【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

「逃げる」永井するみ

2010年04月29日 22時40分26秒 | 読書(小説/日本)
「逃げる」永井するみ(光文社)

永井するみさん最新刊。
何年も離れて生活していた父と、突然の再会。
ここから、夫と娘を捨てての逃避行が始まる。
逃げる妻と追いかける夫。
捜索をミステリ仕立てで展開する描写が巧い。
エンディングもカタルシスがあってよい。
(ここまでまとめてよいのか、って話もあるが)
好みが分かれるかも。
(私はOKだけど)

PS
湊かなえさんなら、このような終わり方しないでしょうね。
(先日読んだ「告白」のエンディング、引きずっている?)

【ネット上の紹介】
優しい夫と愛しい子供との日々に、突然襲いかかる父との再会。
忌まわしい過去を、おぞましい父の存在を、決して知られてはならない。
家族を捨て、憎しみを胸に、死と隣り合わせの父親と彷徨う生活が始まる。
どこへ行けばいいのか、いつまで逃げればいいのか…。
追いつめられた女の苦渋の選択も切ない、哀しみの長編サスペンス。

ナカガイ・高槻店

2010年04月29日 22時13分56秒 | ジム練習
摂津店の方が規模大きいが、時たま高槻店にも行っている。
例によってボルダーサーキット中心にトライ。
黄色テープ・・・現在17本
白テープ(黒文字)・・・20本(前回より5本増えていた)
青テープ・・・現在15本
以上、52本トライ。
すんなり登れない課題もあるので、すべて登るのに4時間くらいかかる。
(白テープ(黒文字)#6,青テープ#3が特に難しい)
この後、白テープ(赤文字)をトライするが、難しくてさっぱりダメ。
(#2のみ登れた)
疲労蓄積もあるが、実力&体力不足。
最後に簡単な長モノ2本登って終了。

「町でうわさの天狗の子」(6)岩本ナオ

2010年04月29日 21時45分24秒 | 読書(マンガ/アニメ)
「町でうわさの天狗の子」(6)岩本ナオ(小学館)

岩本ナオさんシリーズ最新刊。
ヒロインの秋姫は天狗と人間のハーフ。
力持ちで大食い、って設定。
作中に、鞍馬山や石鎚山が登場する。
先日鞍馬に登ったのは、この作品の影響もある。

PS
ちなみに、石鎚山(▲1982m)には、かつて登ったことがある。
これは「永遠の仔」を読んだ影響による。

↑この花が咲いている写真は筆者撮影(2001年5月)。



【ネット上の紹介】
ようやく瞬(しゅん)ちゃんが京都修行から戻ってきた。
だが、瞬ちゃんのいない間に、石鎚山(いしづちやま)五郎坊(栄介くん)のいる四国へ初詣に行く約束をしてしまった秋姫(あきひめ)はちょっぴり気まずい雰囲気に…。
一方、クリスマスに、初詣に、バレンタインと“冬の3大イベント”を控えた女子たちは、“ほんとの恋”さがしに夢中で――!?

鞍馬山・貴船神社

2010年04月26日 22時34分15秒 | 登山&アウトドア(関西)

鞍馬山、貴船神社にハイキングに行ってきた。
出町柳から叡山電鉄に乗り換え、電車に揺られること30分。
鞍馬駅に降りると、空気が冷たい。
史跡旧跡多数あり、見どころ多い山行。
データを記しておく。

鞍馬駅→由岐神社→九十九折参道→鞍馬寺本堂→大杉権現社
→奥ノ院
→西門→貴船神社→結社→奥宮→貴船駅口
歩行2時間25分 距離6.7km
資料データ:「行楽の山歩き」(東京地図出版)より

Kurama-dera sanmon.jpg
標高差500mくらい、距離もたいしたことない。
しかし、名所旧跡が夥しくあり、文学上も意義多し。
平家物語・義経に始まり、清少納言、和泉式部とくる。
とどめは古事記、磐長姫命、木花開耶姫である。
さて、私は過去数多くの神社仏閣を訪問したが、今回も「安全祈願」を行った。
また、貴船神社は「縁結び」の神である。(さすがにカップル多かった)
今まで、出雲大社をはじめ、私は「縁結び」の神社仏閣もいくつか訪問してきた。
「縁」と言っても、「男女の縁」だけでなく、様々なものがある。
おかげさまで、今でもクライミングや読書の縁が続いている。
これこそ霊験ご利益、というものだろう。
Kibune Shinto Shrine001.jpg
以下、ネットで調べた興味深い逸話を転載しておく。
なお、今回の写真は私の撮影ではない、ネットからの転載である。(御容赦)

【鞍馬寺・・・ウィキペディアより】
京都の奥にある鞍馬山は山岳信仰、山伏による密教も盛んであった。そのため山の精霊である天狗もまた鞍馬に住むと言われる。鞍馬に住む大天狗は僧正坊と呼ばれる最高位のものでありまた鞍馬山は天狗にとって最高位の山のひとつであるとされる。
枕草子』は「近うて遠きもの」の例として鞍馬寺の九十九(つづら)折りの参道を挙げている。

【貴船神社・・・ウィキペディアより】
社殿は本宮・結社(中宮)・奥宮の3箇所に分かれて建っている。
結社(ゆいのやしろ)は、本宮と奥宮の中間、本宮から上流側300メートルの場所にある。その立地から中宮(なかみや)とも呼ばれている。
磐長姫命を祭神とし、縁結びの神として信仰される。磐長姫命が縁結びの神とされることになった理由として次のような伝承がある。天孫瓊瓊杵尊が磐長姫命の妹の木花開耶姫と結婚しようとしたとき、姉妹の父の大山祇命は、磐長姫命も共に奉った。しかし、瓊瓊杵尊は木花開耶姫とだけ結婚したので、磐長姫命はそれを恥じ、「縁結びの神として良縁を授けん」と言って当地に鎮まったという。

和泉式部が貴船神社に参詣したときの歌が後拾遺和歌集に収録されている。「男(夫の藤原保昌)に忘れられている頃、貴船神社に参拝し、御手洗川に蛍が飛んでいるのを見て詠んだ歌」として、
「物おもへば沢の蛍も我が身より あくがれいづる魂(たま)かとぞみる」
(恋しさに悩んでいたら、沢に飛ぶ蛍も私の体から抜け出した魂ではないかと見える)という歌である。
それに対して貴船明神が返したと伝えられる歌、
「奥山にたぎりておつる滝つ瀬の たまちる許(ばかり)物な思ひそ」
(奥山にたぎり落ちる滝の水玉が飛び散るように、(魂が飛び散ってしまうほど)思い悩んではいけない)も後拾遺和歌集に収録されている。

後の時代に書かれた『沙石集』には、このときの参詣の様子が詳しく書かれている。和泉式部は巫女に縁結びの祭を行わせたが、その一環として巫女は、和泉式部の着物の裾をめくって陰部を露出させる作法をすることを迫った。和泉式部はそれを拒否したが、その様子を夫の保昌が神社の陰から見ており、その態度に感じ入ってその後は夫婦円満になったという。

PS【覚書】
平安時代、京の都から辿り着くだけでも一苦労。
その分、達成感も大きかったでしょうね。
ところで、鞍馬山入山料、200円必要。
また、お土産のことを考えると、逆コースの方が充実しているような気がする。
次回、ういろうを購入したい。


モーレツ!イタリア家族」ヤマザキマリ

2010年04月26日 21時28分18秒 | 読書(マンガ/アニメ)
モーレツ!イタリア家族」ヤマザキマリ(講談社)

ヤマザキマリさんのコミックエッセイ。
イタリア人と結婚し、その夫の実家で大家族生活。
大変な苦労、と思われる。
それをすべて笑いに昇華している。
そこに著者の底力を感じるし、それだからこそ「テルマエ・ロマエ」のような優れたコメディが創作できるのであろう。

ところで、大勢の個性派イタリア人が登場するが、
なんと言っても1番は姑・マルゲリータ。
夫の実家はニワトリを50羽くらい飼育しているが(食用に)、
これを一度に殺してしまうシーンがすごい。
この活力・行動力はすごい。

また、この姑が日本観光にやってくるシーンがある。
姑を日本に招待すると、親戚・友人も集めてしまい総勢9人になる。
この9名を引き連れて日本各地をまわってゆく。
「日本上陸」とタイトルがつけられ、3章分を費やして描写される。
インパクトのある章である。

購入する前、もう少し薄口を予想していたが、
非常に濃い内容であり、読み応えがあった。

「ルミとマヤとその周辺」(全3巻)ヤマザキマリ

2010年04月25日 20時55分18秒 | 読書(マンガ/アニメ)
「ルミとマヤとその周辺」(全3巻)ヤマザキマリ(講談社)

先日読んだ「テルマエ・ロマエ」と同じ著者の作品。
「テルマエ・ロマエ」とは雰囲気は異なるけど、なかなかの佳作である。
2年前、1巻のみ読了済みだけど、「テルマエ・ロマエ」を読んだのを機に「ヤマザキマリ」で検索をかけ、さっそく取り寄せたのである。
さて、この作品は北海道を舞台にした自伝的作品。
自分の子ども時代をふり返って作品にする、ってのはよくある。
でも、この作品が優れているのは、子ども社会だけでなく、大人と大人社会もしっかり描かれていること。

特にハルばあちゃんがいい。
さて、このハルばあちゃんが、家出をしてしまう。
このシーンは泣かせる。
(この章以外にも、何回か登場する)
ところで、フルーツ牛乳を「スポン」と開けるシーンがある。
これって、「テルマエ・ロマエ」の、あのシーンを彷彿させる。

他にも、印象深い大人が多数登場する。
饅頭屋のおばちゃん、看板屋のおやじ、牧場の開拓じいちゃん、たいやきのネエちゃん。
動物も味がある・・・牛のハナエ、猫の三郎、犬のポチ。
心が温まる読んでよかった、と思える作品だ。
(特に、「告白」(湊かなえ)の後だけに!)

「登山の誕生」小泉武栄

2010年04月24日 18時42分16秒 | 読書(ノンフィクション)

「登山の誕生」小泉武栄(中公新書)

このブログ、2010,3/13付-『怖い絵』で人間を読む」中野京子で、次のように書いた。
山関連の読書も必要ですね。気が向いたら、ぼちぼち読んでみようか・・・
そこで、とりあえず「登山の誕生」を読んでみた。
いろいろ学ぶことが多かった本である。
(いくつかの疑問も解消した)
次の章から成っている。

第一章・・・好奇心は山へいざなう。
第二章・・・アルプスへの憬れ
第三章・・・山と日本人
第四章・・・日本近代登山の発展
終章・・・現代の登山を考える

いくつか、興味深い点を書き出してみる。

●山岳信仰の始まりを火山系、水分(みくまり)系、葬所系に分けている。P88
火山系・・・火山が噴火し、爆発することに人間が畏怖の念を抱いた
水分系・・・分水嶺すなわち水源の山に対する信仰
葬所系・・・人が死ぬとその霊は高いところに行くという考え

●万葉集での歌P90
磐が根の凝(こご)しき山に入りそめて山なつかしみ出でかてぬかも
・・・(岩だらけの険しい山に入ってくると、山がいとおしくて、もう山から出て行くことができない(♪俺たちゃ町には住めないからに、って感覚?)

●仏教についてP94
釈迦自身はすでに生死を超越し、死後は無、あるいは空になると考えていたから、霊魂や地獄・極楽の存在は認めなかった。また同じ理由から葬儀の必要も認めず、自分自身の墓もつくるなと遺言したほどである。地獄・極楽の思想は明らかにバラモン教に由来しており、釈迦の死後、仏教に取り入れられたものである。釈迦の思想は宗教というよりもむしろ哲学であって、あまりにも高尚であったために、当時のインド社会ではそのままでは受け入れられることは困難であった。

●修験道P110
役小角に始まるとされるそれ以前からの山岳仏教と、新しく伝えられた密教は融合し、修験道として確率していくことになった。修験者とは、もともとは加持祈祷において著しい効験をあらわした密教僧のことを呼んだことばである。なお修験者は山に伏して修行したことから、山伏とも呼ばれる。

●百名山ブームについて著者の危惧と警鐘P208
①オーバーユースと自然破壊の問題
②数字を増やすことに夢中になり、肝心の山をよく見ていない
③「日本百名山」を、金科玉条のごとくありがたがるのは、自立した登山者にふさわしくない
④山に来てまで競争することはない
大半のスポーツでは強い者、早い者ほど尊敬される。しかし、登山は速いことがけっしていいわけではなく、遅いからといって悲観することもない。誰もが自分のペースで山を楽しむことができる。こういうスポーツは珍しいが、それこそが登山の長所といえる。

以上、いかがでしょうか?
特に④に関しては、考えされられた・・・クライミングにも当てはまるから。
(ただし、冬山に於いて「早さ」が「安全」に繋がる場合も有る、為念)
クライミングは自分の年齢、技術、体力等の実力に応じて楽しめる。
また、岩場でのリードがあり、ボルダリングがある。フリーもフェース、スラブ、前傾があり、クラックになると特殊なテクニックを要する。クラックのなかにも、フィンガー、ハンド、オフハンド、フィスト、オフィズス等がある。フリーのマルチもあれば、本チャンもある。ビッグウォールもあり、極地クライミングもある。ジムでの「登り」はクライミング界から見たら、ごく一部であり、クライミングは本来コンペのような競技で優劣を競うものでもない。
上手く登れないからと言って、グレードを気にしすぎるのは良くないし、
多少上手いからと言って、天狗になってはいけない、と自戒の念をこめて書いておこう。
(だから、「ロクスノ」#47、特集「最強クライマーは誰だ!」、ってアオリは好きでない)
最後に、木暮理太郎氏の言葉を引用して、この文章を終わる。

私達が山に登るのは、つまり山が好きだから登るのである。登らないではいられないから登るのである。なぜ山に登るか、好きだから登る。答えは簡単である。しかしこれで十分ではあるまいか。
 登山では志を大にするという。そうであろう。登山は剛健の気性を養うという。そうであろう。その他の曰く何、皆そうであろう。ただ私などは好きだから山に登るというだけで満足する者である。


【ネット上の紹介】
古来ヨーロッパにおいて山は悪魔の棲家として忌み嫌われていた。
一方、日本人にとっては聖地であり、信仰にもとづく登山は古くから行われていた。
だが近代的登山が発祥したのは二百年ほど前のヨーロッパで、楽しみとしての登山が日本で普及するのはそれから百年後の明治末期になってからである。この差はなぜ生まれたのか。
日欧を比較しながら山と人の関わりの変遷をたどり、人々を惹きつけてやまぬ山の魅力の源泉に迫る。


PS
本来、クライミングと山、ってのは不可分な関係のはず。
それが、いつもまにか希薄な関係になってきた。
これからも、(一般の小説を読みながらも)時たまこういった山関係の本を読んでいこうと思う。


「告白」湊かなえ

2010年04月22日 23時26分42秒 | 読書(小説/日本)

「告白」湊かなえ(双葉文庫)

ずっと気になっていた作品。
文庫本になったのを機に読んだ。
(これが著者のデビュー作)
短編の集まった連作長編だけど、1編1編の完成度が高い。
物語は女教師の告白から始まる。
「このクラスに我が子を殺した犯人がいる」、と。
モノローグだけで進行するのに、とてつもない吸引力で引き込まれる。
第一章だけでも、充分すぐれたドラマになっていて完成されている。
しかし、それは単なる序曲に過ぎなかった、ってのがすごい。
悲劇の連鎖が始まり、誰1人救われない物語が動き出す。
緻密且つ重厚な構成で事件と人間が表現される。

第一章・・・担任教師・森口悠子の語り
第二章・・・クラス委員長・美月の語り
第三章・・・犯人の姉の語り→その母の日記による語り
第四章・・・犯人自身の語り
第五章・・・もう1人の犯人の語り
第六章・・・再び森口悠子の語り

最後の章を読み終わって、何ともやるせない気分になる。
何の希望もなく、誰1人救われないエンディング。
(このエンディング物議を醸した)

PS1
物議を醸した、と言えば「バトル・ロワイアル」を思い出す。
こちらも、「告白」同様、少年少女多数出演。
かなり世間を騒がせた作品であった。
(でも、まだしも救いと希望がある)


PS2
もう一冊思い出した。
宮木あや子さんの「花宵道中」である。
こちらも、デビュー作で完成度が高い。
語り手が変わっていく、って構成も似ている。
それにより、「事件」の全貌が明らかになる(あるいは曖昧になる)、ってのも似ている。
「学校」と「花街」という違いはあっても、閉鎖社会が舞台。
でも、「告白」の方がはるかにヒットした。
現代、学校、いじめ、少年犯罪、と身近な事象だから。
(江戸、吉原、遊女ではマニア向けか?)
でも、完成度の高さでは負けていない、と思う。


PS3
さらに、もうひとつ思い出した。
桐野夏生さんの傑作「グロテスク」だ。
こちらも、語り手が変わりながら物語が進行する。
(ユリコの姉、ユリコ、ユリコを殺した中国人、和恵、高校時代の生物教師)
語り手たちは、誰もが微妙に嘘をついている。
物語が進むにしたがい、狂気の度合いが高まってくる。
巧妙にして高度なテクニックが駆使されている。
ミステリでありながら、反人生案内小説にもなっている。
ベテランの味、である。


【ネット上の紹介】
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。
このクラスの生徒に殺されたのです」
我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。
語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞受賞のベストセラーが遂に文庫化!
“特別収録”中島哲也監督インタビュー『「告白」映画化によせて』。

「告白」公式サイト


「美女いくさ」諸田玲子

2010年04月21日 19時11分58秒 | 読書(小説/日本)
「美女いくさ」諸田玲子(中央公論新社)

先日、於茶々三部作(秋山香乃)を読んだが、これはその関連図書。
浅井三姉妹の末娘・おごうの立場から描いている。
著者は「お鳥見女房」シリーズで有名な諸田玲子さん。
基本的な史実は変える訳にいかない。
でも、歴史の解釈の仕方、曖昧な部分の脚色と演出でかなり自由に表現できるのが歴史小説。
先日読んだ、秋山香乃作品とは一味異なる作品に仕上がっている。
「おごう」も於江でなく小督と表記している。

小督の督は、もともとは近江の江であったらしい。末娘でもあり小柄でもあったので、母や姉たちから「こごう」「おごう」と呼ばれているうちに小督になった。が、江戸を本拠地とする徳川へ嫁いだ今は、小督より江のほうがふさわしい。

ところで、小督は3回嫁いでいる。
一回目・・・佐治
二回目・・・豊臣
三回目・・・徳川
徳川家では、2代将軍秀忠の御台所となり、3代将軍家光を生んでいる。
これについても、著者は次のように述べている。

女が嫁ぐのは家と家との架け橋になるためである。嫁ぎ先が名家であれば、嫁げば嫁ぐだけ縁が広がるわけで、武士が戦場で手柄をたてて領土を増やしてゆくようなものだった。嫁いだ回数は箔にこそなれ、汚点にはならない。

彼女こそ、戦国時代の「強い」女性№1、ではないだろうか。

【ネット上の紹介】
仲を裂かれた最初の夫への思慕、養父・秀吉への怨み、長姉・淀殿との訣別を胸に、ついには将軍の御台所にまで上り詰めた小督だったが…女性の視点で描く新しい歴史小説。

PS
「乱紋」永井路子
「茶々と信長」秋山香乃
「茶々と秀吉」秋山香乃
「茶々と家康」秋山香乃
「美女いくさ」諸田玲子
・・・とくれば、次はこれかな。
(いずれ読むつもり)

「テルマエ・ロマエ」ヤマザキマリ

2010年04月21日 11時07分39秒 | 読書(マンガ/アニメ)

「テルマエ・ロマエ」ヤマザキマリ(エンターブレイン)

これは面白かった。
古代ローマ人の男性が、現代日本へタイムスリップ、って設定。
「風呂」限定、ってのが笑える。

主人公の男性は、古代ローマの風呂専門建築技師。
でも、せっかく考えたアイディアも不採用。
リストラにあってしまう。
気分転換に浴場に出かけ、排水溝に吸い込まれ、日本銭湯へタイムスリップ!
そこで出会った現代日本の風呂文化に驚愕する。

この作品の優れた点は、ローマ人が現代日本にタイムスリップする、って着想。
この逆・・・つまり、現代日本人が古代ローマへタイムスリップする、って設定では笑えない。
平凡な作品になったと思う。
ローマ彫刻のような無表情な主人公が日本の銭湯でフルーツ牛乳を飲むから笑いが生まれるのだ。
さらに、この作品の優れている点は、「一発芸」で終わらなかったこと。
シリーズとして続いているのがエライ!
彼は古代ローマと現代日本を行ったり来たりしながら、日本の風呂文化を学んでいく。
あるときは、日本ではサルまでも露天風呂に入っていることに驚嘆する。
またあるときは、最先端風呂展示場TVモニターのクラゲ映像に魅入る。
彼は、それを古代ローマで工夫しながら、再現しようとして努力する。
2010年マンガ大賞受賞作品。
東京都浴場組合推薦!
読んでみて。

【リンク】
http://natalie.mu/comic/news/29206

【ネット上の紹介】
世界で最も風呂を愛しているのは、日本人とローマ人だ!
風呂を媒介にして日本と古代ローマを行き来する男・ルシウス。
彼の活躍が熱い!……風呂だけに。


PS
この著者の作品を読むのは初めてではない。
2年ほど前、「ルミとマヤとその周辺」を読んだことがある。
その時は、ノスタルジックな味わいがある作品だな、と思って読んだ。
まさか、このようなコミカルな作品を書かれるとは思わなかった。
うれしい驚きだ。


練習と波について

2010年04月19日 22時23分17秒 | クライミング(一般)

ジムでは、短いボルダーと長モノをトライしている。
同じことを繰り返しているが、かなり波がある。
今日は身体が重いな、とか。
今日はキレが悪いな、とか。
調子が良かったり、悪かったりで、一喜一憂しているのが現状。
波の振幅が激しいので、もう少し安定させたい。
その為には、練習するしかない。

ところで、周囲を見ていると、練習には2種類あるようだ。

①決まった課題を繰り返してトライする方法
②新しい課題を設定、トライ、クリアー・・・これを繰り返す

私は、どちらかと言うと、①が中心。
(同じ内容を繰り返しているから、体調を判断しやすい)
皆さんは、①と②を混ぜながら、楽しみながら練習している、と思う。
でも、②のやり方は時間がかかる、インターバルが長くなる。
ある程度、時間の余裕がないとムリ。
私のように、1時間くらいで終了するようでは、充分に練習できない。

短い時間で、多くの手数と課題を消化するには①が都合よい。
でも、ホントは新しい課題もトライしたい、と思っている。
そこで時たま、週末は別のジムに行く。
そうすれば、新しい壁と課題が楽しめて、練習になる。
波の振幅も小さくなり、レベルも上がって一石二鳥。
(そんな都合良くいく訳ない、って!)


「鈍器降臨」古屋兎丸

2010年04月16日 22時30分43秒 | 読書(マンガ/アニメ)

「鈍器降臨」古屋兎丸(メディア・ファクトリー)

強烈にして、特異な作品。
先日、「少年少女漂流記」を読んだ後、この作品を取り寄せた。
今まで、様々な4コママンガを読んできたが、このような作品は初めて。
読者から寄せられたエッセイから、著者が妄想を紡ぎ出す。
その妄想が強烈。
もし、その絵が吉田戦車さん、西原理恵子さんでは、ここまでのインパクトは無い。
やはり、古屋兎丸さんならでは、でしょう。
言葉による説明困難なシチュエーションを映像化している。
これは劇薬なのか?
それとも、福音なのか?


【ネット上の紹介】
古屋兎丸と読者の強力コラボレーション、それが「鈍器降臨」!
読者から寄せられたエッセイを、古屋兎丸がときに飛躍し、
ときに脱線して4コママンガ化。笑いと知性と狂気がほとばしる。


「張り込み姫」垣根涼介

2010年04月14日 20時23分19秒 | 読書(小説/日本)
「張り込み姫」垣根涼介(新潮社)

取り寄せていた本が来たので、さっそく読んだ。
シリーズ3巻目。
これで、シリーズ全作読んだことになる。
(既刊本3冊なので、後は新刊待ち)
今回の業界は・・・英会話学校、旅行会社、自動車業界、出版社。
前巻同様、業界ネタが楽しめる。

出版社を扱った章がよかった。
著者の仕事観も表現されている。
(以下、転載)
高学歴、イコール優秀な人材とは、限らない。学歴で証明できるのは、極言すれば、迅速な事務処理能力と、答えの確定した事象への理解力、全般的な知識及び一般的な教養の高さに過ぎない。
大事な局面に立ったときの判断力、ファジイな問題に対する洞察力、そして自らの進退を賭けたときの決断力は、学歴とは自ずと別の、個々人本来のポテンシャルや気質に負うところが大きい。
 そしてそれらの要素は、自分が生きていくうえでの仕事という主題を、どういうふうに捉えているかの一点に尽きる。それにより、本来のポテンシャルや気質がさらに大きく変質して、人格に肉付けされていく。

(以上、転載終了)

また、興味深かったのは旅行会社の章。
旅行業界ってこれほど厳しかったんですね。
旅行代理店には時たま行くが、よく顔ぶれが変わる。
担当者もよく変わる。
「それなりの」事情があったんですね。
でも、このキャラクター設定とエンディングはちょっと・・・著者のナルに引いてしまう。
まぁ、読んでソンはないけどね。

【ネット上の紹介】
今回のターゲットは、英会話学校、旅行会社、自動車業界、そして出版社―。
仕事の意味を、働く理由を、迷うあなたに問いかける、
リストラ請負人・村上真介、次はあなたの会社へ。



*既刊本2冊

「セックスボランティア」つづき

2010年04月14日 20時14分05秒 | 読書(風俗/社会/貧困)

先日、ノンフィクション「セックスボランティア」を紹介した。
その後気になって、ネット検索してみた。
キーワードは「障害者専門風俗」。
けっこう出てくる。
「高齢者」とセットになっている店が多い。
店のスタッフの「女の子」も介護経験があったり、ヘルパー資格を持っている。
プレイ中に失禁したり、脱糞の可能性があるかもしれない。
体調悪化して、救命措置が必要な場合もあるかもしれない。
自分で寝返りがうてない方もいるだろう。
様々な困難が予想される。
その為か、東京など、料金割高感がある。
大阪は比較的良心的。
名古屋は少し安めに感じた。
以下、料金体系の一例。(転載)

 
ビジター
メール会員
入会金
無 料
70分コース
22.000円
18.000円
90分コース
30.000円
24.000円
120分コース
40.000円
32.000円
180分コース
54.000円
43.000円
延長30分
10.000円
指名料
2.000円
 
ホテル代は別途

話は変わるけど、これと比べると、クライミングジム利用料金は安い。
1日中、開店から閉店まで、へろへろになって腹筋がつるまでいても2000円。
スタッフの方も、親切に教えてくれる。
お得感では、クライミングが圧倒的勝利。
習慣性、常習性の比較では・・・・どうだろう?
個々人本来のポテンシャルや気質でしょうね。
(このセリフ、「張り込み姫」からのパクリ!)

PS
ちなみに、一般のスポーツジムは、10,000円/月、くらい。
また、英会話学校に行ったとすると、
入会金30,000円、レッスン12,000円/60分、教材費数万円。
世の中お金・・・である。


freefan #061

2010年04月12日 23時07分08秒 | クライミング(一般)
最新号表紙
freefan #061が送られてきた。
特集は、大堂海岸。
番外編が、六甲・こうもり谷。
(新田ロン君、「呪い」2撃、さすが!)
安全記事では、“ヘルメット”について。
少なくとも、岩場に子どもを連れて行くなら準備したい。
これ以外にも、P38『香落渓の岩場で登り続けるために』も気になる。
この記事は、ルカラガームの掲示板で既に読んでいるが、再チェック。
今回は関西系記事が多いから、要注目。
ジムとかで見かけたら、読んでみて。
最新号内容紹介