ひとごろし
1976年/日本
‘フォーマル’と‘インフォーマル’の葛藤
総合
60点
ストーリー
0点
キャスト
0点
演出
0点
ビジュアル
0点
音楽
0点
越前福井藩の若侍である双子六兵衛は普段は犬でさえ怖くて近寄れないほどの臆病者として知られていたのであるが、このままでは妹のかねが嫁に行けないということで一大決心をして、誰も引き受けようとしない仁藤昂軒の「上意討ち」を藩主に直訴して江戸に向かった昂軒を追いかけることになる。
剣の達人である仁藤昂軒にはとても‘フォーマル’に戦って倒せる相手ではなく、あくまでも‘インフォーマル’に戦いを仕掛けるところなどは、いわゆる父親世代を否定するアメリカンニューシネマを想起させる。だから富山藩がわざわざ2人に‘フォーマル’な場を提供しても、六兵衛は気が狂った振りをすることで‘インフォーマル’を装うのであるが、ここで普段は犬を怖がるのに犬を怖がらなかった六兵衛という設定はやはり不自然で、ラストも昂軒から逃げるために、昂軒が泳げないことを知っている六兵衛が海に入って逃げるところまでは良かったのであるが、最初は昂軒の左側に立っていた六兵衛が昂軒に近づく途中から昂軒の右側に立つようになり、その後再び昂軒の左側に立っているというシーンは明らかに演出ミスで、監督でなくても演じている松田優作か丹波哲郎が何故気がつかなかったのか不思議である。
芥川賞・直木賞 75歳の黒田さんが受賞(産経新聞) - goo ニュース
今回の芥川龍之介賞の結果を鑑みるならば、改めて文芸評論家の蓮實重彦の影響力の
大きさを思い知らされる。受賞作の「abさんご」は第24回早稲田文学新人賞において
選考委員を務めた蓮實重彦によって選ばれたのであるが、選考委員が蓮實でなければ
黒田夏子は応募しなかっであろうし、当然のことながら、「これだけの日本語的な達成は、
今年(2012年)の新人賞でも希有だと思っている。『途方もないものを読ませていただいた』
という感じがする」と絶賛した蓮實が選んだ作品を芥川賞選考委員たちが無視するわけには
いかなかったであろう。ところで蓮實が贔屓にしている阿部和重の作品に「ABC戦争」と
いうものがあるが、このような偶然にまとわれることが蓮實らしいね