マリー・アントワネットに別れをつげて
2012年/フランス=スペイン
大切なものは、目に見えない
総合
90点
ストーリー
0点
キャスト
0点
演出
0点
ビジュアル
0点
音楽
0点
作品冒頭は主人公のシドニー・ラボルドが高級な置時計と共に目覚めるのであるが、やがてこの置時計は友人に貸したまま戻ってこなくなると同時に、シドニーには時間感覚が欠落していき、何度も目覚めたり眠ったりして自分が起きているのか眠っているのかよく分からなくなり、それはラストで馬車の中でポリニャック伯爵に横にさせられるまで続く。そもそもシドニーの朗読係という仕事自体が不思議なもので、子供に読み聞かせるわけではなく、マリー・アントワネットが文盲であるわけでもないのだから、まるでこの物語そのものが現実なのかあるいはマリーに対する過剰な想いによるシドニーの妄想なのかあやふやなのである。
シドニーが孤児であることが最後に本人によって明かされるのであるが、マリーの朗読係として働いた4年間は誰にも自分の出生の秘密を明かしていない。それはシドニーそのものが無垢としてマリーの前に現れ、他者が書いた文章の中からその時に合うと思われる適当なものを選んで朗読するためには必要な素質なのであろう。
朗読以外にシドニーが関わったものとして見逃すことが出来ないものが、花の刺繍をあしらった織物であるのだが、その刺繍はシドニーの友人が施したものとされ、マリーがシドニーに感謝することはない。
この徹底したシドニーの‘匿名性’により、シドニーのマリーに対する愛情は本人に全く伝わらないのであるが、マリーに対するシドニーの潜在的な役割は意外な形で象徴化される。
マリーが絶大な信頼を置いている友人の一人であるガブリエル・ド・ポラストロン(ポリニャック夫人)を暴徒化した民衆から逃そうとマリーはシドニーに同行させガブリエルの緑の衣装を着させて身代わりを演じさせる。この時、シドニーの匿名性に初めて‘マリーの親友’という意味(モード)が添えられる。しかしフランスの小説家であるアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの『星の王子さま』の名言である「大切なものは、目に見えない」という言葉通りに、マリーには最後までシドニー自身が‘見えていない’のであるが、それはマリーに限らず、幾ら世紀が変わったとしても解けない問題として私たちに提示されるのである。
<日本レコード大賞>最優秀作品賞にAKB48 昨年に続き2連覇達成!(クランクイン!) - goo ニュース
第54回日本レコード大賞を受賞したAKB48の「真夏のSounds good」の発表直前に
作曲家である服部克久が「これが日本の音楽業界の現状です。楽しんでいただけましたで
しょうか」という発言の真意が憶測を呼んでいるようであるが、それは大賞発表の直前だった
のだからAKB48批判ではなく、特別賞などにおいて様々な楽曲が披露されたことに対する
好意的な評価だったと思う。しかし1959年から始まった日本レコード大賞は同年5月に
始まったアメリカのグラミー賞の今日における繁栄と比較するならば、そのショボさは隠し
ようがなく、当初はそれほど差がなかったポップスが、“現状”においてどうしてこうも楽曲の
質に顕著な違いが生じてしまったのか不思議ではある。