「昭和の犬 Perspective kid」姫野カオルコ
第150回 直木賞受賞作品。
これほど面白いとは思わなかった。
主人公は柏木イク。
5歳から49歳までを、昭和史と重ね、犬を絡めながら描いていく。
次の8章からなる。
ララミー牧場
逃亡者
宇宙家族ロビンソン
インベーダー
鬼警部アイアンサイド
バイオニック・ジェミー
ペチコート作戦
ブラザーズ&シスターズ
P136
ハイティーンというあぶらぎった熱い年齢は、自己の内部に困惑が生じていることを強く感じる。だがそれがいかなる困惑であるのか、他人にはむろん自分にも言語化できない。
P247
女性が社会で大きく成功するには、厳しいにしろ大甘にしろ父親を受け容れて――早世した彼を偲び続けたようなケースも含め――育った過去を持っていなければならない。
これが女性が社会で好感を抱かれる鍵なのである。好感が高評価を与える。男が優位にいて社会を支配しているのではない、父権を軸にして形作られているものが社会なのである。
【おまけ】
副題のPerspectiveとは、遠近法、遠近画、遠景、のこと。
【まとめ】
例えるなら、「永遠の出口」+「昭和史」。
但し、ヒロインに恋愛沙汰は一切起こらない。
その淡々とした雰囲気が心地よい。
他の作品も読んでみたくなった。
【参考リンク】
姫野カオルコ(姫野 嘉兵衛)公式サイト
姫野カオルコ(姫野嘉兵衛)のブログ…運営&宣伝=KOGA工房
【介護関連】
以前、姫野カオルコさんの介護テーマの作品を紹介したことがある。
→「風のささやき―介護する人への13の話」姫野 カオルコ
姫野カオルコさんも、20年以上に渡って両親の遠距離介護をされた。
次に介護についてのインタビューをリンクしておく。
私一人だけじゃない 作家・姫野カオルコさん - apital(アピタル)
【ネット上の紹介】
2013年 第150回 直木賞受賞作品。
柏木イク、昭和33年生まれ。いつも傍らに、犬。犬から透けて見える飼い主の事情。『リアル・シンデレラ』以来となる長編小説