた寂しさは山眠る。めぐる季節それぞれの山の表情を捉えるのは、郭熙(かくき)という、11世紀の中国、北宋時代の画家のことばに由来しています。
秋の七草
春の七草
【ネット上の紹介】
日本には二十四の節気と七十二もの季節があることを知っていますか?木の芽起こし、初がつお、土用のうなぎ、秋の七草、羽子板市、晦日正月…。めぐりくる季節や自然を楽しむ、暮らしの歳時記。