「危険な世界史 運命の女篇」中野京子
「危険な世界史」第二弾にして、中野京子さん最新刊。
説明不要、読んで楽しい歴史コラム。(第二章は映画の紹介を兼ねている)
いくつか文章を紹介。
P60
(『ランジェ公爵夫人』について)
恋というのは、望みが叶わなくても不幸、望みが叶っても不幸なのかもしれない。叶いそうで叶わないというぎりぎりのところが、もしかして一番甘い蜜の味かも・・・・・・。
P105
(プレイボーイのタイプについて)
プレイボーイのタイプは、ドン・ファン型とカサノヴァ型の二つに分けられるそうだ。前者は狩人と同じで、相手を追いつめ捕まえるまでが花で、ベッドへもぐり込むという目的を達したら急速に醒め、あとは手の平を返すタイプ。後者は、相手の年齢性別美醜を問わず、誘惑するのもされるのも好きで、誠心誠意尽くし、自分も相手も共に楽しむため情事後も怨まれない、全方位もてタイプ。
P111
(ジェイン・オースティンについて)
疲れた顔をしていても、きっとそれは、彼女の命を奪うことになる病気のせいだったと思いたい。なぜならたとえ結婚しなくとも、また平凡な女性の幸せは得られなかったにせよ、オースティンにはそれに優る「創作の歓び」というものが、必ずあったはずなのだから。
P143
(1692年、アメリカにおける最後で最悪の魔女裁判を描いた「クルーシブル」について)
つくづく嫌になるのは、権力を笠にきてこの裁判全体を取り仕切ったメーザー自身には、何のお咎めもなかったこと。彼は裁判が無効になった後でも、『目に見えぬ世界の驚異』を発表し、魔女狩りの正当性を説き続けた。
自分が正しいと信念を持つのはけっこうだが、こういう輩が権力を持つとろくなことにならないのは、歴史が延々と証明していよう。
P145
(「ドラマール事件」について)
フランスの作家フローベールによって、写実主義文学の傑作『ボヴァリー夫人』が生まれたのは1856年。これにはモデルがいて、フローベールの父の教え子だった開業医ドラマールの妻が、不倫の果てに借金を重ね、ついに服毒自殺をした、いわゆる「ドラマール事件」である。
P161
(『奇跡の人』について)
サリヴァンとヘレンの出会いは、まさに奇跡としか言いようがない。この出会いがなければ、おそらくふたりとも人生を取りこぼしていたに違いない。
甘やかされ、動物のようにただ食べて眠るだけだったヘレンを、サリヴァンは「人間」として鍛えなおす。その課程のなかで、サリヴァン自身もまた愛を知り、人生の醍醐味を知るのだ。
P166
(『バベットの晩餐会』について)
食後、村人は新たな生きるエネルギーをもらって家路についた。「せっかくの賞金を使い果たし、貧しくなるのでは」という姉妹の心配に、バベットは答える、「貧しい芸術家というものはいません」。
この心意気!
【関連作品】
【ネット上の紹介】
歴代美妃ナンバー一の皇后エリザベート、彼女の不幸な一生を知るゆえに人々に愛される「少女時代の物語」とは?ハプスブルク家マクシミリアン大公夫妻、ともに度外れた野心を抱いたばかりに招きよせた壮絶な悲劇。べートーヴェン、ゴッホ、アントワネット…etc.ロングセラー『怖い絵』著者が贈る、絢爛たる人々の、嘘みたいな本当の逸話。第二弾。
[目次]
第1章 騒がしい時代(宮廷に蠢くひとびと;有名であろうが、なかろうが);
第2章 映画が語る世界史(絢爛ならざる宮廷絵巻;芸術家たちの光と影;運命の女たち;民衆の底力)
「人生教習所」垣根涼介
垣根涼介さん、最新刊。
人生やりなおし塾に参加する話。
小笠原諸島に集まった様々な男女による群像劇。
読んでいて嬉しかったのが、「ギャングスター・レッスン」に登場するヤクザの柏木が登場すること。
このヤクザ、一回きりにするには惜しいキャラクター。
ブラジルに逃げたけど、その後どうしているのだろう、と気になっていた。
再会できて喜んでいる。
PS
垣根涼介さんにしたら、ちょっとユルい仕上がりになっている。
(緊迫した暴力シーンがない)
ちょっと好みが分かれるかも。
PS2
なんとなく、奥田英朗さんの「サウスバウンド」を思い出した。
【ネット上の紹介】
ひきこもりの休学中東大生、南米へ逃亡していた元ヤクザ、何をやってもダメな女性フリーライターなど―人生に落ちこぼれた人間たちが目にした「人間再生セミナー 小笠原塾」の募集広告。錚々たる団体・企業が後援し、最終合格者には100%就職斡旋。一体、主催者の目的は何なのか?遙かなる小笠原諸島で、彼らを待ち受けていたのは、自分たちが知らなかった日本と世界、そして美しい自然。今、彼らの中の「なにか」が変わりはじめた…。清々しい読後感へと誘う物語。
「僕の姉ちゃん」益田ミリ
今回も楽しませてもらった。
それぞれ各章、テーマにそって展開するが、絶妙な捻りと展開の巧さ。
いくつか紹介する。
(『ゴミ捨て』について)
「姉ちゃん、明日ゴミの日だけど捨てるもんある?」
「あるある、がんばりすぎる心」
(中略)
「人ってさ~、『捨てた』って確認できると安心するんだよね」
P97
(花屋で花を買うシーン)
花を飾ることよりも、花を買っているときの自分が好きなのでは・・・
P101
「姉ちゃんって男に捨てられたことあんの?」
「キミは何をカン違いしておるのだ?女を振ることはできても捨てることはできんのだ。男が捨てたと思っても、実は地面に跳ね返って男の背中にくっついてんだよ」
P8
(ブラジャーの洗濯頻度について)
「毎日洗うよ、って彼氏になら答える。ブラジャーを何日目で洗うのか、本当のところを言う女に会える確率、限りなくゼロ」
「大袈裟だろ」
「アンタ、女のブラ事情わかっとらんね」
「知るかよ。そもそもあれは何年くらいもつものなわけ?」
「その質問がすでにおかしいからね」
「なにが」
「使おうと思ったら一生使える」
「うそだろ~」
「ただし人前には出せないけどね」
「どんなことになってんだよ・・・・・・」
(中略)
「単純にいくらくらいするもんなの?」
「ピンキリよ、980円のもあれば2万円のもある。勝負下着の場合は、その恋に見合う価格設定があるわけよ。アンタって一生、2万円のブラとか見れない男だね」
「大きなお世話だよ」
う~ん、私も2万円のブラを見たことがない。
どなたか、見せて下さい。(by たきやん)
PS
すべてを紹介できないのが残念。
P32『イケメン』だけでも、(立ち読みでいいから)読んでみて。
女性の計算高さと言うか、現実主義の奥深さを垣間見ることができる。
【ネット上の紹介】
新卒サラリーマンの弟とベテラン?OLの姉。ふたり暮らしの部屋で今夜も会話が始まります…。
パンプに行ってきた。(今年になって2回目)
年末に入って、リード練習4回目、練習内容は次のとおり。
11a, 10d, 11a, 11b, 11b, 11b・・・以上6本、2本ずつトライ(ここまでウォームアップ)
11c, 12a, 12a/b, 12a/b, 12a, 12a, 12a, ・・・以上7本、本気トライ
11a・・・クールダウン1本
(以上、合計14本トライ)
【分析】
パートナーの都合により、早い目に終了、よってトライ本数が少ない。
12クラスを6本トライ・・・4本成功、2本失敗
ホールドの見落とし、ムーブ間違い、持久力の無さ・・・いろいろ欠点、実力不足を露呈。
12クラスになると、「あ、ムーブ間違った」と思って、やりなおそうとしても、持久力が無くて修正できない、撃沈する。
今後の課題である。(ちょっと、なさけない)
【閑話休題】
今日は子どもが多かった。(日曜いつもそうなのか?)
レストせず、どんどん登る姿に圧倒される。(疲れないのか?)
しかも、上手いし。(子ども嫌いになりそう)
これだけ子どもクライマーが増えると系統だった「教育」が必要。
登るのは上手いけど、ビレイはどうなんだろう?
安全に対する意識は?
周囲の状況を見ながら登っているのか?
さらに、「統計」もとって欲しい。
クライミング始めて、どのくらいで各グレードに到達し、平均何年で辞めるのか。
高校受験、大学受験、就職、結婚・・・それぞれ、どの節目で何%辞めるのか?
1000人いたら、大人になっても続けているのは何人?
そのうち何人が岩場に出かけ、クラックをして、マルチをして、ビッグウォールをするのだろう?
熱心に練習していても彼女(彼)が出来たらオシマイ、って人も多いでしょう。
でも、結婚して、子どもが出来て、定年前になって、フト、「クライミングしようかな・・・」と思うかもしれない。
歳をとって自分の子が手を離れ、「カルチャーセンターに行こう」と思ったとき、「あ、そうだ、クライミングがあった!」、と思い出すかもしれない。歴史を重ねていくと、そうなるかもしれない。
今後、ジムはいろんな人に対応し、様々な思いを受け止めていくことになるでしょう。
ジム年会費を支払った。
全店フリーパス(継続)=100,000円。
消費税加算で105,000円かな、と思っていた。(→【価格改定のお知らせ】)
どうやら12月から、らしい。(得した気分)
ところで、私はナカガイジム以外、ルカラにも行っている。
年末には、リード練習のためクラックス、パンプも訪問している。
出来ることなら、他店も利用できるスーパー・フリーパス・ゴールド・カードが欲しい。
・・・でも、難しいでしょうね。
店によって年会費の設定が異なるから。
上乗せ分をどうするか、さじ加減が困難。
でも、そんなカードがあったらいいなあ、と思う。
関西にもジムが増えてきた。
どのジムを選ぶか?
たぶん、職場の近く、家の近く・・・これが選択理由のいちばん、と思う。
だからどなたも、(職場か家の)近くをホームジムにしてることでしょう。
でも、気分転換もしたいし、いろんな課題を登りたい。
そんな時、スーパー・フリーパスとかあったら便利。
客の取り合いとかせずに、協力し合って共存共栄。
例えば、話し合いの場とか、もってもいいんじゃないか?
安全対策、若年者教育、メンテ、岩場問題・・・いろいろあると思う。
クライマーじゃない経営者も出てくるから、今のうちに結束しておいた方がよい。
最低限の共通認識、概念を確認しておいた方がよい。
このところリード練習のことばかり書いているが、ボルダー練習もしている。
今日は、ナカガイジム高槻店に行ってきた。
店は小さいが、コンパクトなスペースに様々な課題があって楽しめる。
本日の練習は次のとおり。(トライの順番に記載)
①ボルダーサーキット黄色テープ20本
②長モノ・109手課題・・・RP(このところコンスタントに成功している)
③長モノ・101手課題・・・RP(3回目の成功、なんとなくコツが分かってきたかも)
④長モノ・黄緑/終了点から109手課題に繋いだ・・・RP(33+71=104手)
⑤ボルダーサーキット白色テープ(但し、6番トライせず・・・右肘に悪いから)
⑥ボルダーサーキット青色テープ20本(但し、19番、20番成功せず)
【分析/感想】
年末なので、少しメニュー濃度を高くした。
全部で700手くらいの練習量。
夏の閑散期は400手程度しか練習しなかったことを考えると、かなりメニュー濃くなった。
長モノ・黄緑/終了点から109手課題に繋いだ課題は、今日初めて試みた。
でも、そんなに難しくない。109手課題がグレード11+としたら、せいぜい11d~12a程度。
109手課題成功している方は、一度トライしてみて。
その点、101手課題は、全体にムーブが悪いので、負荷が高い、と感じる。
ある程度、ボルダー力が必要。(白色テープ・ボルダーサーキットが軽く出来たら大丈夫、自信をもってトライしてよい、と思う)
さて、白色サーキットまでは、わりと順調にクリアーした。
ところが、青色テープ・ボルダーサーキットになったとたん、疲れが出て遅々として進まず。
結局、19番、20番、成功せず・・・もうヨレヨレ。
私の年齢からいって、これが限界かも、と思ったりする。
でも、まぁ、もう少し頑張ってみるか。
「遺体 震災、津波の果てに」石井光太
震災関連の読書。
3.11以降、何冊か読んできたが、リアリティではこれが一番。
ドキュメンタリータッチで、人々の行動と心理が詳細に描かれる。
その時、人はどう感じ、どう動いたか?
様々な人物にインタビューし、行動を共にしながら、「遺体」をキーワードにルポルタージュを作っている。
P262
東日本大震災によって死亡した人の数は、行方不明者も合わせて約2万人。一瞬のうちにこれほどまでに膨大な遺体があちらこちらに散乱したのは、六十六年前の太平洋戦争後初めてのことであり、震災に限れば関東大震災から八十八年の間で最大の規模の犠牲者数だ。
千寿院の住職惠應の話。
P228
ある老婆がつぶやいた「神も仏もない」という言葉についうなずいて、愚痴を漏らした。
「もう仏様なんて何の役にも立たないのかもしれないな・・・・・・」
仏に祈ったり、頼ったりすることの意味がもうわからなかった。
すると、同じ部屋にいた長女がふり返り、惠應を睨みつけた。彼女は強い口調でこう言った。
「お父さん、違うよ。仏様の教えがあったから私たちはこの逆境に耐えていられるんじゃない?今頑張れているのは、仏様の教えがあるお陰じゃないの?」
胸をつかれたような思いだった。たしかにこの苦境のどん底でも避難者を受け入れ、守ろうとしたのは仏の教えがあったからだ。自分はずっと仏に支えられてきたことを忘れていたのだ。
【著者の言葉・リンク】
遺体を映すべき?
動画&トークイベント
『遺体――震災、津波の果てに』刊行記念著者インタビュー
新刊発売 『遺体――震災、津波の果てに』
【ネット上の紹介】
2011年3月11日。40000人が住む三陸の港町釜石を襲った津波は、死者・行方不明者1100人もの犠牲を出した。各施設を瞬く間に埋め尽くす、戦時にもなかった未曾有の遺体数。次々と直面する顔見知りの「体」に立ちすくみつつも、人々はどう弔いを成していったのか?生き延びた者は、膨大な数の死者を前に、立ち止まることすら許されなかった―遺体安置所をめぐる極限状態に迫る、壮絶なるルポルタージュ。
[目次]
プロローグ 津波の果てに;
第1章 廃校を安置所に;
第2章 遺体捜索を命じられて;
第3章 歯型という生きた証;
第4章 土葬か、火葬か;
エピローグ 二カ月後に
「RDG レッドデータガール」(5)荻原規子
約3週間前10/29に読んだ。
出版と同時に、即購入、即読了。
さらにその後、何回か読み返した。
このシリーズ、ホント面白い。
(以下、ネタバレあり)
さて、今回は大きな展開があった。
(表紙からして、今までと異なる・・・髪がほどけている)
真っ正面から高柳一条と対決した。
怒りに駆られ、一瞬にして高柳達の作った式神を宙に散逸させる泉水子。
圧倒され、恐怖を感じたであろう。
(P315では、平身低頭している)
それにしても、目立つのを極力避けてきた泉水子だが、最高に目立つ存在となってしまった。
今後、学園での立ち位置が変わってしまう。
周囲の見る目も変わってしまう。
いったい次巻はどうなるのだろう?
最後に、ヘリコプターで紫子さん登場。
1巻でも、雪政のヘリコプターでの登場で、泉水子の生活が一変した。
今回も、これで学園生活が一変すると思う。
さて、今後を占うキーワードとなる言葉を記す。
P326
「(前略)人の見方っていくらでも変わるんだよ。おれたちも変われる余地を残そうよ。変わりながら、変わらない絆を少しずつ確かめていけばいいんだ」
PS
本作品は、スケールの大きいファンタジー。
でも、表現されるのは食卓の風景のような、身近で日常的なことが描かれる。
それが登場人物達にすごく親近感がわく理由と思う。
そういう意味で、「日出処の天子」を思い出した。
【ネット上の紹介】
いよいよ始まった“戦国学園祭”。泉水子たち執行部は黒子の衣装で裏方に回る。一番の見せ場である八王子城攻めに見立てた合戦ゲーム中、高柳たちが仕掛けた罠に自分がはまってしまったことに気づいた泉水子は、怒りが抑えられなくなる。それは、もう誰にも止めることは出来ない事態となって…。ついに動き出した泉水子の運命、それは人類のどんな未来へ繋がっているのか。
このところ恒例になった週末リード練習。
再びクラックスに行ってきた。
練習内容は次のとおり。
(トライした順番どおり記載)
10a, 10b, 10c, 10d, 11a, 11b,(以上6本ウォームアップ、2本ずつトライ)
11c, 11c, (前回失敗した11cをトライしたが、やはり失敗・・・なさけない)
12b ,12b, 12a 12a, 12a/b, 12a, 12b(6種類7本トライ)
11a, 10b(ワークアウトでトドメをさした・・・以上、17本)
【内訳】
10クラス5本、
11クラス5本
12クラス7本
12クラスを中心にトライして、へとへとに疲れた。
ほとんど失敗で撃沈。(どれもおもしろかったけど)
成功したのは最後の14本目トライの12aと15本目トライ12bのみ。
どうして疲れているのに、最後の2本が成功したのか?
なぜ?・・・身体が、やっとこなれてきたから?(たまたま)
【おまけ】
同じルートをトライしたのは最初の12b(前傾壁ピンク×)だけ。
これは2回トライした。
「おもしろいから、やってみて」と社長に勧められた。
RP出来なかったけど、確かにおもしろかった。12bの値打ち充分あり。
核心は2箇所・・・前傾部アンダーと上部ポケット手前。
設定は、kihito君(今は『ルカラ』のオーナー)、とのこと。(なっとく)
他にも勧められたのがあるので、次回トライ予定。
今年2011年8月、小川山で事故があったそうだ。
(知らなかった・・・クラックスに行った際、kiori君から教えてもらった)
場所はマラ岩・ブルースパワー。
「おがわやまだより」に事故報告が掲載されている。
故人のご冥福をお祈りします。
次にリンクしておく。
http://www.kawakami.ne.jp/ogawayama/accident/accident_20110805.htm
他にもリンクしておく
http://www.ne.jp/asahi/gamera/climb/diary.htm(8/20付)
小川山「ブルースパワー」の事故に思う - フリークライミングジム Gecko ...
08/06 久しぶりのマラ岩、雨で登れず 「ブルースパワー」で事故があっ ...
人には節目となる年がある。
私にとって、それは1993年であった。
80年代初頭から始めたクライミング。
山岳会に入って、最初、冬山練習のためのザイルワーク、岩登り、であった。
いつしか「それ」ばかりをするようになった。
フリークライミング導入期で、概念も充分に浸透していなかった。
「岩と雪」「クライミングジャーナル」を読んで、何となく分かったつもりになった。
「それ」用のギアも日本に入ってきた。
フラットソール、チョークバック、エイトカン、ロックス、フレンズ。
仕事のかたわら、週末に岩ばかり登って10年経過した。
今までやってきたことを本場で試してみよう、と思った。
そんなわけで1993年、ヨーロッパに行った。(仕事を辞めて)
当時、ユーロはなく、シェンゲン協定もなかった。
だから、3ヶ月経過しそうになったら、隣の国に行けば良かった。
1年オープンの航空券を購入して出来る限り滞在しよう、と思った。
100万円を中之島・東京銀行でTCに変えた。
訪問予定の国に合わせて分散した・・・フラン、リラ、マルク、スイスフラン。
そして21世紀になり、およそ20年が経とうとしている。
ジムは雨後の筍のように増え、小学生がクライミングをする世の中。
私は何の進歩も成果もなく、ぼちぼち登っているだけ。
・・・まぁ、こんな感じで現在に至っている。
(ちなみに『節目』は、その後ない)
さて、7月にスライド写真『フランス編』を公開した。
今回は『イタリア編』である。
内容をみると、観光写真ばかり。
気合いを入れて訪問したわりに、真面目に登っていたのか?、と疑問を呈されるかもしれない。
本人は真剣に登っていたつもり・・・観光と共に。
*あれから少し思い出した。当時、日本ではリラTCは無かった。
現地に行ってから、フランTCからリラ現金に換えたように思う。
YAMAKEI SQUAREからメールマガジンが来た。
山岳ライター・安武大さんによると、足先にもいくつかの形があるそうだ。
①日本人に多いのが、 親指が最も長くなったエジプト型。
②第二指(人差し指)のほうが親指よりも長いのがギリシャ型。
靴下を脱いで確認してみた。
私は②番目のギリシャ型だった。
日本人は足の親指が最も長いエジプト型が多いのか・・・知らなかった。
さて、久しぶりにパンプに行ってきた。(約1年ぶり、新鮮で楽しめる)
年末に入って、リード練習3回目、練習内容は次のとおり。
10b,10c,10d,11a,11a,11a,11b,11b・・・以上8本、2本ずつトライ(ここまでウォームアップ)
11c,11b/c,11c,11c,11d,11d,・・・以上6本、1本ずつ真剣トライ
12a,12a/b,12a/b・・・以上3本、さらにダメ押し本気トライ
(以上、合計17本トライ)
【分析】
体力作りを兼ねて、11クラス中心、インターバル短め、本数を出してみた。
最後の方、疲れてきて、12は全て失敗、撃沈。
(思ったより、体力も持久力もないことが判明した・・・反省点多し)
【一般論】
話は変わる。リード練習にはどのような利点があるだろうか?
ボルダー練習と比べてどう違うのだろう?
①クリップのタイミングを体感できる
②クリップ・ムーブ、クリップ態勢を作る練習になる
③タテの動きでベクトルを出し続ける練習になる
④落ちそうになりながらも1手出す練習
⑤落ち方の練習、うまく落ちるコツをつかむ
⑥ビレイの慣れ、落とし方のコツをつかむ
(・・・まぁ、こんなところでしょうか)
【総括/感想】
実のところ、「リード練習不要かな・・・」、と思うときもある。
「ボルダー練習、長モノ練習の方が効率がいい」、と思ったりもする。
でも、リードは楽しいし、気分も盛りあがるから、まっ、いっか。
11/12(土曜)、MAMMUT Climbing Competition 2011が行われた。
場所は静岡浜松にあるスクエアクライミングセンター。
協賛は、コンペの名前から分かるようにMAMMUT SPORT GROUP JAPAN株式会社。
リザルトは次のとおり。
【リザルト】
http://freeclimb.jp/compe/2011/data/mcc2011.pdf
(オープン優勝者に注目!・・・ナカガイジムで、世間話の相手をして下さる方です・・・いつも練習の邪魔をしてスマン)
「嘘みたいな本当の話」〈日本版〉ナショナル・ストーリー・プロジェクト(選:内田樹/橋源一郎)
ネットで「実話」を集め、内田樹、橋源一郎、両氏が厳選した作品集。
短い話は1行、長くて2頁なので、読みやすい。(お出かけ読書にいいかも)
素人の書いた文章だけど、思った以上にマシ、というか読みやすい。(失礼!)
これには2つの理由があると思う。
①ネット上の文芸誌「マトグロッソ」で募集かけたから、それなりの作品が集まった。
②短いから粗が出る前に終わってしまう。
そんなわけで、かなり楽しめた。
全部で148作品、テーマ別になっている。
いくつか紹介する。
P41
自分の知り合いは、彼女と別れるときにベッドを彼女にあげたそうです。それから1年後、新しい彼女ができて、その新しい彼女の部屋に行ったら、なんと前の彼女にあげたはずのベッドがあった!「どうしたの、このベッド?」って聞いたら、「寿退社した先輩にもらった」。
当人は「彼女は変わったが、ベッドだけは変わらなかった・・・・・・」と言っていました。
P42
10歳のときからいままで28年間に、8回、財布を落とした。
そのうち6回は誰かが拾ってくれて、戻ってきた。
日本は良い国だと思う。
P49
駅の近くの十字路のすべてに猫がいて、互いに見つめ合っていた。
P134
ある夜、田舎の暗い道でのこと。
ヘッドライトが片方しかついていない車が信号待ちをしていた。「あ、片っぽ切れてる」と思った次の瞬間、残ったライトもふうっと消えた。
P282
するめが好きだ。
先日、思いっきり齧ったら、ムチ打ちになった。
P288
彼氏とけんかした。
少し言い過ぎたかな、と少し反省して、携帯を手にごめんねメールを打ち始めたところ、彼からもメールが。
「来週の合コン、かわいいこ頼むで」
「?」と思い電話すると、「えっ、俺、おまえに送った!?」
と動揺する彼。黙って電話を切りました。
【ネット上の紹介】
[要旨]
泣いた、笑った、驚いた!日本中から届いた149の実話たち。
[目次]戻ってくるはずがないのに、戻ってきたものの話;
犬と猫の話;
あとからぞっとした話;
空に浮かんでいたものの話;
変な機械の話;
おばあさんの話;
私が会ったなかで、いちばん粗忽な人の話;
そっくりな人の話;
マジックナンバーの話;
ばったり会った話〔ほか〕
「我が家の問題」奥田英朗
奥田英朗さん最新刊。
ユーモア小説の書き手は少ないけど、第一人者と思う。
本作は短編集で、テーマは夫婦と家族、つまり「我が家」。
我が家に起こる様々な問題、複雑な心理を解き明かしていく。
いくつか文章を紹介する。
夫婦の行き違いを会社の同僚(女性)に相談するシーン。
P28
「(前略)で、田中君はどうして欲しいわけ?」
「人生に過剰な意義など求めないで欲しい。みんな凡人なんだし」
「はは。田中君らしいね。でもね、記念日好きも、占い好きも、女子の業だよ。自己愛は女のアイデンティティ。女は自分を否定されることが何より嫌い。女性誌が細分化しているのはそのせいでしょ?少しは理解しなきゃ」
「うーん。そうかあ。自己愛かあ」
淳一の中でいろいろな糸がほどけてきた。昌美は頻繁に「自分へのご褒美」と言いたがる。あれは自己愛だったのか。
P74
「結局、男と会社の関係って、永遠の片想いなのよね」
「言えてる。一生のうち半分以上を過ごすところだもんね。そりゃあ愛されたいわよ」
P256
「とにかく、女は生活レベルが同じ人同士じゃないと付き合わないですよ。そういうチェック、女は厳しいですよ。スーパーの買い物ひとつをとっても、1人だけ高級卵とか、霜降り和牛だとかをカゴに入れてたら、それだけで、あ、この人うちらとちがうって。(後略)」
上質のユーモア小説を読むと、ホント目も心もうるおう。
【ネット上の紹介】
平成の家族小説シリーズ第2弾! 完璧すぎる妻のおかげで帰宅拒否症になった夫。両親が離婚するらしいと気づいてしまった娘。里帰りのしきたりに戸惑う新婚夫婦。誰の家にもきっとある、ささやかだけれど悩ましい6つのドラマ。