【ぼちぼちクライミング&読書】

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「2040年の日本」野口悠紀雄

2024年03月29日 07時29分40秒 | 読書(現代事情)


「2040年の日本」野口悠紀雄

P63
年金については、支給開始年齢を、現在の65歳から70歳に引き上げるといった対策が必要になるだろう。

P131
日本は、賃金の面で、もはや魅力的な国ではなくなりつつある。国際的な介護人材は、中国やオーストラリアにとられてしまい、日本には来なくなるといった事態は、十分に考えられる。

P139・・・2050年の未来予測(カリフォルニア大学)
ガンが克服される。
視覚障害者はいなくなる。
遺伝子編集工学によって、新しい人類を造ることも可能になる。
人間とAIの融合が可能となる。
人工腎臓が開発されるので、人間が臓器提供する必要がなくなる。
失った歯が再生可能になる。
エイズが根絶される。

P211
自動車が完全自動運転になれば、交通事故は8割以上減少するといわれる。そうなると、交通警察は縮小を余儀なくされ、警察は大量の余剰人員を抱えることになる。(タクシー業界はどうなるのだろう?電気自動車になれば、車に使われている内燃機関はどうなるのだろう?すそ野の、部品供給下請けは?)

P264
作業ロボットが普及すれば、無人工場、無人店舗、無人物流倉庫、無人宅配搬送が実現する。

【感想】
かつて、パソコンが普及すればペーパーレスになると言われた。
実際は、紙の使用が増えた。
私が子どもの頃、1人1台「携帯」を持つ時代が来ると思わなかった。
未来を予想するのは難しい。

【ネット上の紹介】
20年後、いまと同じ社会が続いていると無意識に考えていないか。2040年、国民の年金や医療費などの社会保障負担率は驚くべき数字になる。現在と同じような医療や年金を受けられると思ったら大間違いだ。事態改善の鍵を握る、医療や介護におけるテクノロジーの進歩は、どこまで期待できるのか。60年近くにわたって日本の未来を考え続けてきた著者が、日本経済や国力をはじめ、メタバースやエネルギー問題、EVや核融合・量子コンピュータなど幅広い分野について言及。未来を正しく理解し、変化に備えられるかどうかで、人生の後半は決まる!
第1章 1%成長できるかどうかが、日本の未来を決める
第2章 未来の世界で日本の地位はどうなるか
第3章 増大する医療・介護需要に対処できるか
第4章 医療・介護技術は、ここまで進歩する
第5章 メタバースと無人企業はどこまで広がるか
第6章 自動運転とEVで生活は大きく変わる
第7章 再生可能エネルギーで脱炭素を実現できるか
第8章 核融合発電、量子コンピュータの未来
第9章 未来に向けて、人材育成が急務
おわりに:われわれは、未来に対する責任を果たしているか?


「儒教と負け犬」酒井順子

2023年08月14日 06時53分15秒 | 読書(現代事情)


「儒教と負け犬」酒井順子

韓国、中国と、儒教の影響甚大なる国を訪問して座談会をひらく。
少子化と晩婚化の謎を追う旅行記。

P37
韓国の男性が兵役に就くのは、大学在学中のことが多いとのこと。つまり恋愛したい盛りのお年頃に、2年間も世俗を離れなければならないわけです。
すると、それまで交際していたカップルも、どうしても彼が兵役中に別れてしまうことが多くなる。

P55
儒教といえば親孝行、というイメージもあるわけですが、この「孝」という教えは、親孝行だけを指すものではありません。祖先の祭祀、親孝行、そして子孫を生むことという3点セットが「孝」なのだそうです。

P94
纏足がいつ始まったのかは定かではないそうですが、宋代末期には、女性が纏足をしないで「大足」のままでいると、人に笑われるような時代になりました。大足で闊歩しながら現代を生きる私のような者からすると、「しかし何故、足を小さくなどする必要が?」と思うわけですが、
①大足のままで肉体労働をするような下層民ではない、ということを示すため。纏足をしていないと結婚もできない、という風潮もあった。
②女性の行動範囲を制限するため
③男性の性欲を刺激するため
(中略)
女性を自らの支配下に置くため、女に凌駕されないため『纏足の歴史』
「女が卑弱で、人の下にいるのが主であることを明らかにするためであった」(班昭『女誡』)
「婦女は纏足する必要がある。さもなければ、男子のように強壮になり、夫になる者が征服することができない」(『海客談蓮』)

P102
「婚姻の問題があるのは、三高の女性たちですね」
(中略)
「学歴が高い、収入が高い、そして年齢が高いということです」
(中略)
「いい男はみんな結婚しちゃった。いい女はみんな残っちゃった」

P105
(上海は)急激な少子化&高齢化の危機が叫ばれており「白髪都市」などと言われはじめているとのこと。

P107
「上海では三高女と三低男は、絶対にくっつかないんですよ。三高女は余ってるけど、三低男は、余ってないから」
とのお答え。
「えっ、なぜ三低男は余っていないのですか?」
とさらに問えば、
「上海には『外来の嫁』という言葉があります。上海の三低男は、地方とか農村から嫁を取ればいいんです」
(中略)
「それだけではありません」
と周先生。
「面子の問題も、あるでしょうね」
(中略)
「自分より下の男は絶対にイヤ、という三高女が多いですね。それに、もしそういうカップルができたとしても、周囲の反対がものすごいです」
(中略)
「三高でなおかつ美人という人が上海にはたくさんいますが、あまりに完璧だと、かえって男性に恐怖心を与えるようです。(後略)

【参考】
儒教は基本的に男性のための宗教、上層部のための宗教であり、女性や下層階級はその枠のなかから排除されてしまう。「教養としての宗教事件史」島田裕巳P252)

【ネット上の紹介】
負け犬(日本)、老処女(韓国)、余女(中国)。何故、この三国で晩婚化が進むのか?負け犬の敗因が浮き彫りに…。
「老処女」を巡るソウルの旅(姦通罪のある国で
ソウル負け犬座談会1―法事とママボーイ

ソウル負け犬座談会2―徴兵制とカリスマ性
ソウル勝ち犬座談会―整形と受験地獄
儒教のプレッシャー
韓国女性開発院を訪ねて
老処女の結婚条件
発信する老処女達)
「余女」を巡る上海の旅(纏足が千年続いた国で
上海市婦女幹部学校を訪ねて(革命と男女平等
面子と三高女)
上海負け犬座談会1―親と上海男
上海負け犬座談会2―合コンと不倫
上海勝ち犬座談会1―女王と料理
上海勝ち犬座談会2―ツンデレと縁文)
儒教と負け犬(「女大学」を読む(三従と七去
益軒と諭吉)
「列女伝」を読む―強さと従順)
負け犬三都調査(その、恋愛とセックス
その、結婚と結婚後)
負け犬たちの希望


「不倫と正義」中野信子/三浦瑠麗

2023年02月13日 06時54分23秒 | 読書(現代事情)


「不倫と正義」中野信子/三浦瑠麗

中野信子さんと三浦瑠麗さんの対談。
中野信子さん1975年生まれ、三浦瑠麗さん1980年生まれ。
二人とも東大大学院卒業。
なぜ不倫は過剰にバッシングされるのか?、ってのがテーマ。

P130
中野:そもそも結婚って、財産の散逸を防ぐとか、あとは人口の管理とか、そういうことのために国家が行ってきたものなのかなという前提があったとすると、もうあまりその役に立ってないですよね。(中略)
フランスだとこのPACSも含めた婚外子の割合って、半分を超えているんですよね。それを考えると、結婚があった方が国力を削いでいるんじゃないかって印象がある。
(PACS=(Pacte Civil de Solidarité) 民事連帯契約法 のこと、中野信子さん曰く「同棲以上、結婚未満」みたいな制度)

P202
中野:道徳って多分、老子の『道徳経』が由来なんですよね。老荘思想から来てるのなら、道徳の「道」はタオと読む「道」なんだと思うんですけども・・・・・・

P235
中野:また同じことを言っちゃうけど、結婚という制度があまり人間にあってないんだと思うんだよな。
(中略)
そんな何十年も一緒にいるってね。これって人間の平均寿命が40年とかの時代の制度ですよ。なのに私たち、何なら本当に120とかまで生きるかもしれない。(中略)
やっぱり結婚って、子育てを円滑に進めていくための共同経営みたいな部分はある。そこはプロジェクトみたいなもので、プロジェクトが終わってもまだチーム解体しないのかよっていうつらさも出てくるかもしれない。相手のことが嫌いになるとかそういうのじゃないんだけど、何かほかに目を向けちゃいけないつらさみたいなね。

P94
三浦:イギリスの男性向けの啓蒙CMで、性行為を紅茶を飲ませることに例えてるものがあるんですね。(この動画のこと→ 性行為の同意を紅茶に置き換えて下さい! - YouTube

【参考】


「サイコパス」中野信子

「毒親 毒親育ちのあなたと毒親になりたくないあなたへ」中野信子

【ネット上の紹介】
世に不倫は数多い。2020年のある調査によれば、恋人や結婚相手以外の人とセックスをしている性交経験者の割合は男性が4割強、女性が3割強。とりわけ「働く既婚女性」の不倫が増加中だ。ではなぜ有名人の不倫ばかりがバッシングされるのか。「愛のある」不倫も許されないのか。そもそも結婚制度とは、人間の本能とは―。脳科学者と国際政治学者、異分野の知性が語り尽くす男と女、メディア、国家、結婚の真実。
第1部 不倫とバッシング(増える不倫
バッシングの過激化 ほか)
第2部 男と女の性と権力(よい恋愛に必要なもの
家では男尊女卑、外ではリベラル ほか)
第3部 結婚の罪(結婚の4階建て構造
家族のかたちと社会の意識 ほか)
第4部 不倫の「倫」(「倫」とはなにか
価値観調査に見る日本 ほか)


「日本に住んでる世界のひと」金井真紀

2023年02月09日 08時03分44秒 | 読書(現代事情)


「日本に住んでる世界のひと」金井真紀

日本には、多くの外国人が住んでいる。
いったいどんな経緯で日本に住むようになったのだろう?
その一端でも知りたくて読んでみた。

ネット上の紹介を見ると、『日本で暮らしている外国人は276万人余。そのほんのひとすくい、18組20人のストーリー』と書かれている。
読んでよかった、おそらく今年のベストの1冊。

P37
「華僑は日本企業に勤めることができなくて、だいたい床屋、料理屋、洋服屋のどれかになるの。三刀(サンダオ)って、な、聞いたことあるだろう?」
カミソリを使う床屋さん、包丁を使うコックさん、それに裁ちバサミを使う仕立屋さん、つまり「三つの刀の仕事」というわけだ。

P72
1910~20年代生まれの在日コリアン女性のインタビュー集では「女の子は字を知らなくほうがいいと言われて育った。なまじ字が書けると、嫁入り後の苦労を手紙に書いて送ってきて、実家の親を悲しませることになるから」というエピソードがたびたび語れていてびっくりする。

P166
ミャンマーの役人、ホントに腐ってる。(このエピソードを読んでみて。賄賂をもらいつづけ平然としている役人が描かれていて、激しい憤りを感じる)

P219
当時アメリカには白人と異人種(黒人やアジア人)の結婚を認めない州がいくつもあった。理由は「白人の優秀な血を守るため」だって。(中略)異人種間結婚禁止法がある州に赴任する可能性があるため、軍関係者は日本人と夫婦になることが許されなかった。多くの日本人女性が米兵と恋仲になり、ときに子どもを授かりながらもアメリカについていけなかった背景にはそうした理由もあるのだった。

【参考リンク】
「戦争とバスタオル」安田浩一/金井真紀

【ネット上の紹介】
一人ひとりの話を、のんびりじっくり聞いてきた。いろんな国から来た、隣人たちの生活物語。日本で暮らしている外国人は276万人余。そのほんのひとすくい、18組20人のストーリー。
いろんな国から来た、隣人たちの生活物語。 アイスランド、南アフリカ、スペイン、バルバドス、メキシコ、中国、イタリア、ミャンマー、セネガル、モルディブ、韓国、エストニア、フィリンピン、アルメニア、東ティモール、北マケドニア、アメリカ、中国・内モンゴル自治区、コンゴ民主共和国…来日した理由はさまざま。暮らしぶりも十人十色。 一人ひとりのストーリーを通して見えてくる普段の生活、そして難民問題、地球温暖化、ジェノサイド、民主化運動、差別の歴史など。 ●北マケドニア ペレ・ヨヴァノフさん上野公園のチェリスト ●フィリピン 長谷川ロウェナさん労働組合のリーダーとして仲間を守る ●モルディブ ラシード・モハメドさん海面上昇で故郷はがらりと変わった ●日本生まれ、中国籍 黄成恵さん 横浜中華街育ち、元不良の料理人 ●バルバドス スプリンガー・ドーン・エイミーさん カリブ海から来た語学の達人 ●アルメニア グラント・ポゴシャンさん ジェノサイドを経験した国の大使 ●韓国 崔命蘭さん すぐ帰るつもりが75年、川崎のハルモニ ●アイスランド アルナ・イェンソンさん人口が少ないから、いろんな仕事を掛け持ちする ●スペイン、イタリア ドメリコ・ヴィタリさん、アントニオ・ガルシアさん、泉類治さん長崎のキリスト者たち ●中国・内モンゴル自治区 エンゲルさん 東京で起業したひと、ルーツは草原の遊牧民 ●東ティモール マイア・レオネル・ダビッドさん 12歳で山岳ゲリラへ、いまは広島弁の父ちゃん ●セネガル パパ・ダウダ・ンゴムさんサッカーボールを追い続けた青春 ●ミャンマー キンサンサンアウンさん1988年の民主化デモの後、17歳で日本へ ●エストニア ペーテル・パウル・ハッラステさん両親はレジスタンスの闘士だった ●メキシコ 長谷川ニナさんスペイン内戦で亡命した一家の子孫 ●コンゴ民主共和国 ポンゴ・ミンガシャンガ・ジャックさん入管法改悪デモで出会った、難民申請中のひと ●アメリカ ルーシー・クラフトさん 戦争花嫁の娘はジャーナリストになった ●南アフリカ ジョゼフ・ンコシさん アパルトヘイト時代を生きたジェンベ奏者


電力会社の責任

2022年06月19日 09時46分07秒 | 読書(現代事情)

原発に対する最終責任は、電力会社なのか?国なのか?
小熊英二さんが、今回の判決に対して分析している。


「百年の快楽」工藤美代子

2022年05月17日 00時34分43秒 | 読書(現代事情)


「百年の快楽」工藤美代子

熟年女性の結婚、離婚を扱った作品。
ネット上の紹介には、次のように書いてある。
『人生百年時代をどうやって幸せに生きるのか』、と。

P43
いくら慰謝料をもらったって、夫を略奪された前の妻の悲しみが癒えるわけではない。せめてもの誠意として、慰謝料を払うのなど当たり前だろう。それが高額であったことまで自分のステイタスに付け加えようとする後妻の根性にうんざりしたが、もちろん何もいわなかった。

P45
恋愛をする年齢に制限はない。だが、結婚まで踏み込むとなると、年齢は大きな意味を持ってくる。なぜなら、二人の残り時間は限られているのだから、その範囲で新家庭を築くのは簡単な作業ではない。

P137
この世には結婚に向かない女もいる。

P238
「驚いたわよ。80歳を過ぎて愛人をつくるなんて」という多恵さんの声は震えていた。「でも、80歳を過ぎているから、離婚したかったんじゃないかな」と私は返した。

P149
家庭なんて、古着と一緒かもしれない。いつもどこかを繕って、手当をしないとただのボロ布になる。(家庭とは二人で育てるもの、と何かで読んだ気がする)

P251
男女関係はある意味では銀行預金に似ているのではないかと私は常々思っている。
恋愛の過程で、お互いに相手が持っている口座に自分の愛情を振り込む。途中で相手に飽きたり、相手を嫌いになったら、もう振り込む気がしなくなる。口座は閉鎖され、男女の残金にも差が生じる。たくさん振り込んだ方が損をしたと文句をいっても、すでに後の祭りである。しかし、残高に不均衡があるからこそ、たいがいの恋愛が終わりを告げるのも事実だ。
一方、長い年月をかけて、必ず愛情を振り込み続けますと約束をするのが結婚ではないだろうか。
(中略)
でも、不倫にはこの預金口座がないと思うのだ。そもそも初めから貯めておかないのだから、引き出す愛情もない。

遊郭を経営していた老人の話
P55
娼婦の人たちは1日に10人のお客を取っても、性器が傷つくことはない。ところが、あるとき遊郭で火事があって娼婦たちが1ヵ月ほど営業できない期間があった。仕事に復帰した女性たちは、みんな「毛切れ」の症状を訴えたという。つまり休みの間はセックスをしないで、ゆっくりお風呂に浸かっていた。すると性器が乾燥してしまい客の陰毛で小さな傷が無数につくほど脆くなって、ひどく痛い。元のように戻るまでけっこうな日数がかかったそうだ。

【ネット上の紹介】
人生百年時代をどうやって幸せに生きるのか。女性たちは今、かつてない命題に直面している。望みさえすれば、誰もがいつまでも美しく、欲望も満たせる時代は到来したのだろうか。熟年の出逢いと結婚のドラマ。美容整形の最前線。年齢を重ねたゆえに襲いかかる性交痛。さらにはパートナーや親の介護から遺産相続などの経済的な問題まで…。ベストセラー「快楽」シリーズの作家が、後半生を迎えた女性の赤裸々な告白にとことん向き合い、鋭く現実を抉り出す(単行本『後妻白書』に大幅加筆し改題)。この本は、あなたが新しい一歩を踏み出す勇気を与えてくれる。
三桁が珍しくない時代の再チャレンジ
六十歳を過ぎても生々しく女でいたい
セックスに悩む女性たちの葛藤
美容整形とエステの最前線
遺産争いに立ち向かう心構え
結婚に向く人、向かない人
結婚相談所で聞いた「成否を分けるもの」
後妻に必要な覚悟とは
彼女たちの嫉妬の炎を鎮める方法
「高齢者の出会いスポット」巣鴨を歩く
「第一次後妻ブーム」のその後
せめて入籍さえしていれば
手酷いしっぺ返しを食わないために


「自発的対米従属」猿田佐世

2021年08月09日 08時07分03秒 | 読書(現代事情)


「自発的対米従属 知られざる「ワシントン拡声器」猿田佐世

黒船の時代から、日本は「外圧」に弱い。
政治家、官僚、企業は、それを巧妙に利用してきた。
大量の資金を投入し、都合のよい情報のみ流れるようにする。
日米外交、ってそんな裏があったのね、と。

P70
アーミテージら知日派たちが、自分たちの声を日本メディアに載せようとして動いたというのではなく、彼らの声を日本で広めたい日本の議員やメディアが積極的に動いたのである。

P72
「ワシントン発」の知日派の声、特にアーミテージ氏のように著名な知日派の声は、大きく拡大されて日本に跳ね返り、政権が推進しようとしている政策の後押しをしてくれるのである。

P101
日本国内ではニュース性のないことでも、ワシントンで話せば、日本では「重大ニュース」になる。

P240
米海兵隊は、朝鮮戦争における仁川上陸作戦などで、その存在意義を見事に示したと言われているが、既に、現在ではその独自の能力を発揮して活躍する軍隊ではなくなっている。(廃止したくても、元海兵隊出身の議員や支援者が廃止を許さないそうだ。そんな軍隊なら、少なくとも沖縄には不要じゃないの?、と。海兵隊は、1年のうち8ヶ月は東南アジアを回っており、沖縄にいるのは、わずか4ヶ月ほど)

【なぜ「アメリカ」は日本に原発維持を求めるのか?】P118
「原子力産業のパートナー、核不拡散のパートナーを失うから」
「濃縮ウラン産業を主とする米企業の保護」
「日本原子力技術の衰退はアメリカの原子力産業に影響を与える」
「ロシア、中国、インドが原発を推進する際に、アメリカとそのパートナーである日本が撤退することに対してのリスク」
「ドイツが脱原発をするなか、日本までやめてしまったら、原発に対するイメージが著しく悪くなるからなのでは?」
(三菱、東芝といった原発関連企業も、CSISに毎年、数百万以上寄付している)

【著名な知日派】
●リチャード・アーミテージ
●ジョン・ハムレ
●マイケル・グリーン
●ジョセフ・ナイ
●カート・キャンベル

【日本のシンクタンク】
野村総合研究所
三菱総合研究所
キャノングローバル戦略研究所
日本国際問題研究所

【アメリカのシンクタンク】・・・いずれも日本からの資金提供あり
ブルッキングス研究所・・・政府系+トヨタ、全日空、日立、三菱、日経、野村、北米ホンダ、丸紅、三井住友、
CSIS・・・笹川平和財団、三菱、経団連、NTT、富士通、丸紅、キャノン、日立、ホンダ、伊藤忠、三井物産、住友商事、トヨタ

【安保を破棄して国防力を持てるのか?】・・・「令和を生きる」半藤一利/池上彰
半藤:いま国防予算は5、6兆円ですよね。(中略)
もし仮に日米安保を破棄して日本が自主防衛するために独自の国防力をもつとなったら、どのぐらい金がかかると思います?防衛大学校の教授二人がその場合のシミュレーションをやった。それによると23兆円もの金がかかるんだそうですよ。これは核兵器をもたない場合の予算です。いわんや核兵器なんかをもつなんて言ったらとんでもないことになる。核兵器をもつとなると、核拡散防止条約から外されて、たちまち経済封鎖。経済封鎖を食らったら日本の国はもうお手上げです。
(中略)
池上:日本が核ミサイルを持つならば、ディーゼル型の潜水艦は長期間潜っていられませんからイギリスとおなじように原子力潜水艦をつくる必要が出てくる。経済制裁でウランが入って来なかったら原子力潜水艦の原子炉の燃料をどうします?
半藤:原子力潜水艦がなければ抑止力にならないんです。要するに、北朝鮮が何もアメリカにできないのは、原子力潜水艦がないからです。
池上:ええ。しかもその運用ということになると、つねに日本海溝なり日本海に潜ませておくためには一隻ではダメ。最低、三隻必要なんです。原子力潜水艦三隻を運用して、初めて最低限の核抑止力が完成する。さあ、日本はそれができますか、ということでしょうね。(中略)
半藤:借金大国の日本がね、それだけの予算をほんとうに投入できるんですか、ということなんです。

【ネット上の紹介】
これまでの日米外交は、アメリカの少人数の「知日派」と日本の政治家やマスコミが互いに利用しあい政策を実現するという「みせかけの対米従属」によって動いてきた。トランプ大統領が出現し、いま日本は何をなすべきか。ワシントンでロビー活動に長年携わった著者による緊急提言
第1章 外交は劇である
第2章 自発的対米従属
第3章 トランプ・ショックと知日派の動向
第4章 今後の日米関係の展望
第5章 外交・安全保障における市民の声の具体化のために
第6章 今、日本の私たちがなすべきこと

「社会を知るためには」筒井淳也

2021年02月27日 08時49分41秒 | 読書(現代事情)


「社会を知るためには」筒井淳也

社会学入門、とも言うべき作品。
随所に推薦図書も紹介されており、参考になる。
P87
二十世紀後半の社会変動にはいくつか大きな流れがありましたが、目につくところで大きな変化のうちのひとつが、女性の労働力参加です。

戦争と福祉充実の因果関係
P94
一般に戦争が生じると、稼ぎ頭である(働き盛りの)男性の障害や死、あるいは職場復帰の困難がもたらされるので、政府が国民の生活の保障をする必要が高まるのです。(男性がいないため、電車の運転は従来男性が行っていたのが、女性が進出した。ところが、大陸から男性が復員してくると、再び、女性は駆逐された、というような例がある・・・「チンチン電車と女学生」

社会主義と計画経済
P125
ほとんどの社会主義の国は、ロシアのように社会主義を捨ててしまうか、あるいは中国のようにそれを大幅に修正してしまいました。社会主義というのは、拡大する分業と資本がもたらす問題を解決しようという意図を込めた二十世紀の人類の壮大な実験であり、また壮大な「意図せざる結果」を生み出した運動でもありました。

P201
家族主義の国で家族を作らなくなっているというのは、逆説的な現象ですね。
(中略)
家族主義の国では、家族の役割が重いですから、気軽に家族を作るわけには行きません。ちゃんと機能する家族を作るために、女性はしっかり稼ぐ能力のある男性を探さなければなりません。

【ネット上の紹介】
「社会」という言葉は、様々な形で使われていて、普段は存在を意識しないが、その実態はとてもあいまいだ。では、どのようにすれば「社会」を理解できるのか?複雑化、副作用、絡み合う因果関係など、その特徴をつかむ。
第1章 「わからない世界」にどう向き合うか
第2章 専門知はこうしてつくられる
第3章 変化する社会をどう理解するか
第4章 なぜ社会は複雑になったのか
第5章 変化のつかまえ方
第6章 不安定な世界との付き合い方


「炎上CMでよみとくジェンダー論」瀬地山角

2020年12月02日 15時02分21秒 | 読書(現代事情)
「炎上CMでよみとくジェンダー論」瀬地山角

タイトルどおりの内容。
かつて炎上したCMを検証していく。
著者は、味の素が嫌いなようで、しつこく批判している。
製品は一切買わず、客先で味の素製品を出されても口にしない。

P48
一般的に個人が変えることのできないもの、社会学ではこれを「属性」と呼びますが、これにもとづいて人が不利益な扱いを受けることを、近代社会は「差別」と見なします。

P216
あまり知られていないことですが、台湾は同性婚に関してアジア最先進国です。(知らなかった)

【参考リンク】

【ネット上の紹介】
序章 なぜCMは炎上するのか
第1章 子育てママの応援かワンオペ礼讃か(性役割×女性)
第2章 ファッションや化粧品のCMは難しい?(容姿や性的メッセージ×女性)
第3章 何が「性的」とみなされるのか?(性的なメッセージ×男性)
第4章 「はたらけ!」といわれる男たち(性役割×男性)
第5章 マイノリティと言葉の政治
第6章 履いている下駄の高さ

「ふたつの日本 「移民国家」の建前と現実」望月優大

2020年04月12日 17時33分38秒 | 読書(現代事情)
「ふたつの日本 「移民国家」の建前と現実」望月優大
 
なぜ急激に在留外国人が増えたのか?
生産年齢人口と総人口のピークアウトに15年近いタイムラグがあったから、とある。そして、安倍さんは言い出した。
女性や高齢者は「活躍」するように、と。
外国人労働者も、この流れにある。
選挙の都合で、「保守」と「財界」でバランスを取ってきた自民党だが、両者にいい顔をするにも、限界が近づいてきた。どうする自民党?どうする日本?どうする我々?
 
P21
日本の人口が1億人を割り込むのが2050年前後。対して外国人人口は2012年から2017年までの5年間で50万人以上増加して300万人へと近づいている。
 
P29
「教育」の本質は新しい人間が古い世界の中に生まれてくるという事実のうちにある。古い世界は子どもという「新参者」を統合するために教育を行うわけだが、同じように移民という「新参者」にも統合の試みが必要だ。繰りかえすが「統合」=「同化」ではない。
 
P36
自国から外国へと移住するのが「emigrant」で、その逆に外国から自国へと移住するのが「immigrant」である。
 
政府の本音・・・
P201
グローバルな経済の論理にもとづいて外国人労働者の受け入れを拡大する。低賃金で働いてくれる外国人労働者にはできるだけ長く日本で働いてもらいたい。だが、いつかは帰ってもらいたい。外国人が定住という形で日本社会に浸透していくことは可能な限り阻止したい――。
 
P217
今、目の前にふたつの道がある――撤退ではなく関与の方へ、周縁化ではなく包摂の方へ、そして排除ではなく連帯の方へ。これは「彼ら」の話ではない。これは「私たち」の問題である。
 
【蛇足】1
パリやロンドンには、多くの移民が暮らしている。これは、植民地の宗主国だった関係だ。植民地の甘い汁だけ吸って、来るな、と言えない。
 
【蛇足】2
外国人が増えると、混血が増えるかも。
○○系日本人、とか、アメリカのようになるかもね。
でも、政府は日本人を和牛のしたい?
秋田犬は好きだけど、雑種の方が元気だ。(とりとめもない感想でスマン)
 
【参考リンク】
「コンビニ外国人」芹澤健介
 
「私たちの国で起きていること」小熊英治
 
「移民大国アメリカ」西山隆行
 
【ネット上の紹介】
日本はすでに「移民国家」だ。この30年間で在日外国人の数は94万人から263万人へと約3倍に増加し、永住権を持つ外国人も100万人を突破した。2019年春からは外国人労働者の受け入れがさらに拡大されることも決まっている。私たちは「平成」の時代に起きたこの地殻変動を正しく認識できているだろうか? いま必要なのは、この「遅れてきた移民国家」の簡単な見取り図だ。「日本」はどこから来てどこに向かうのか?
はじめに 「移民」を否認する国
第1章 「ナショナル」と「グローバル」の狭間
第2章 「遅れてきた移民国家」の実像
第3章 「いわゆる単純労働者」たち
第4章 技能実習生はなぜ「失踪」するのか
第5章 非正規滞在者と「外国人の権利」
第6章 「特定技能」と新たな矛盾
終章 ふたつの日本

「こども六法」山崎聡一郎

2020年04月05日 19時04分54秒 | 読書(現代事情)
「こども六法」山崎聡一郎

著者はいじめ経験者。
こどもにも分かるように、法律を解説したのが本書。
「いじめは犯罪ですよ」、と。
「具体的ないじめに対して、この法律が適用されますよ」、と。
2019年、第54回書店新風賞受賞。

P6
「六法」は通常、日本国憲法・刑法・民法・商法・刑事訴訟法・民事訴訟法の6つ法律を指します。(中略)『こども六法』では、子どもとあまり関係のない商法の代わりに少年法、いじめ防止対策推進法を掲載しています。

P107
民法がほかの法律と違うのは、本人同士が納得して約束した内容であれば、民法に書いてあるのと違っていてもOKな場合もあるということです。(これって、本人同士が納得してたら「愛人契約もあり」、ってこと?・・・子どもには関係ないけど)

P187
19条3項 インターネットを使っていじめが行われた場合、いじめを受けた子どもまたは保護者は、いじめに関係する情報の削除を求め、また、誰がその情報を発信したのかを調べようとするときは、必要であれば最寄りの法務局や地方法務局という機関に協力を求めることができます。(昔と違って、今は『ネット上のいじめ』があるから大変だ。LINEグループで仲間になったり外されたり、すぐにレスしないと陰口を言われるし・・・これはママ友にも言える・・・ホント、しんどくて大変な世の中だ)

【ネット上の紹介】
いじめや虐待は犯罪です。 人を殴ったり蹴ったり、お金や持ち物を奪ったり、SNSにひどい悪口を書き込んだりすれば、大人であれば警察に捕まって罰を受けます。 それは法律という社会のルールによって決められていることです。 けれど、子どもは法律を知りません。 誰か大人が気づいて助けてくれるまで、たった一人で犯罪被害に苦しんでいます。 もし法律という強い味方がいることを知っていたら、もっと多くの子どもが勇気を出して助けを求めることができ、救われるかもしれません。 そのためには、子ども、友だち、保護者、先生、誰でも読めて、法律とはどんなものかを知ることができる本が必要、そう考えて作ったのが本書です。 小学生でも読めるように漢字にはすべてルビをふり、法律のむずかしい用語もできるだけわかりやすくして、イラスト付きで解説しています。 大人でも知らないことがたくさんある法律の世界、ぜひ子どもと一緒に読んで、社会のルールについて話し合ってみてください。
第1章 刑法
第2章 刑事訴訟法
第3章 少年法
第4章 民法
第5章 民事訴訟法
第6章 日本国憲法
第7章 いじめ防止対策推進法

「ふるさとって呼んでもいいですか」ナディ

2019年09月02日 07時45分48秒 | 読書(現代事情)
「ふるさとって呼んでもいいですか」ナディ

著者は6歳の時にイランから来日する。
親の出稼ぎについてきたのだ。
出稼ぎというと、たいてい単身なのに、珍しい例だ。
最初、日本語がまったくできなかったが、テレビや友人、その家族から学んでいく。
支援団体により公立の学校にも通えるようになる。
その成長の記録と、思ったことが綴られる。

来日当初
P33
そういえば、「おしん」や「水戸黄門」で見たような着物をだれも着ていないだけではありません。イランでは、女性は人前に出るときかならずスカーフを巻きます。それなのに、ここではひとりもスカーフをつけていません。スカーフを巻くのが当たり前の世界から来た私にとって、スカーフをせずに街を歩くというのは、水着で街中を歩くような恥ずかしさを感じることでした。

P126
イランでは羊飼いが犬を飼うことはあっても、ペットとして飼うことはありませんでした。イランで「フランダースの犬」をお母さんが見たとき、
「犬があんなに賢いなんて。アニメだから、魔法みたいなものね」
と言っていたほどでした。

P212
教育機会を奪われたまま成長すると、母文化と日本文化の両方ともが中途半端な状態になります。母国と日本のどちらにおいても、学習レベルが低いままになり、将来就ける仕事の選択肢が狭まるなど、様々な機会を奪われてしまいます。

【ネット上の紹介】
漢字にも負けず、豚肉にも負けず、ブルマや水着にも負けず…日本という異文化に投げ込まれたイラン人少女の奮闘と成長の記録。だいじょうぶ。私たちはずっと前から隣人です。
第1章 外国に行くってどういうこと?
第2章 想定外!な日本の暮らし
第3章 うれしい、楽しい、でも困った学校生活
第4章 日本で胸をはって暮らしたい!
第5章 私はイラン人?日本人?
第6章 私はここにいます

「私たちの国で起きていること」小熊英治

2019年05月11日 21時09分50秒 | 読書(現代事情)
「私たちの国で起きていること」小熊英治

朝日新聞論壇時評(2016年4月~19年3月)、夕刊連載「思想の地層」(2014年4月~16年3月)が1冊にまとめられている。
リアルタイムで読んでいるが、改めて読み直して感心した。
様々なテーマを深く掘り下げて、情報を提供してくれ、分かりやすく説明し、考えるヒントを与えてくれている。新書にしては部厚い372ページだが退屈せず最後まで読めた。

P93
世界の風力発電設備容量は15年に原発を抜き、太陽光も原発に迫っている。発電コストも大幅に下がり、日本が原発輸出を試みている英国でも、風力の方が新型原発より4割近くも安い。

P130
米軍基地の7割が集中する沖縄だが、県民総所得に占める基地関連収入は5%にすぎない。基地返還跡地を再開発した地区では、直接経済効果が返還前の平均28倍であり、基地はむしろ発展を阻害している。国からの財政移転は都道府県中12位で、特段高くない。

P143
例えば1978年にA級戦犯を合祀した靖国神社宮司の松平永芳はこう述べた。
「現行憲法の否定はわれわれの願うところだが、その前には極東軍事裁判がある。この根源をたたいていまおうという意図のもとに、“A級戦犯”14柱を新たに祭神とした」。

P263
議員たちに問いたい。いつも黒塗りの車で移動し、地下鉄にさえ乗らず、数キロ四方の数千人の中で議論し、業界団体と後援会から民情を聞く。そんな状態で、国民の不安がわかるのか。国内の「人間の安全保障」を疎かにして、何の安保法制なのか。

P266
まず東京裁判なしには、日本国の国際復帰はありえなかった。また当時の国際情勢では、東京裁判と第9条なしに、第1条の前提である天皇の存続もありえなかった。
 そして第9条は、米軍の駐留抜きに実在したことはない。すなわち1952年までは占領が、1952年以降は日米安保条約が、米軍の駐留を正当化してきたのである。
 つまり「日本国」とは、第1条、第9条、東京裁判、日米安保の四つに立脚した体制である。これら四つは、相互に矛盾しながらも、冷戦期の国際条件では共存してきた。

P290
そもそも米軍は、日本との「防衛条約」を望んでいなかった。(中略)
つまり、日本防衛の義務がある「防衛条約」よりも、基地提供条約である「安保条約」の方が、後方基地としての活用には好都合だったのだ。
 問題を複雑にしたのは、日本政府の姿勢である。この条約に署名した吉田茂首相は、これが日本を防衛する条約ではなく、米軍に基地の自由使用を認めた条約であることを理解していた。そして同行した池田勇人に「君の経歴に傷が付くといけないので、私だけが署名する」と述べていた。しかしその後の歴代政権は、これを日本防衛のための条約だと説明した。このため、「建前」と、米軍の基地の活動の実態が、乖離することになったのだ。

【ネット上の紹介】
移民と自衛隊、社会の分断、沖縄と本土──。デモに出かけ、被災地に出かけ、隣近所に住む主婦とも日常会話する「行動する社会学者」の物の見方・思考法がわかる。朝日新聞論壇時評(2016年4月~19年3月)、夕刊連載「思想の地層」(2014年4月~16年3月)をまとめて一冊に。
1 論壇時評 2016‐2019(冷戦後30年の日本―世界の変化になぜ遅れたか
この国のかたち―タブーなき議論で再確定を
富山=北欧論争―「日本土着の改革」の可能性
閉じこもる言論―固定ファン頼み、こぼれる声
外国人との共存―ずさんで不透明な壁が阻む ほか)
2 時評 2011‐2016(被災地と向き合って―欠落した知恵と勇気
「無難」な報道機関、必要か
世界の解雇規制―ルールに透ける「社会」
揺らぐ政治秩序―20世紀の常識、不適合
連立与党の公明党―政界適応で招いた危機 ほか)

「コンビニ外国人」芹澤健介

2019年05月06日 22時07分50秒 | 読書(現代事情)
「コンビニ外国人」芹澤健介

日本で働く外国人ルポ。
どこから来てるのか?
日本を選んだ理由は?
受け入れる側・日本の課題は?
いちばん多いのは中国人
次いで多いのは韓国人(永住権を持っている在日コリアン含む)だが、減少傾向…日本で学びたい韓国人が減ってるし、在日コリアン社会も日本全体と並行して高齢化しているから
こ数年で増加しているのは、ベトナム人(23万人)、ネパール人(7.4万人)
いちばん多いのは製造業30.2%、
次いで多いのが卸売業・小売業(コンビニやスーパーなど)13%

P10
彼らをさまざまな角度から見ていくことで、彼らが暮らしている社会、すなわち日本という国の実相や課題が自ずと浮かび上がってくるに違いない。

スイスの作家・マックス・フリッシュの言葉
P62
「労働力を呼んだら、来たのは人間であった――」

P101
そもそも技能実習制度は建前としては日本が“国際貢献”するために作られて制度である。(中略)
技能実習法では、その基本理念として「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」(第三条第二項)と記されている。
 ところが実態は、いまでは誰もが知っているように、各方面の労働力不足を外国人労働者が埋めるという人材供給制度になっている。

P197
日本の総人口が一億人を割り込むのは2053年。

【ネット上の紹介】
全国の大手コンビニで働く外国人店員はすでに四万人超。実にスタッフ二十人に一人の割合だ。ある者は東大に通いながら、ある者は八人で共同生活をしながら―彼らはなぜ来日し、何を夢見るのか?「移民不可」にもかかわらず、世界第五位の「外国人労働者流入国」に日本がなったカラクリとは?日本語学校の危険な闇とは?丹念な取材で知られざる隣人たちの切ない現実と向き合った入魂のルポルタージュ。
第1章 彼らがそこで働く理由
第2章 留学生と移民と難民
第3章 東大院生からカラオケ留学生まで
第4章 技能実習生の光と影
第5章 日本語学校の闇
第6章 ジャパニーズ・ドリーム
第7章 町を支えるピンチヒッター
おわりに―取材を終えて

「はじめてのSNS」NHK出版

2019年04月08日 22時07分02秒 | 読書(現代事情)
「はじめてのSNS」NHK出版

LINE、Instagram、Facebook、Twitterについて書かれている。
それぞれの特徴、違いが説明され、登録の方法から説明される。