【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

「イタリア家族風林火山」ヤマザキマリ

2010年06月30日 21時34分46秒 | 読書(マンガ/アニメ)

ヤマザキマリさん最新刊。
著者の波瀾万丈人生を垣間見ることが出来る。
(しかし、ここまで振幅の激しい人生とは思わなかった)

中学二年でヨーロッパに一人旅。
17歳で、イタリア留学。
イタリア在住11年目に出産。(シングルマザー)
息子のおむつ代を稼ぐために、マンガを描き始める。
息子8歳の時、現在の旦那と出会い求婚される。
その時、ヤマザキマリさん35歳、旦那は大学生21歳。(14歳年下)
紆余曲折を経て結婚、旦那の家族と住む。
それが「イタリア家族」の元ネタとなる。
それにしても、激しい流転人生だ。

【著者のお言葉】
「穏やかじゃない人が穏やかじゃない家族の一員になる。
世の中本当にうまくできているなと思います。」

【関連図書】


「ボーダー」垣根涼介

2010年06月29日 22時13分21秒 | 読書(小説/日本)


「ボーダー」垣根涼介

シリーズ最新刊。
前回、「サウダージ」読了して、「ボーダー」を手に取ったところまで書いた。
夜中の1時過ぎだから、寝たらいいのに、つい手に取ってしまった。
今作・「ボーダー」では、アキの親友・カオルが再登場する。
カオルは東大生になっていた!

堅気の人間として、目立たずひっそり生活するカオル。
ところが、過去を暴くような出来事に遭遇する。
もう、圧倒的な面白さ、止まらない、止められない。
しかも、「午前三時のルースター」の慎一郎も登場する。
この立体的に交差するキャラクターとストーリー。
面白すぎる。

・・・結局読み終わったのは、朝5時半頃。
眠いはずなのに、興奮して眠れない。
(どうしてくれるんだ!)

【ネット上の紹介】
渋谷でのあの事件から3年。チームを解散し、別の道を歩み始めていたアキとカオル。ところがある日、カオルは級友の慎一郎が見に行ったイベントの話を聞いて愕然とする。それはファイトパーティーを模したもので、あろうことか主催者は“雅”の名を騙っていたのだ。自分たちの過去が暴かれることを恐れ、カオルはアキに接触するが―。


「サウダージ」垣根涼介

2010年06月29日 22時12分58秒 | 読書(小説/日本)


「サウダージ」垣根涼介

日曜日、『ルカラ』から疲れて帰宅。
遅い夕食後、風呂に入る。
「あ~、疲れた」
2階に上がり、メールのチェック。
「今日は、早めに寝るか」、とベッドイン。
いつもの習慣で、本を開いたのが「サウダージ」。

ちょっと読んでから寝よう、と思った。
しかし、止まらない、面白すぎる。
アキと耕一の視点が交互に入れ替わりながら、物語が進行する。
この2人が対照的に描かれる。
また、この2人の彼女も対照的。
アキの彼女は年上、理知的な瞳、控え目なメイク、美人という以上に、非常に聡明な印象。
一方の耕一の彼女はコロンビアからの出稼ぎ売春婦、巨乳、気分屋で頭が悪く、金に汚い。
でも、全身から発散する圧倒的な生命力、色気、華やかさ、くどいくらいに美しい。

著者・垣根涼介さんは、巨乳バカ女を描かせると、やたら巧い。
(前作「ギャングスター・レッスン」でも、そうだった、生き生きとした描写)
今作「サウダージ」では、コロンビアからの売春婦DDの描写が素晴らしい。
そんな彼女に惹かれ、引き摺られる耕一。
DDを売春婦から足を洗わせ、コロンビアに返してやろうとする。
それが、麻薬取引と現金強奪のクライマックスへと盛りあがっていく。
圧倒的な筆力、ページをめくる手を止められない。

結局、最終ページ・完結まで一気読み。
・・・夜中の1時過ぎであった。
次は、シリーズ最新刊・「ボーダー」。
実は、ベッドの横に「ボーダー」を準備してた。
そして、つい手に取ってしまった・・・(続く)。

【ネット上の紹介】
故郷を捨て、過去を消し、ひたすら悪事を働いてきた日系ブラジル人の高木耕一は、コロンビア人の出稼ぎ売春婦DDと出逢う。気分屋でアタマが悪く、金に汚い女。だが耕一はどうしようもなくDDに惹かれ、引き摺られていく。DDのために大金を獲ようと、耕一はかつて自分を捨てた仲間―裏金強奪のプロである柿沢に接触する。


練習時間

2010年06月28日 20時50分35秒 | クライミング(一般)

練習時間は10h/w、と先週書いた。
もし、この半分になったら、どうだろう?
「維持」できるだろうか?
5h/w、でも充分できる、と思う。
でも、そんな事をしたら、余裕が無くなる・・・心の余裕が。
クライマー同士で世間話をしたり、何となくくつろいだり、といった「アソビ」がなくなる。
(会話は、ボケ防止に有効だし)
平日は、翌日の仕事を考えると、メニューをこなして早く帰宅する。
だから、週末くらいは、のんびり世間話をしながらトライしたいと思う。

さて、週末は「ルカラ」に行ってきた。
(月に1回~2回行くようにしている)
ボルダーサーキットを順番にトライした。
□白テープ・・・20課題でウォームアップ・・・これはOK。
次に赤テープ25課題・・・・これで身体へこへこ状態・・・特に難しいのが2,3本ある。
とどめが黄色テープ・・・失敗ばかりで、一向に進まず。20課題トライするも、半分くらい完登ならず。途中でリタイア。

【本日の反省】
白→赤→黄色、軽く半日で登っていきたい。(夢のような話)
そんな日が来るのだろうか?


さらに追加

2010年06月27日 19時56分21秒 | 身辺雑記

さらに追加しておく。
ネット社会便利だけど、不安もある。
ネット上で、簡単に買い物ができるけど、そこが不安に感じる。
だから、ネット上で決済しないようにしている。

なぜ、アマゾンでなくE-honなのか?
自宅の近くの書店を指定すると、そこに郵送してくれる。(送料無料)
その店頭で現金支払いなので安心。
例え、暗証番号漏洩しても、(気分は悪いが)実害は無い。
紀伊国屋も同様である。ポイント制はあるけど、店頭での現金払いが基本。
だから、安心。

そんな訳で、ネット社会の便利さを中途半端に享受している。
ある程度の防御は必要と感じるので。
先日、久しぶりにウイルスチェック検査をしたら、12匹パソコン内に入り込んでいた。
(trojan, adware ・・・隔離、削除済み)
いったい、どこから来たのか?
メールアドレス変更して、迷惑メールは無くなったし、変なサイトも訪問してないのに、不思議である。
(まぁ、見られて困るモノは、もともとパソコンに入れてないけど)
皆さんも、時々チェックした方がいいかも。


本の入手とネット社会

2010年06月26日 10時58分34秒 | 身辺雑記
前回・「すれ違う背中を」の続き。
それにしても、ネット社会は便利。
他の大型店もそうだけど、紀伊國屋書店サイトも、各支店ごとに在庫をチェックできる。
『在庫僅少』となっていたので、電話連絡してレジに取り置きしてもらった。
その後、ネットで確認したら、『×在庫なし』、となっていた。
最後の1冊だったんですね。(ギリギリセーフ)
(何の義理もないけど)紀伊國屋書店を宣伝すると、ポイントカードがあって便利。
さらに、マイページを作れて、自分のポイントを確認できる。
『お気に入り新刊案内』『読みたい本リスト』をネット上で作れる。
そのあたりが、ジュンク堂や旭屋書店と違う点。

ただし、『お気に入り新刊案内』『読みたい本リスト』のようなことは、E-honでも実施している。
しかも、E-honの方が遥かに便利。
『新刊パトロール』制度があって、無制限に登録できる。
ちなみに現在、私は62人登録している。
(紀伊國屋書店は10人しか登録できない)
でも、E-honがあればOKかと言うと、今回のように『在庫切れ』だったりする。
また、すべて定価売りなので、いくら購入してもポイントは付かないし、値引きもない。
6/25(金曜)出版の「イタリア家族風林火山」も届くのは6/28(月曜)で、3日遅れだし。
不満もいくつかある。
結局、以下を併用するしかない。

①帰宅途上にある駐車場ありの(そこそこ大きい)書店
 結局1番購入しているのは、ここかも。 帰宅途上ってのがベスト。急がない書籍は、ここで注文している。書店員の方も数人いるが、全員私のことを知っていて、シリーズの新刊が出たら声を掛けてくれる。ホント、ありがたいことだ。でも、問屋との力関係で、新刊到着が遅く、店頭に並ぶ作品も偏っている。ヒットしている有名作品が無視されてたりする。私が書店員なら、もっと色々工夫して売れる商品をレイアウトするのに、といつも思う。

②E-hon
  なんと言っても、『新刊パトロール』が便利。60人以上の気になる作家を常にチェックするのは自分でやるには至難。これだけでもE-honに入会する価値有り。CDやDVDも購入出来るのも便利。ただし、ポイントも付かず、定価売りは不満が残る。とりあえず確保したい、って時に利用している。

③図書館
 ネットで予約して、無料で借りることが出来る・・・夢のような話。本来、私は本は購入するようにしている。でも、本棚には限度があるし、それに、税金を取り返したい。最近の私の財布事情を鑑みると、図書館に頼った方がいい、と判断される。でも、これも難点がある。新刊到着が1ヶ月くらい遅れるし、順番待ちが激しく、人気作品は入手しにくい。公共のモノなのに、汚したり、食べかすがページに挟まってたり、気分が悪い。さらに困るのは、コミックは入荷しない。

④紀伊國屋書店
 困ったときの大型店舗頼み。小売店、問屋、出版社、ネット・・・全てで、品切れを起こしても、在庫がある場合がある。ポイント制が便利だし、マイページも作れる。CD、DVD、洋書も購入できる。直接店舗に出向かなくても、web上でも購入できるし、支店ごとに在庫確認が出来る。メールマガジンも送ってくれる。(今回判明したが、高槻店で「RDG」平積みされていた、さすが!次回新刊は梅田に出る必要なし?)

⑤出版社から直買い
 出版社に登録すると、ダイレクトメールで、カタログ、新刊案内等、いろいろ郵送してくれる。著者の新刊サイン本案内なんかは稀少価値有り。また、山と渓谷社の通販サイト『YAMAKEI SQUARE』だと、10%ポイント還元、1500円以下送料無料、である。ちなみに、私は「ロクスノ」こちらで購入している。入手しにくい雑誌なのでダイレクトが便利。郵送処理も迅速で助かる。

⑥古本屋(あるいは、リサイクルショップ)
 新刊で買うほどでもないけど、なんとなく読みたい本がある。そんな時、店頭で見かけると購入したくなる。また、最近の本は、直ぐ絶版になる。図書館で借りたらOKだけど、手元に置きたい場合がある。そんな時も、古本屋は便利。気長に探すか、運が良かったら見つかるかも。(志村志保子さん「ミシンとナイフ」「ブザー、シグナルゴーホーム」を探している)

以上、このように色々組み合わせて、その状況に応じて手段を選んでいる。
参考になった?(興味ないか?)

「すれ違う背中を」乃南アサ

2010年06月26日 10時42分01秒 | 読書(小説/日本)

先日読んだ「いつか陽にあたる場所で」の続編。
ムショ帰りの2人、ひっそりと東京下町で暮らしている。
家族からも縁を切られ、近所の人にも前歴がバレないかと心配しながら。
短編が4つ収録されており、連作長編となっている。
この作品がヒットする背景に、このような疎外感に共感する方が数多くいるから、と感じる。

さて、前作「いつか陽にあたる場所で」を読んだときに、次のように書いた。
 なお、この作品には続編がある。
 いずれ読むつもり。
 (でも、E-honでは売り切れて在庫無し・・・困った)
(6/20付)

・・・実際困った。
非常に入手困難、であった。
E-hon、アマゾン、共に品切れ。
なじみの書店で確認してもらったが、出版社でも、問屋でも品切れ状態。
図書館サイトで検索したら、有るにはあるけど、60人待ち。
しかたない・・・とりあえず図書館「予約待ち」入力する。
でも、諦めきれないので、店舗型大型店のサイトを確認する。
すると、在庫が有るではないか。
以前、ヤマザキマリ作品でも、こういう例があった。
問屋で品切れ、ネット書店で在庫切れになっても、店舗型大型店では、在庫が残っていた。
在庫に対するコンセプトが異なるのでしょうか?
問屋を通さないからでしょうか?(大抵の書店は、力関係で、問屋に負ける、と聞いている)

話が逸れたけど、紀伊國屋書店で購入することにした。
旭屋、ジュンク堂、紀伊國屋・・・サイトを確認したけど、サービス内容ほぼ同じ。
どうして紀伊國屋書店にしたかというと、支店が比較的近い『高槻店』があったから。
近いと言っても自転車で30分以上かかる、車でも171号前後渋滞したので30分かかった。
(ホントは、私の住んでいる市に支店があったらありがたいんだけど・・・でも、梅田に出るよりマシか?)
以上、こうして入手できたのである。ヨカッタ!

【ネット上の紹介】
「過去」の背中に怯える芭子。「堀の中」の体験をいまだ不用意に口走る綾香。しかしやっと、第二の人生が、ここ谷中で見えてきた二人だった。コトが起こったのはちょうどそんな頃。二つの心臓は、すれ違った彼らにしばし高鳴り、しばし止まりかけた。ムショ帰りコンビのシリーズ、大好評につき第二弾。

「午前三時のルースター」垣根涼介

2010年06月25日 00時24分59秒 | 読書(小説/日本)


「午前三時のルースター」垣根涼介

著者のデビュー作。
いくつか不満はあるが、なかなか良くできている。
完成度は高いし、おもしろかった。
垣根涼介作品は、今年になって何冊か読んだ。
下記に羅列する。

「ワイルド・ソウル」
「君たちに明日はない」
「借金取りの王子」
「張り込み姫」
「ヒートアイランド」
「ギャングスター・レッスン」


いずれも、面白かった。
この作品は上記作品と異なる点がある。
舞台がほとんどベトナム、ってこと。
それが、読みたくなった理由の一つ。
もう一つ、理由がある。
現在、私は「ヒートアイランド」のシリーズを読んでいる。
最新刊「ボーダー」に、今回の「午前三時のルースター」に登場する少年がかかわってくる。
それが分かったので、いったん中断して、今回の作品を読む気になった。
(より作品を楽しもうとすると、いろいろ苦労する)
ちなみに、ルースターとは一番鶏のこと。

作品の内容は、父親がベトナムで失踪した、消息を尋ねたい、と言う少年の依頼から始まる。
その後、舞台がベトナムに移動し、現地の人間も多数登場、となる。
風俗や風景、人物造形が描かれる。

不満な点は、現地の人々が、現地人に見えない、って事。
まるで、日本人がベトナム人に扮して演技しているような違和感を感じた。
それが1番の欠点。
でも、その欠点を凌駕する、展開の面白さがあるから、まぁ、いっか・・・。

さて、物語の本筋を離れる話題を書いて終了とする。
何人かの娼婦が主人公と値段交渉するシーン。
P133

「百二十ドル」
「九十ドル」
「百ドル」
それぞれこぼれんばかりの笑みを浮かべて、会話を少しかわした後で自分の値段を耳打ちしてくる。

それにしても、高い。
この作品が第17回サントリーミステリー大賞を受賞したのは2000年、約10年前。
ちなみに、私は今年の正月にベトナムを訪問した。(もちろん、クライミングの為)
ついでに、風俗の相場を調査したところ、$20であった。
(あくまでも調査のみ。実践はしていない、為念)
だから、上記100ドル云々はよっぽどの高級娼婦、と思われる。
(あるいは10年前、風俗業界インフレだったか、どちらか)
気になったので書いておく。

PS
「調査」というと大げさだけど、街を歩いていると複数の方から声を掛けられる。
いやでも、相場が分かってしまう。
これは、前年度の中国・桂林でも同じ。
街を歩いていると、「マッサージ」「ビューティフル・ガール」、と声を掛けられる。
(中国は、相場4000円~6000円くらい)

【本日のお言葉】
資本主義国も共産主義国も同じ・・・人が集まる所に風俗有り。
(クライミングも観光も、高いモラルで臨んで欲しい)

【ネット上の紹介】
旅行代理店に勤務する長瀬は、得意先の中西社長に孫の慎一郎のベトナム行きに付き添ってほしいという依頼を受ける。慎一郎の本当の目的は、家族に内緒で、失踪した父親の消息を尋ねることだった。現地の娼婦・メイや運転手・ビエンと共に父親を探す一行を何者かが妨害する…最後に辿りついた切ない真実とは。サントリーミステリー大賞受賞作。


無題

2010年06月21日 21時39分42秒 | 身辺雑記
クライミング・ブログなのに、『読書ネタ』ばっかりやんけ、とお怒りでしょうか?
おかげさまで、カウント数減少傾向です。
(まぁ、仕方ないけど)
その代わり、読書モチは高く、快調に冊数が増えている。
(クライマーの方には、全く興味ないでしょうけど)

クライマーが次々に新しいルートを攻略していくのと同じで、次々に新しい本を読んでいる。
時間、労力、金を費やしている分、それ以外はおろそかになっている。
TV、映画、DVD、人間関係・・・いずれも数値は低い。
もちろん、仕事はしっかりやってる(つもり)・・・ごはんの元なので。
仕事以外で、費やす時間を中心に、パーセントで表現すると以下のとおり。

読書・・・40%
クライミング・・・30%
ハイキング・・・5%
TV・・・5%
その他雑務(用事、買物、ネット等)・・・20%
(ちなみに、TVは1h~2h/w)
(クライミングで、10h/w)

もし、クライミングが無かったら、誰とも会話せず、交友ゼロ、である。
無縁死は他人事ではない。

「ギャングスター・レッスン」垣根涼介

2010年06月21日 21時26分03秒 | 読書(小説/日本)


「ギャングスター・レッスン」垣根涼介

「ヒートアイランド」の続編。
その後のアキの成長が描かれる。
快調な展開で楽しめた。
登場人物の造形が巧い。
ヤクザの柏木真一がいい。
(悪役で社会のくずだけど、憎めない)
《後日談》で、このヤクザのリオでの生活が描かれている。
饅頭女とのやりとりで、いつのまにかヤクザが一般人に『説教』をするくだりが最高。
人生いろいろだね。

【ネット上の紹介】
渋谷のチーム「雅」の頭、アキは、チーム解散後、海外放浪を経て、裏金強奪のプロ、柿沢と桃井に誘われ、その一員に加わる。二人は、あらゆるテクニックをアキに教え込み、アキも持ち前の勘の良さで、課題をクリアしてゆく。はたして、アキのデビューはうまくゆくのか?「ヒートアイランド」の続篇となる痛快クライムノベル。


「いつか陽のあたる場所で」乃南アサ

2010年06月20日 19時55分47秒 | 読書(小説/日本)

表紙の絵が気に入って購入した。
(半分くらいホント)
さて、内容だけど・・・これは楽しめた。
思った以上によかった。
中心となる登場人物は女性2人。
かつて犯罪を犯し、塀の中で何年も暮らした、って暗い過去を背負っている。
家族からも縁を切られ、東京下町でひっそりと暮らしている。
でも、生きていくためには働かねばならない。
芭子(29歳)は、マッサージ店の受付。(でも、経営者からセクハラを受けて悩む)
綾香(41歳)は、パン屋の見習い。(でも、先輩からいじめにあう)
お互い、助け合いながら、ほそぼそと生活している。
たまに、飲みに行ったり、動物園に行ったり。
そういった、日常が描かれる。
これはオススメ。

【ネット上の紹介】
小森谷芭子29歳、江口綾香41歳。ふたりにはそれぞれ暗い過去があった。絶対に人に知られてはならない過去。ふたりは下町の谷中で新しい人生を歩み始めた。息詰まる緊張の日々の中、仕事を覚え、人情に触れ、少しずつ喜びや笑いが出はじめた頃―。綾香が魚屋さんに恋してしまった!心理描写・人物造形の達人が女の友情に斬り込んだ大注目の新シリーズ。ズッコケ新米巡査のアイツも登場。

PS
乃南アサさんの作品を読むのは久しぶり。
「凍える牙」以来だから・・・え~っと、何年ぶり?
人物造形と心理描写が巧い、リアリズムもある。
でも、ちょっと文章硬すぎたので、少し遠ざかってしまった。
でも、この作品の描き方は好み、なかなかよい感じ。
なお、この作品には続編がある。
いずれ読むつもり。
(でも、E-honでは売り切れて在庫無し・・・困った)

「魂萌え!」桐野夏生

2010年06月19日 17時26分25秒 | 読書(小説/日本)


これは読みごたえがあった。
いろいろ考えさせられた。
夫が急死し、残された主婦・敏子(59歳)が、残された人生をどう生きるか?
夫に愛人がいた、と発覚するところから、物語が動き出す。

P396
最も長く付き合って、性格も好みもよく知っているはずだったのに、隆之は本当の姿を妻には見せなかった。だとすれば、妻とは夫にとって何なのだろう。家庭を守り、子供を育て、地域と仲よく付き合う、自分が気を配ってやってきた仕事が、夫の生活を支えていると自負していたが、隆之の生き甲斐は違うところにあったのだ。

59歳・・・今では老人呼ぶのは憚られる年齢。
かといって、若くもない。
中途半端な年齢だ。
夫が亡くなった後、第二の人生をどう生きるか?

(以下、年上の友人・佐和子との会話、P362)
「老人の間でも不倫やそれに伴う争いは常にあるのよ」
「そうでしょうね。歳を取っても、人間のやることは同じですものね」
「ばかりか、もっと激越になるみたいよ。老人ホームなんかじゃ、恋の鞘当てとか嫉妬とかの争いが激しいんですって」
 佐和子は静かに言った。そうかもしれない、と敏子は思う。若い頃は、歳を取ったら穏やかになると思っていたが、六十歳を目の前にした自分の心は若い頃以上に繊細だし、時々、暴力的といってもいいような衝動が湧き起こる。感情の量が若い頃よりも大きくなった気がする。

息子(彰之)との確執もある。
P299
敏子は腕時計を見た。すでに午後五時を回っていた。そろそろ帰らなくては、と考えた後すぐ、誰も待っていないのだから時間なんて気にしなくてもいい、と思い直す。その時、自分でも意識していない微笑が浮かんだらしい。すかさず、彰之に尋ねられた。
「何が可笑しいの」
「あら、私、笑ってた?」
「うん、時計を見ながら笑ってたよ」
 笑いの源は何だろう。自分を憐れんだり、悲しがったりする、負の感情から出ているのでは決してない。が、明るく輝くような気分でもなかった。穏やかで平らかな気持ち。これだ、と敏子は思った。独りでいるということは、穏やかで平らかな気持ちが長く続くことなのだ。人に期待せず、従って煩わされず、自分の気持ちだけに向き合って過ぎていく日常。そういう日々を暮らすのは、思いの外、快適かもしれない。


さて、物語は上下2巻でたっぷり続く。
夫の愛人問題、息子、娘との確執、遺産相続問題。
周りの友人たち・・・時に励ましてくれ、時に煩わしい問題を持ち込む。
些細な日常の日々に一喜一憂する現実。
たっぷり、楽しんでみて。

PS
桐野夏生さんの過去の作品とは異質の内容。
ほとんど、瀬戸内晴美さん、向田邦子さんの世界。
でも、「読ませる文章表現」は健在。
文中に古典的表現・「情を交わす」と出てくるが、この世界にしっくりくる。
さて、ネット上に【著者略歴】が載っていて、受賞作品が羅列されている。
下記に転載するが、何冊くらい読んでる?
今回の「魂萌え!」以外では、「OUT」「グロテスク」がオススメ。
「顔に降りかかる雨」も、ハードボイルドでいい。
「残虐記」は実際の事件を元にしている。
「柔らかな頬」は、斬新な構成でミステリの領域を超えた。

’93(平成5)年、『顔に降りかかる雨』
’97年に発表した『OUT』
’99年『柔らかな頬』で直木賞
’03年『グロテスク』で泉鏡花文学賞
’04年『残虐記』で柴田錬三郎賞
’05年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞

【著者略歴】
1951(昭和26)年、金沢市生れ。成蹊大学卒。’93(平成5)年、『顔に降りかかる雨』で、江戸川乱歩賞を受賞する。’97年に発表した『OUT』は社会現象を巻き起こし、同年、日本推理作家協会賞を受賞。’99年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、’04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、’05年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞を受賞した。また、英訳版『OUT』は、’04年にアメリカで権威のあるエドガー賞に、日本人で初めてノミネートされた

PS2
今回の作品を読んでいて、何となく「ルームメイツ」(全4巻)(近藤ようこ)を思い出した。



【ネット上の紹介】

夫が突然、逝ってしまった。残された妻、敏子は59歳。まだ老いてはいないと思う。だが、この先、身体も精神も衰えていく不安を、いったいどうしたらいい。しかも、真面目だった亡夫に愛人だなんて。成人した息子と娘は遺産相続で勝手を言って相談もできない。「平凡な主婦」が直面せざるを得なくなったリアルな現実。もう「妻」でも「母」でもない彼女に、未知なる第二の人生の幕が開く。第5回婦人公論文芸賞受賞。


「乙嫁語り」(2)森薫(エンターブレイン)

2010年06月19日 16時14分17秒 | 読書(マンガ/アニメ)

シリーズ2巻目。
予約して、購入した。
舞台は中央ユーラシア。
12歳の少年と、20歳の花嫁のブライドストーリー。
文化人類学の領域に立ち入り、詳細なデータを駆使。
部族どうしの対立、遊牧と定着。
親戚・姻戚関係を見事に描いている。
それにしても、この著者・森薫さんのジャンルは広い。
前回「エマ」英国階級社会から、ユーラシア遊牧民の世界。
・・・でも、違和感がない。

「八丁堀事始メ」市東亮子(秋田書店)

2010年06月19日 16時01分02秒 | 読書(マンガ/アニメ)

予約した書籍購入のため、書店を訪れて、たまたま見つけた。
オビの文句はこうだ。
『やじきた復活!!』
『やじさん・キタさんの出会いが明かされる!』
『初の番外編!!』
・・・これだけ煽られると、つい買ってしまう。
(誰もこの誘惑に勝てない)
ちなみに、この表紙の左がキタさん(篠北礼子)、右がやじさん(矢島順子)、である。
昔、このシリーズを集めていた。
学園ものと時代劇を合体させるという力業だけど、これがけっこう面白い。
絵は相変わらず上手いけど、なんとなく感じが変わったように思う。
久しぶりに読んだせいか?

第6回 備中の岩場清掃・草刈活動

2010年06月17日 21時41分40秒 | クライミング(一般)
TCNet よりメールをいただいた。
第6回 備中の岩場清掃・草刈活動についてのお知らせ。
下記に、転載する。
 
今年も下記の通り、備中の岩場清掃・草刈活動を実施します。
つきましては所属クラブ、クライミングジム等のクライマーの皆様にもお知らせ頂き、お誘い合わせの上、ご参加ください。

【主   催】 高梁川流域クライミング交流会
【共   催】 高梁市体育協会
【日   時】 平成22年7月11日(日) 午前9時00~
【集合場所】 用瀬クライミング広場(用瀬小屋)
【内   容】 各エリアの清掃活動と草刈
【エ リ ア】 用瀬周辺、羽山周辺、長屋坂、杉田ロック、川エリア、権現谷
【参加費】  500円(参加費は、TCNet の各種活動資金とさせていただきます。)
★軍手、火鉢、鎌、刈り払い機等、清掃に必要な用具は各自でご持参下さい。雨天決行です。
 
たくさんのクライマーの参加をお待ちしています!!
 
※清掃活動終了後、今年もセルフレスキュー講習会を実施します。
こちらは自由参加ですが、去年に引き続き心肺蘇生法・応急処置の基礎知識についての講習を予定していますので、合わせて参加いただければと思います。