【ぼちぼちクライミング&読書】

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「大地の子」山崎豊子

2020年05月31日 16時09分57秒 | 読書(小説/日本)
「大地の子」(全4巻)山崎豊子

思った以上におもしろかった。
最初は、文革シーンなので、ひたすら暗い。
でも、これを過ぎるとプロジェクトが始動し、よりおもしろくなってくる。
最後まで読んだなら、深い感動を得られるはず。
これはお薦め、ぜひ読んでみて。全4冊で読みごたえもある。

①P273
「そういえば、厳禁されていた売春が秘めやかに復活し出したのは1958年から3年にわたる大災害、大飢饉あたりからだ、食い詰めた女の行きつく先は、解放前も、解放後も変わりないな」

満州からの引き揚げについて
②P223
軍が老幼婦女子の同胞を見捨てなかったら、世界史にも例がないような悲劇は起こらずにすんだであろうと思うと、腸(はらわた)が煮えくり返るような憤りに駆られた。

③P244
共稼ぎの中国では、炊事、食糧買出し、洗濯などの家事も、男女平等に分担するのが原則だった。格別の美人や才能のある女性は、結婚の3条件として、テレビ、洗濯機の他に、男性の"料理上手”も条件に加えていた。

【ネット上の紹介】
陸一心は敗戦直後に祖父と母を喪い、娘とは生き別れになった日本人戦争孤児である。日本人であるがゆえに、彼は文化大革命のリンチを受け、内蒙古の労働改造所に送られて、スパイの罪状で十五年の刑を宣告された。使役の日々の中で一心が思い起こすのは、養父・陸徳志の温情と、重病の自分を助けた看護婦・江月梅のことだった。

「生き物の死にざま」稲垣栄洋

2020年05月27日 18時16分51秒 | 読書(科学)
「生き物の死にざま」稲垣栄洋

いろんな生き物が登場する。
どのように死んでいくのだろう?
死にざまは、生きざま、である。
読んでいて感情移入し、悲哀を感じてしまう。

【セミ】
一般に、セミの幼虫は土の中で七年過ごすと言われている。そうだとすれば、幼稚園児がセミをつかまえたとしたら、セミの方が子どもより年上ということになる。

【ハサミムシ】
ハサミムシは成虫で冬を越し、冬の終わりから春の初めに卵を産む。
石の下のハサミムシの母親は、産んだ卵に体を覆いかぶせるようにして、卵を守っている。そして、卵にカビが生えないように一つ一つ順番にていねいになめたり、空気に当てるために卵の位置を動かしたりと、丹念に世話をしていく。
卵がかえるまでの間、母親は卵のそばを離れることはない。もちろん、母親は餌を口にする時間もない。餌を獲ることもなく飲まず食わずで、ずっと卵の世話をし続けるのである。(中略)
ハサミムシは肉食で、小さな昆虫などを餌にしている。しかし、孵化したばかりの小さな幼虫は獲物を獲ることができない。幼虫たちは、空腹に耐えながら、甘えてすがりつくかのように母親の体に集まっていく。(中略)
あろうことか、子どもたちは自分の母親の体を食べ始める。
そして、子どもたちに襲われた母親は逃げるそぶりも見せない。むしろ子どもたちを慈しむかのように、腹のやわらかい部分を差し出すのだ。

【カマキリ】
メスは、交尾の間も体をひねらせて何とかオスを捕らえようとするので、オスは食べられないように避けながら交尾をしなければならない。もし、交尾の途中につかまれば、オスは食べられてしまうのである。(中略)
交尾に対するオスの執念はすさまじい。運悪くメスにつかまっても、オスは決して交尾をやめようとしないのだ。
交尾をしている最中でも、食欲旺盛なメスは、捕らえたオスの体を貪り始める。しかし、オスの行動は驚愕である。あろうことか、メスに頭をかじられながらも、オスの下半身は休むことなく交尾をし続けるのである。

P96
古代の地球の海で、有機物が集まり、最初の生命が産声を上げた。この最初の生命が「ルカ(全生物最終共通祖先)」と呼ばれている。

P107
チャートと呼ばれる岩石は、放散中と呼ばれる小さなプランクトンの作り出した殻が積み重なって形成されたものである。また、石灰岩も有孔虫という小さなプランクトンの殻が堆積してできたものである。

P140
細胞の中の染色体には、テロメアという部分がある。このテロメアが、細胞分裂をするたびに短くなることが知られており、これが老化の原因とされている。(中略)
テロメアさえなければ、人は老化することなく、不老不死が実現するのではないかという考えもある。

P179
(クリスマス・イブは)ニワトリたちにとっては、まったくの厄日である。いったいどれだけの鶏が命を落とし、オーブンの中で荼毘に付されていることだろう。

【ネット上の紹介】
すべては「命のバトン」をつなぐために── 子に身を捧げる、交尾で力尽きる、仲間の死に涙する…… 限られた命を懸命に生きる姿が胸を打つエッセイ! 生きものたちは、晩年をどう生き、どのようにこの世を去るのだろう── 老体に鞭打って花の蜜を集めるミツバチ、 地面に仰向けになり空を見ることなく死んでいくセミ、 成虫としては1時間しか生きられないカゲロウ…… 生きものたちの奮闘と哀切を描く珠玉の29話。生きものイラスト30点以上収載。
空が見えない最期―セミ
子に身を捧ぐ生涯―ハサミムシ
母なる川で循環していく命―サケ
子を想い命がけの侵入と脱出―アカイエカ
三億年命をつないできたつわもの―カゲロウ
メスに食われながらも交尾をやめないオス―カマキリ
交尾に明け暮れ、死す―アンテキヌス
メスに寄生し、放精後はメスに吸収されるオス―チョウチンアンコウ
生涯一度きりの交接と子への愛―タコ
無数の卵の死の上に在る生魚―マンボウ〔ほか〕

「大江戸少女カゲキ団」(2)中島要

2020年05月26日 12時17分28秒 | 読書(歴史/時代)
「大江戸少女カゲキ団」(2)中島要

シリーズ2作目、前回より面白くなってきた。
「芝居」をテーマにした作品。
それも少女ばかりで芝居をする、って発想がすごい。
当時、女性は役者になれないが、いかに実現させるか、現実味をもたせて描くか、ってのが腕の見せどころ。

札差大野屋時兵衛の娘・お才、「掛け茶屋まめや」の女中・芹、
日本橋本船町魚正の跡取り娘・紅、仏具屋行雲堂の娘・お仁、
これに踊りの師匠・東花円がメインキャスターだが、今回、新キャラも登場。
ますます楽しみになってきた。

【ネット上の紹介】
「掛け茶屋まめや」で働く芹は、ひょんなことから、踊りの師匠・東花円の弟子である才、紅、仁の三人とともに、男装して娘芝居をすることになった。自分たちの身分を隠し、満開の桜が咲き誇る飛鳥山で披露した娘芝居は、瓦版が売り出されるほど江戸中の評判となる。気を良くした芹たちは、娘一座「少女カゲキ団」を結成して芝居を続けることにした。そんな折、南伝馬町にある薬種問屋橋本屋の箱入り娘、静が思いも寄らないことを言い出し、少女カゲキ団に暗雲が立ち込める―。話題沸騰のシリーズ第二弾!!

パンデミック

2020年05月24日 17時55分28秒 | 身辺雑記
新聞記事をまとめてみた。
【世界】
14世紀・・・「黒死病」(ペスト)欧州人工の3分の1が失われた。ルネサンス、封建社会の崩壊、宗教改革の一因となる
20世紀初頭・・・「スペインかぜ」世界で数千万人死亡、米軍から各国の軍隊へ広まる
1976年・・・「エボラ出血熱」コンゴ(旧ザイール)、スーダン
2002年・・・SARS(サーズ)中国からアジアへ、約800人死亡
2012年・・・MERS(マーズ)中郷諸国、800人以上死亡
2014年・・・「エボラ出血熱」再燃、1万人以上死亡
【日本】
奈良時代に天然痘流行・・・当時を描いた作品が「火定」(澤田瞳子)
1858年「コレラ」長崎から入港した米国船の乗組員が発端、江戸だけで26万人死亡
(以上、2020年5月№229「Globe」よりまとめ)
また、外人嫌いで攘夷論者・孝明天皇が天然痘で36歳の若さでなくなる・・・倒幕が進んだ・・・岩倉具視、あるいは伊藤博文による暗殺、とも言われる。

【免疫機能を活性化する食べ物】(メモ)
ブロッコリー・・・ファイト・ケミカル、ビタミンC
キャベツ・・・芯と周辺にビタミンC
トマト・・・リコピン
にんじん・・ベータカロテン、ビタミンC
玉ねぎ・にんにく・・・アリシン、豚肉と一緒に摂ると良し
ヨーグルト、キムチ・ぬか漬け、納豆、キノコ類

*ジムも再開されてきた・・・ありがたいことだ。

マスク

2020年05月22日 17時02分44秒 | 写真
ドラッグストアでは、品薄状態が、まだ続いている。
ところが、食品スーパー「サンデー」に行ったら、マスクが売っていた。
さっそく購入した。
①不織布マスク:1,799円(中国製・50枚入り)
②洗って使える立体型マスク:299円(3枚入り)
①は紙の箱に入っていたが、透明ビニール袋入りタイプは1,500円くらいだった。
やっと世の中に流通してきたようで、助かった。

中国では、既に、品薄状態を脱却している。
中国と取引か、ツテがある業者は、販売可能なようだ。
だから「中華街」に行ったら、マスク入手できる旨の記事もある。

駐車場再開

2020年05月21日 09時41分44秒 | 登山&アウトドア(関西)
神峯山寺駐車場が、5/25から再開される。
次の通り。

【駐車場および共用エリア再開に関するお知らせ】
政府による39県に対する「緊急事態宣言」の解除、
また大阪府や各自治体の段階的な休業要請解除を受け、
神峯山寺の封鎖エリアの再開を順次行ってまいります。
●5/25(月)〜 神峯山寺駐車場 再開
●6/1(月)〜予定 いこいの広場・自然園等の共用エリア、 総合案内所(納経所) 再開

【参考リンク】

「これは経費で落ちません」(7)青木祐子

2020年05月21日 09時40分09秒 | 読書(小説/日本)
「これは経費で落ちません」(7)青木祐子
シリーズ最新刊、7巻目。

P33
「(前略)――結婚、出産することは会社への迷惑、わたしの悪いところであるということですか」
(中略)
仕事とは幸せになるためにするもので、幸せを阻害するものではないはずでる。誰にでもある人生の転機を迷惑と責められるのなら、真面目に働くのがバカバカしくなる。
 
P63
会社とは労働分の報酬を引き出すATMであって、私生活に入ってこられたら迷惑なのだ――

P105
自分がいないとまわらないと思っているのは本人だけだ。

P160
美しい女性だと思った。憎しみと優しさが混在して、不思議な迫力がある。愛した男との別れを決意すると、女性はこういう顔になるのか。

鎌本の結婚観
P183
「森若は出世しそうだし貯金ありそうだろ。土下座して頼んできたら結婚してやらんでもない。ただし仕事を辞めることは許さない。給料は俺が没収で、金の管理は俺の母親。家事育児は全部やること。夕食のおかずは三品以上。そうでもなきゃ結婚に男のメリットないだろ」(さすが嫌われキャラ屈指の鎌本である。どこから突っ込んでいいのか分からないぐらいの発言。現実にもいそうな男性だ・・・この物語と関係ないが、理系男子は金銭を管理したがる傾向にあるように思う)

【感想】
毎回、真夕ちゃん視点のエピソードが、エピローグとして語られる。
これがけっこう楽しみだ。
私の中でも、全登場人物中、好感度は高い。

【ネット上の紹介】
会社合併を控え、異例の若さでの主任昇進を打診された沙名子の悩みはつきない。給料は大して増えないのに、責任が増えると思うと憂鬱になる。女性活用を推進したい会社の方針で、優秀だからではなく女性だからという理由の昇進なのだろう。結婚や出産することは会社に迷惑をかけることになるのか。合併予定の会社のひとつ、トナカイ化粧品でほぼひとりで経理を担ってきた槙野という童顔の男と経理システムについての調整作業をする中で、彼のつけている腕時計がトナカイ化粧品の給料からするとずいぶん高級な物だと気づいた沙名子は、詮索してしまう自分を戒めるが……?同期入社の入浴剤開発者・鏡美月の結婚式も行われ、沙名子と太陽の関係にも重大な変化が!?大人気シリーズ第7巻! 

「陽のあたる場所」

2020年05月20日 19時18分24秒 | 映画(一般)
A Place in the Sun (1959 reissue poster).jpg
米映画「陽のあたる場所」(A Place in the Sun)を観た。
1951年作品、モンゴメリー・クリフト、エリザベス・テイラー主演。
社内恋愛禁止の職場で、恋に落ちた二人。
うまくいくと思えた二人だが、青年の方が、高嶺の花に手を出して二股をかける。
 
この映画が、再び脚光を浴びたのはTV「北の国から92巣立ち」による。
劇中映画として取り上げられたから。
純がタマコを妊娠させてしまうシーンで観る映画がこれ。
内容が微妙にリンクしているのがミソ。

介護保険証

2020年05月19日 19時29分58秒 | お婆さんの話
先日、介護保険証が郵送されてきた。
昨年2月は『要介護2』で、特養入所を目指して『区分変更』の手続きをしたら、昨年4月に『要介護3』となった、そして、今回の通知が『要介護5』。
【要支援1→要支援2→要介護1→要介護2→要介護3→要介護4→要介護5】
右に行くほど症状が重くなる。
8年前、要支援1であった、昨年、要介護2→3となり、それが今では要介護5、である。つまり、ウチのお婆さんは、急速に悪化して最終段階になってしまった。
ショックである。

昨年8月、特養に入所した。
1週間後に大腿骨骨頭骨折、12月5日まで入院した。
今年2月は、尿路感染で1週間入院した。
(特養に入っているより病院入院の方が長い?)
特養は100人以上入所している。
特養を責めるわけではないが、人手が足りず目が行き届かない、それは事実だ。
「1週間に1回でも体操してもらえますか?」・・・回答「出来ません」
「食事や休憩の時に、話のあう方の隣にしてもらえますか?」・・・回答「出来ません」
不満がたまっているところに、今回の介護認定『要介護5』、が来た。(・・・骨折したから仕方ないんだけど)
「グループホームに変えようかな」、と。

グループホームの入所人数は最大9人。
目が行き届くし、毎日体操、口腔ケア、レクもしてくれる。
そんなわけで、このところ色々手配等、動き回っていた。
本日、特養→グループホーム、無事移動完了。
契約手続きをし、市役所にも行き、必要なものも買い集めた。
まだ、当分ばたばたしそうだけど、ひとまず安心。

【備考】
介護される方の最終目標は特養である。
なぜなら、費用が安くてすみ、全て任せることが出来るから。
スタッフが病院に連れて行ってくれるし、不足の薬も段取りしてくれる。
オムツ、ベッド、車椅子も無料だ。
設備としてタンスも棚も完備されている。
費用は全て込みで月額6万円から7万円くらい。
皆さんが最終目標にするだけあって便利で安いのだ。
但し、要介護3以上必要で、順番待ちも激しい。

一方、グループホームは要支援2以上で、市民なら誰でもOK。
でも、オムツ、ベッド、車椅子は自腹。
敷カバー、掛カバー、枕カバー、夏布団、タンスも用意する必要がある。
病院に行くにもある程度自分で動く必要がある。
そのたびに介護タクシーも必要。
費用も、最初に入所金15万から80万くらい必要なところが多い。
毎月の費用も15万くらい必要。
両者の違いは、年間で100万くらいの差額になる・・・10年で1,000万か、と。
(政府が老後に2,000万円必要、って言うのは、この為なのか?)

今回は悩み、迷った。
特養のままでいいじゃないか、と。
この8年十分やったじゃないか、と・・・。
でも、悔いを残したくないな、という思いもある。
少しでも元気で、笑顔で、老後を送らせたいな、と。
結局、今回の決断となった・・・(自分の老後資金が残るかなあ)。

図書館再開

2020年05月16日 08時20分49秒 | 身辺雑記
私の住所地の図書館が段階的に再開される。
5月18日(月曜日)から、取り置きされている図書の受け取りが出来る。(分室は未定)
また、5月23日(土曜日)の9時30分から新たな予約の受付を再開。
ありがたいことだ。

「月に咲く花の如く」

2020年05月12日 18時21分47秒 | TV/ドラマ
海外ドラマ「月に咲く花の如く」を、Amazonで観た。(原題「那年花開月正圓」)

清朝末期を背景に、西安の近くにある涇陽(陝西省涇陽県)を舞台に展開する。
ヒロインは周瑩、孤児で養父に育てられる。
親子で大道芸をして放浪している。

涇陽に来たとき、養父が博打の形に周瑩を商家に侍女として売ってしまう。
持ち前の明るさで毎日を過ごすが、側女にされそうになって、涇陽で一番裕福な商家に逃げ込む。ここから物語は本格的に回り出す。

周瑩は賢く誠意があり、とてつもない商才の持ち主であった・・・実在するモデルがいるそうだ。 成長物語、歴史劇、復讐譚、成功譚、群像劇、恋愛、ミステリ、様々な要素を併せ持った作品だ。多くの登場人物が複雑に絡み合い、愛憎劇が進行する。

USA海外ドラマと違って、湿っぽく、洗練されていない。悪く言えば、演出は泥臭い。(わざわざ泥水で倒れ込んだり、とか)それでも、圧倒的なベクトルがあって引きつけられる。テーマは、「誠」「信」「慈悲」。これも、米ドラマでは無いだろう。
全部で74話、1話=45分として3,330分(約56時間)、毎日8時間観たとしても1週間掛かる。もし観ようと思うなら、気合いを入れて観て。(コロナ外出自粛の今がチャンスかも)

【感想】
スタッフに日本びいきの方がいるのか、好意的に描かれている。
この時代背景だと、日本を悪く描いてもおかしくないんだけど。
「愛国教育」の悪影響は感じられない。日本を近代化の手本のように描き、登場人物にもそのように語らせている。(実際、中国建国の父・孫文は日本に留学して犬養毅の世話になっている)その辺りを踏まえているのかもしれない。

【おまけ】
私は、ドラマと相性が悪く、海外ドラマに限らず、日本のものも最終話まで観る忍耐が続かない。面白いと感じたのは「マーベラス・ミセス・メイゼル」くらい。(3回観た)
あとは、1シーズンさえ保たず、短いのは1話の途中で投げ出した。
でも、「月に咲く花の如く」は、最終話まで観続けることができた。(快挙だ)

【黄金律】
これだけ長大な作品を引っ張るには、相当なヒロインの魅力と巧妙なストーリー展開が必要。ここでも黄金律が生かされている。複数の異なる魅力を持つイケメンからの求愛(かぐや姫クラス)+すれ違い、である。嫌われ役・柳婉児、胡咏梅、杜明礼もよく頑張って物語を引っ張った。脚本を書いた方は手練れである。

【追記】
ヒロイン・周瑩がモテる分、呉漪(ごい)や玲瓏(れいろう)が割を食ってしまう。気の毒としか言い様がない。
春杏(しゅんきょう)は、その後どうなったのだろう?
一生侍女として周瑩に仕えたのだろうか?
多分、周瑩が何らかの対処をしたと思う。
いくつも山場があるが、#6と#23を見逃してはいけない。
#6で重要な契機が起こり、#23から商人・周瑩の物語が実質始まる。ゼロからの戦いだ。何度も試練が襲いかかり、打ちのめされる・・・それでもヒロインは立ち上がり、知略の限りを尽くし、立ち向かっていく・・・涙、涙だ。

【公式サイト】1

【公式サイト】2

【参考リンク】

「ボーダー」垣根涼介

2020年05月07日 18時41分15秒 | 読書(小説/日本)
「ボーダー」垣根涼介

読み返し。
垣根涼介さんのヒートアイランド・シリーズ4作目にして最終巻。
内容は、シリーズの後日譚風だけど、一番面白く感じる。

アキとカオルは、渋谷の不良グループを脱退し、
その後、グループも開店休業状態。
カオルは、受験勉強をして東大に合格していた!

ある日、カオルは同じ語学クラスの慎一郎と、ファイト・イベント(ほとんど喧嘩)を見に行く。それは、かつて自分たちが主催したイベントのぱくりだった。
怒ったカオルは、疎遠になっていたアキを呼び出し相談する。

【おまけ】
この4巻目で、いちおう打ち止め、となっている。
続編を書こうとおもえば、出来るような気がする。
これで終了、ってのは、ちょっと残念な気がする。

【ネット上の紹介】
渋谷でのあの事件から3年。チームを解散し、別の道を歩み始めていたアキとカオル。ところがある日、カオルは級友の慎一郎が見に行ったイベントの話を聞いて愕然とする。それはファイトパーティーを模したもので、あろうことか主催者は“雅”の名を騙っていたのだ。自分たちの過去が暴かれることを恐れ、カオルはアキに接触するが―。

覚書

2020年05月07日 18時29分13秒 | クライミング(一般)
セブンエー、手続き完了のお知らせが来た。
セブンエー山岳タイプ(A21L)、8,400円。(期間:2020/5/1-2021/5/1)
3月11日振込→5月7日お知らせ。(約2ヶ月かかる、ってのは遅くない?・・・「お振り込みありがとう」、のお知らせくらい欲しい・・・ちなみに加入者証はまだ来ない。早くに振り込んでるんだから準備しておいて同封したらいいのに。段取りどうなってんの?)

自動車税振り込み依頼がきた。
明日振り込み予定。

「引き抜き屋」雫井脩介

2020年05月06日 06時58分35秒 | 読書(小説/日本)
①「引き抜き屋 鹿子小穂の冒険」雫井脩介
②「引き抜き屋 鹿子小穂の帰還」雫井脩介

読み返し。
近年これほど楽しい気分で、わくわくしながら読んだ小説はない。
最初図書館で借りて、あまりに面白かったので、文庫化されたときに購入しておいた作品。新米ヘッドハンターの活躍を描くお仕事小説で、終盤はM&Aを描く企業小説の様を呈する。

①P156
ヘッドハンティングは、その業界ではエグゼクティブサーチとも言われ、ヘッドハンティング会社はサーチファームという名で呼ばれている。ヘッドハンターはコンサルタントという肩書きが付くのが一般的だ。

【感想】
登場人物それぞれに個性的で魅力がある。
特に、ヒロインの情に厚く、時に、とぼけた感じがいい。
最初、新米らしく「ひよっこ」感満載だったけど、章をおって成長していく。
各章によって、ビジネス内容が変わり、業界の内実も知れて興味深い。
構成も緻密で、①の出だしと②の最期で、つじつまが合うようになっている。(驚く)

【おまけ】
以前も書いたが、杉田敏先生が、「ヘッドハンターの名刺はどうなってるんでしょうねえ・・・『ヘッドハンター』とは書かれてないと思います(笑)」、と言われていたのを思い出す。
本書は①②同時出版され、その後、③は出ていない。シリーズ化されることを切に願う。(著者は、「犯人に告ぐ」シリーズが有名だけど、私はこちらの方が好みだ)

【参考リンク】
「引き抜き屋 鹿子小穂の冒険」(1)雫井脩介
「引き抜き屋 鹿子小穂の帰還」(2)雫井脩介

【ネット上の紹介】
父が創業した会社で若くして役員となった鹿子小穂は、父がヘッドハンターを介して招聘した大槻によって会社を追い出されてしまう。そんな小穂を拾ったのは、奇しくもヘッドハンティング会社だった。新米ヘッドハンター・小穂は、一流の経営者らに接触するなかで、仕事や経営とは何か、そして人情の機微を学んでいく―。緊迫感溢れるミステリーで人気の著者が新境地に挑んだ、予測不能&感涙のビジネス小説。

「白夜行」東野圭吾

2020年05月05日 15時09分17秒 | 読書(小説/日本)
1973年に起きた殺人事件。
被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂。
(亮司がやたら暗い少年、雪穂がとてつもない美少女、って設定)
この2人を中心に、約20年の歳月をかけた時代背景、精緻な物語が展開する。

P16
「女というのは恐ろしいな。現場が家から目と鼻の先やっちゅうのに、一応化粧してきよったもんなあ。そのくせ亭主の死体を見た時の泣きっぷりは、かなりのもんやった」

P358
「あんた、馬鹿だねえ。家に金があるから、ああいう紳士が出来上がるんだよ。顔立ちにだって、気品ってもんが出てくる。あの人だって、貧乏人に生まれてたら、もっと下品で卑しくなってたに決まってるよ」

P436
「俺の人生は、白夜の中を歩いているようなものやからな」
「白夜?」
「いや、何でもない」

P767
だが雪穂と一緒にいると、美佳は次第に自分の身体が強張ってくるのを感じる。決して隙を見せてはならないと、心の中の何かが警告を発し続けるのだ。あの女のオーラには、これまで美佳たちが生きていた世界には存在しない、異質な光が含まれているような気がする。そしてその異質な光は決して美佳たちに幸福をもたらさないように思えるのだった。

【感想】
15年くらい前に買って、そのまま積んでおいた。
なぜか、急に読みたくなった。(コロナのせい?)
どちらかというと、私の趣味じゃない(と思っていた、だから積んでおいた)。
中心となる人物2人の心理描写がない・・・状況と行動ばかりが語られる。
読み手は推察するしかない。
物語もやたら暗い。(状況そのものが「白夜」)
それにもかかわらず、圧倒される。一気読みだ。
今は、「読むべし」と思う。

【おまけ】1
読む前は、「風紋」や「晩鐘」のような作品を想定していた。
しかし違った。
読んでいて、なんとなく「模倣犯」「黒い家」を思い出した。

【おまけ】2
大阪が重要舞台となるので、大阪弁も含めて親しめる。
大阪の地図を見ながら読んだ。
布施の手前が今里。(さらに西が鶴橋)
「じゃりン子チエ」の新世界、西成区に匹敵するディープな(大阪らしい)地域、と思う。地理として「血と骨」と重なる部分がある。

【参考リンク】
「風紋」乃南アサ

「晩鐘」乃南アサ

「血と骨」梁石日

【ネット上の紹介】
1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々に浮かぶが、結局、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂―暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別々の道を歩んで行く。二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪。だが、何も「証拠」はない。そして十九年…。息詰まる精緻な構成と、叙事詩的スケール。心を失った人間の悲劇を描く、傑作ミステリー長篇。