goo blog サービス終了のお知らせ 

MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

誰が死んでも救われない

2013-01-30 00:23:23 | Weblog

「私が死ねば救われるのか」市教委、抗議の自殺予告?丸1日放置 桜宮高2自殺(産経新聞) - goo ニュース

 大阪市立桜宮高の17歳の男子生徒が自殺した問題に関して、大阪市のコールセンターに

同校在校生を名乗る若い女性から、入試中止などをめぐる橋下徹市長の発言の真意を確認

する電話があり、女性は「『生きていたらチャンスはある』と言っていたがどういう意味か」と

憤った様子で問いかけ、泣きながら「私が死ねば在校生はみんな救われるんでしょうか」と

尋ねたそうだが、「上司に報告してすぐに対応しなければいけないという認識がなかった」と

電話を放置した職員を私は責める気になれない。「生きていたらチャンスはある」という発言

は橋下でなくても明石家さんまが自分の娘の名前の語源として「生きてるだけで丸儲け」に

したように高校生にも理解しやすいほど常識的で、「私が死ねば在校生はみんな救われるん

でしょうか」という決意につながる要素は微塵も無く、イエス・キリストならば現実味がない

こともないがどう考えても手が込んだイタズラ電話としか捉えようがないからである。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『映画 鈴木先生』 80点

2013-01-30 00:05:30 | goo映画レビュー

映画 鈴木先生

2012年/日本

ネタバレ

‘真面目’を排除する教育

総合★★★★☆ 80

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 緋桜山中学の国語教師である鈴木章は、妊娠している麻美と新婚生活を送っているが、受け持つクラスの生徒である小川蘇美が気になって仕方がないというナンパだった描写は、生徒会選挙が描かれる辺りから一気に‘政治色’が強くなる。
 生徒会選挙が記名投票に変更されたことにより、全員が選挙に参加することが義務付けられたことに抗議する意味で出水正が急遽会長に立候補し、立会い演説会において、中学生時代に生徒会の会長に自分たちが会長として相応しい友人が選ばれず、人気子役をしていた生徒が選ばれたことで選挙がただの人気投票に落ちぶれたことを明かすシーンは選挙のパラドックスを突いて皮肉の効いたものだと思う。
 しかし鈴木先生のクールさは学校の演劇指導をしていることからも分かるように、自身の教師という立場さえも演技として捉えており、それは小川蘇美が卒業生の勝野ユウジに屋上に連れて行かれ、暴行されそうになる時でも、向かい側の校舎の屋上からジャンプして飛び越えて逃げることを小川に要求し、本作を観ている観客にも物語に本気でのめり込まないようにさせるくらいに徹底したもので、あくまでも勝野ユウジの‘真面目さ’とは距離を置く。だからパトカーに乗せられる前に鈴木が勝野に声をかけたことも、勝野はパトカーの中で泣いていたとしても、鈴木はあくまでもあるべき教師として演技をしただけなのだと思う。敵対する足子瞳先生のみならず‘真面目’な金八先生の時代は終わったのである。
 鈴木先生の演劇指導は周到なもので、文化祭で披露する演目は武田泰淳の『ひかりごけ』である。カニバリズムを扱ったものであるが、例え極限状態に置かれたとしても‘演技’で乗り越えるという鈴木先生の並々ならぬ覚悟が伺える。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする