【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

「月まで三キロ」伊与原新

2019年04月30日 22時32分26秒 | 読書(小説/日本)
「月まで三キロ」伊与原新

短編集、6編収録されている。
物語が展開する中で、理系の蘊蓄が語られる・・・天文学、火山学、化石、素粒子。
そこに、プラスアルファの面白さがある。
著者は、神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。納得だ。
一番面白く感じた作品は、「山を刻む」。
姑の誕生日に家を出て、山に向かう主婦の話。
エンディングも素晴らしい。

P224
今日こうして一人で山へ来たのは、自分の気持ちを、覚悟を確かめるためでもあるのだ――。

P225
平日の昼下がり。わたしがぽつんと食卓の隅に座り、何を思い、悩んでいたか、夫は知っていただろうか。

【ネット上の紹介】
「月は一年に三・八センチずつ、地球から離れていってるんですよ」。死に場所を探してタクシーに乗った男を、運転手は山奥へと誘う。―月まで三キロ。「実はわたし、一三八億年前に生まれたんだ」。妻を亡くした男が営む食堂で毎夜定食を頼む女性が、小学生の娘に伝えたかったこと。―エイリアンの食堂。「僕ら火山学者は、できるだけ細かく、山を刻むんです」。姑の誕生日に家を出て、ひとりで山に登った主婦。出会った研究者に触発され、ある決意をする―。―山を刻む。折れそうな心に寄り添う六つの物語。

「日本人が勘違いしているカタカナ英語120」キャサリン A.クラフト

2019年04月27日 21時07分50秒 | 読書(英語)
「日本人が勘違いしているカタカナ英語120」キャサリン A.クラフト

いわゆる和製英語がテーマ。
正しい英語を教えてもらえるだけでなく、語源や定着した経緯も書いてくれている。
そこが興味深い。
具体的な文例も多数収録。

フライング= jump the gun
ドンマイ=Don't worry
マスターする=learn English 
リストラされる=lose one's job, be fired
メーカー=manufacturer
メモ=a note
アットホームな=cozy
エッチ!=Creep!(HENTAIの頭文字Hから来ている)
ノルマ=a quota(ノルマはロシア語)
サボる=cut / skip / blow off
 *sabotageフランス語から来ている
 sabot(サボ―)は、「木の靴」で、労働争議中に労働者たちが機械に木靴を押し込ん     で機械を破損させて仕事をできなくさせたことにより、sabotageという言葉が生まれました。

【感想】
こんなに和製英語って多いのか。
誰が創ったんじゃ!責任者出てこい、って気分。

【ネット上の紹介】
インスタ映え
アプリ
ラインする
(SNS上で)○○を友人リストに追加する
メル友
マストアイテム
アレルギー
ポイントカード/スタンプカード
フライングする
コンテンツ〔ほか〕
カタカナ英語とホンモノの英語のあいだには、案外深い溝がある。本書は、だれでも知っているカタカナ英語を手掛かりに、自然な英語表現を学んでしまおうというもの。英日両語の達人二人が、楽しく伝授します。

「ベルリンは晴れているか」深緑野分

2019年04月25日 20時10分14秒 | 読書(小説/日本)
「ベルリンは晴れているか」深緑野分

歴史ミステリ。
敗戦直後のベルリンが舞台。
まるでベルリンにいるかのような詳細な描写に圧倒される。
歴史とミステリ、両方のマニアを納得させる内容だ。

ナチス時代、焚書や閲覧制限があった
P205
ドイツ民族を讃える内容か、ユダヤ人や共産主義者を批判する話ばかりが本棚に並ぶ。シンデレラと王子は愛ではなく純血同士だから再び出会えて幸せになる、という結末の童話に変更された。

P241
「ナチス時代、そちらの内務省には姓名課というものがあったと聞いています。ダビデの星を付けさせるだけでなく、ユダヤ人にユダヤ人らしい名前を名乗らせるため、改姓の法律があったと」

P443
子どもは貪欲で残酷だ。大人が言う「若者の柔軟さ」なんて大嘘だね。あいつらほど思い込みが激しくて信じやすくて生真面目な世代は他にいない。

【ネット上の紹介】
総統の自死、戦勝国による侵略、敗戦。何もかもが傷ついた街で少女と泥棒は何を見るのか。1945年7月。ナチス・ドイツが戦争に敗れ米ソ英仏の4カ国統治下におかれたベルリン。ソ連と西側諸国が対立しつつある状況下で、ドイツ人少女アウグステの恩人にあたる男が、ソ連領域で米国製の歯磨き粉に含まれた毒により不審な死を遂げる。米国の兵員食堂で働くアウグステは疑いの目を向けられつつ、彼の甥に訃報を伝えるべく旅出つ。しかしなぜか陽気な泥棒を道連れにする羽目になり―ふたりはそれぞれの思惑を胸に、荒廃した街を歩きはじめる。最注目作家が放つ圧倒的スケールの歴史ミステリ。

「これは経費で落ちません」(5)青木祐子

2019年04月24日 20時12分37秒 | 読書(小説/日本)
「これは経費で落ちません」(5)青木祐子

シリーズ5作目。
次の5編が収録されている。

「佐々木真夕 初恋アレッサンドロ」
「山崎柊一 カラークリスタル」
「平松由香利 ゾンビと嘘と魔法の笛」
「中島希梨香 それでもあたしは男っぽい女」
「田倉勇太郎 三十八歳の地図」

今回は、趣向が異なる。
今まで、森若沙名子をヒロインとして物語が展開したが、
各短篇のタイトルを見て分かるように、本作は語り手が変わっていく。
過去のエピソードが、それぞれの脇役キャラクターから語られる。

P106
――大人の友情にはメンテナンスが必要です。

P177
「(前略)いくら性格が良くたって、モテるブスなんてこの世に存在しないっつーの!」

【おまけ】
森若沙名子の座右の銘は「ウサギを追うな」。
「不思議の国のアリス」から来ていると思う。
好奇心に駆られてウサギを追ったため、厄介ごとに巻き込まれる話。
経理をしていると、裏事情が見えてくるが、それを追求していると、トラブルに巻き込まれてしまう。
自戒のための座右の銘、かと。
(「マトリックス」でも、ウサギを追ってトラブルの渦中に填まり込む)

【ネット上の紹介】
真夕が経理部に異動してきて一カ月半。異動直後にミスをしてからは、数字が怖くて仕方がない。そんな真夕のストレス発散を兼ねた趣味は、ヴィジュアル系バンドの追っかけだ。イチオシはCAROLINEのボーカル“アレッサンドロ”。追っかけ仲間からアレッサンドロも参加すると噂の、複数バンドの合同打ち上げに誘われ?森若さんをとりまく天天社員の人生模様。

石清水八幡宮

2019年04月23日 19時19分32秒 | お出かけ
石清水八幡宮に行こう、と思いたった。
駅に向かおうと自転車に乗ると、パンクしていた。
近所の自転車屋で修理…540円。
出鼻をくじかれるが、気を取り直して駅に向かう。
京阪・八幡駅を降りて、正面に案内所がある。
係のおばさんが親切な方で、歩いて行くための説明を受け、資料も頂く。
(石清水八幡宮は山頂にある…ケーブル利用が一般的、歩いて登ると30分から40分掛かる)
その後、レンタサイクル(500円)で、流れ橋を観に行く。
(せっかく八幡に来たので、押さえておきたい)
木津川沿いのサイクリングロードを走るので気持ちが良い。
(往復10Kmくらい)

帰りに飛行神社に参拝。
零戦のプロペラやジェット機のエンジンが展示されている。

【おまけ】
お土産は、一の鳥居近くにある「やわた走井餅」を買った。

【おまけ】2…Wikipediaより
『徒然草』 第52段「仁和寺にある法師」 仁和寺の老僧は「一生に一度は石清水八幡宮へ行きたい」と思っていた。ついに石清水八幡宮へ行ったが、麓の高良社や極楽寺を石清水だと思い込んで、そこのみ参拝し、他の人が山を登っていたのに、「神へ参るこそ本意なれと思ひて、山までは見ず」と、自分は登らなかったという話。「すこしのことにも先達はあらまほしきことなり」(小さなことにも案内人が必要)と結ばれている

ポンポン山

2019年04月22日 19時05分09秒 | 登山&アウトドア(関西)
再び、ポンポン山にカタクリの花を見にいってきた。
ツツジも見頃

「フリークライミング」北山真/杉野保

2019年04月21日 19時34分57秒 | 読書(山関係)
「フリークライミング」北山真/杉野保

「ヤマケイ登山学校」シリーズの2冊目。
入門書シリーズとは思えないほど、中身が充実している。
北山真さんと杉野保さんがタッグを組んで取り組んだ作品だから。
先日読んだ、「スポーツクライミング「リード」上達バイブル」と値段はほぼ同じだが、
本を作り上げる為の時間、労力、お金が段違いと思われる。
(メイツ出版と山と溪谷社の違い、でもある…即ち、過去の実績、データの蓄積、資金力)

写真ひとつ取ってもみても、厳選された内容で、それだけでも購入の価値あり。
特に、クラック関係のページは、写真も文章も充実している。
書店に行ったら、手にとって見てみて。





「日本マルチピッチ」「日本の岩場」菊地敏之

2019年04月20日 21時28分00秒 | 読書(山関係)
「日本マルチピッチ」「日本の岩場」菊地敏之



「日本マルチピッチ」「日本の岩場」は、両方ともマルチピッチルート集。
しかし、趣旨は異なる。
「日本マルチピッチ」は、フリーのルート集、
「日本の岩場」は、アルパインルート集。

とは言え、同じ著者なので、「日本マルチピッチ」で掲載できなかったルートを拾ってくれている。
例えば、大台ヶ原の「サマーコレクション」「サンダーボルト」である。
さらに驚いたのは、「real constante」が載っていること。
「岳人」に発表されたのを、調べて記録してるんでしょうね。
グランドアップで開拓され、危険なためほとんど再登されていないと思う。
再登が出ているのは知っている…直接聞いたから。
その後は、どうなんだろう?

【目次】
●「日本マルチピッチ」の目次
関東近県(二子山中央稜
子持山獅子岩 ほか)
奥秩父、南アルプス(小川山
瑞牆山 ほか)
北アルプス(錫杖岳
屏風岩東壁 ほか)
近畿、中国(御在所岳
雪彦山 ほか)

●「日本の岩場」の目次
黒伏山南壁
谷川岳
明星山
甲斐駒ヶ岳
北岳バットレス
大台ヶ原千石〓(ぐら)
九州の岩場
穂高岳
錫杖岳
笠ヶ岳
唐沢岳幕岩
黒部丸山
奥鐘山西壁
剱岳

「家なき娘」エクトール・マロ

2019年04月18日 20時33分57秒 | 読書(小説/海外)
「家なき娘」エクトール・マロ

「家なき子」は、何度も読み返しているが、
「家なき娘」は、1度しか読んでいない。
(「家なき娘」=「ペリーヌ物語」として有名)
急に読み返したくなったので、読んでみた。
やはり面白い、一気読みだ。

ベローム先生の、ペリーヌへのアドバイス
p179
「できるだけ口をきかないようになさい。問いつめられて、どうしてもこたえなければならなくなったときも、とりとめのないことか、漠然としたことしかいわないように。人生には、光るようもくすんだほうがよく、賢すぎる女の子と思われるよりも、すこしおばかさんだと思われるほうがよいことが、よくあるものです。あなたの場合がそれです。だからあなたは、賢くみえなければみえないほど、いっそう賢いわけですよ。」

挿絵がすばらしい・・・初版のH・ラノス

【馬車の説明】


トイレ

2019年04月18日 20時20分11秒 | 身辺雑記
トイレの流れが悪くなった。
1回で流れなくなった。
「詰まってきたのだろうか?」
業者をよんだ。
出張料金=2,500円。
ポンプ使用料金=5,000円。
…でも、直らない。
「便器を取り外して原因をチェックしますが、25,000円掛かります」
しばし黙考…「やってください」
結果、何も詰まっていない、便器そのものの老朽化により、水圧が落ちたのだろう、と。
結局、新しい便器(toto)を買うことにした。(ため息)
便器を取り外して、防水シール施行
新規に便器を取り付け…21万円也。
家も旧くなってきたし、設備も旧くなってきたし、今後も色々対処する必要がありそうだ。本格的なリフォームが必要?
必要なリフォームのリストアップ表を作っているが、
まだ実行する気分にならないけど…。

武奈ヶ岳

2019年04月17日 21時07分24秒 | 登山&アウトドア(関西)
武奈ヶ岳に登ってきた。

まもなく山頂だ
ここが山頂
1,000mを超えると残雪がある
比良駅近くから登ってきた山を眺める…武奈ヶ岳はこの山々の向こうにあるので見えない

【感想】
前回より早くなった・・・登り3時間半、下り3時間、合計6時間半、ってとこ。
前回は8時間掛かったので、1時間半早くなった・・・雪が少ないと早い。
今回ミッドカットで登ったが、次回ローカットで登ってみようと思う…さらに早くなるかも、雪も減ってるだろうし。
6時間くらいのタイムをコンスタントに出してきたら、コース変更を考えようと思う。

【資料】
活動時間:6h28分
比良駅:7:39
北比良峠:10:05-10:10
武奈ヶ岳山頂:11:12
北比良峠:12:12
比良駅:14:07

活動距離:17.4Km
消費カロリー:2856kcal
高低差:1129m
累積標高上り/下り:1337m/1347m

カタクリの花

2019年04月15日 21時41分51秒 | 登山&アウトドア(関西)
早春の花、カタクリが見頃。
いつも素通りするけど、今日は立ち止まって見てきた。
ポンポン山・山頂、京都方向、少し行ったところにある。


アンパラレル・UPMOCC

2019年04月12日 22時15分02秒 | クライミングギア&登山装備


アンパラレル・UPMOCC(アップモック)を購入した。
ご存じのように、ファイブテンはアディダスに買収された。
旧ファイブテンのカリフォルニア工場が立ち上げたのがアンパラレル。
その中でも、UPMOCCがモカシムの後継と言われている。
感想を書いておく。

モカシムと比べて細身なので、同じサイズ5.5でも窮屈に感じる。
足裏感覚は良い。
ヒールカップは、モカシムよりしっかりしていて、脱げにくい。
ヒール力は上と思う。

ソールは、ステルスに比べてどうだろう?
実は、いつもと同じ課題をしてスリップした。
滑ったことには、次の理由が考えられる。
単に新しいから滑っただけかもしれない。
あるいは、同じステルス・ラバーでも、モカシムとアナサジでは、スメアしても
グリップ力が異なる。即ち、アナサジだと滑る場合がある。
これは、靴の構造、硬さの問題もある。
単にソール・ラバーだけを比較できない。
靴全体のパフォーマンスで考える必要がある。
(UPMOCCは意識して足を置けばOKだ)

トゥーフックに関しては、何とも(今のところ)言えない。
モカシムはつま先上部のラバーは少ないが、革の摩擦でトゥが掛かった。
UPMOCC上部を被うラバーの方が上とは断言できない。
但し、革の場合何度も掛けていると、光沢が出て、つるつるになってくる。
そうなると、トゥフックが掛からなくなってくる場合がある。
使い込んだ場合、上部を被ったラバーを採用したUPMOCCが良いのかも?
・・・でも、買ったばかりなので何とも言えない。

以上、参考までに感想を述べた。
いったいファイブテンは、今後どうなるのだろう?
ファンとしては気になる。
過去のファイブテン・シューズで最高傑作はスーパーモック。
モカシムを半年以上使い込んだ状態がスーパーモック。
ソールが薄いので、足裏感覚抜群。
スーパーモックの弱点はヒールくらいか?
いつか復活させてほしいものだ。
あるいは、アンパラレルが似た物を作ってくれるかも。

【おまけ…練習について】
若い時は練習に比例して上達した。
(上達=楽しみ、故に、練習=楽しみ、だった)
歳をとると、練習=現状維持、になってきた。
(練習=習慣と惰性)
今は、練習=老衰との戦い、だ。
(練習=生活)

「おはぐろとんぼ」宇江佐真理

2019年04月11日 21時10分29秒 | 読書(歴史/時代)
「おはぐろとんぼ」宇江佐真理
時代小説、短編集。
6編が収録されている。

P64
この世の中、いいことがあるなんて考えるのは間違いだ。今より悪いことが起こらなければ御の字だ。

P129
「お父ちゃん、お湯が熱うてかなわんねん。温まらんでもええやろ」
 女の子は甘えるように訊く。
「あかん、あかん。湯に入って百まで数えろ」
「うち、百までなんて、よう数えられん。十(とお)や」
「やけに値引きしよるな。間取って五十でどや」
(みごとな上方言葉を駆使されている…感心した)

【ネット上の紹介】
父親の跡を継ぎ、日本橋小網町の料理茶屋で料理人を勤めるおせん。上方で修業をし、新しく親方になった板前の銀助とたびたび衝突しては、店にほど近い稲荷堀の水を眺めて心をしずめていたが―仕事一筋に生きてきた女に訪れた転機と心模様を描く表題作ほか、江戸下町の堀を舞台に、町人から武士まで、悲喜交々の人情を鮮やかに映し出す感動の傑作時代小説集。

「余寒の雪」宇江佐真理

2019年04月10日 21時07分24秒 | 読書(歴史/時代)
「余寒の雪」宇江佐真理

中山義秀文学賞受賞。
時代小説、短編集。
6編収録されている。
特に良かったのは、「藤尾の局」と表題作「余寒の雪」。

【ネット上の紹介】
男髷を結い、女剣士として身を立てることを夢見る知佐。行く末を心配した両親が強引に子持ちの町方役人と祝言を挙げさせようとするが―。幼子とのぎこちない交流を通じ次第に大人の女へと成長する主人公を描いた表題作他、市井の人びとの姿を細やかに写し取る六篇。中山義秀文学賞受賞の傑作時代小説集。