原題:『Jobs』
監督:ジョシュア・マイケル・スターン
脚本:マット・ホワイトレイ
撮影:ラッセル・カーペンター
出演:アシュトン・カッチャー/ジョシュ・ギャッド/アーナ・オライリー/ダーモット・マローニー
2013年/アメリカ
わざわざ「仕事」と名乗る男について
本作において、自分の好きなボブ・ディランではなく、むしろ嫌いなビートルズが設立したレコード会社と同じ名前を自身のコンピューター会社に付けてしまうところが、スティーブ・ジョブズのその後の人生を暗示しているように見える。つまり才能のある人々の良いところだけを頂いてそれらを次々と組み合わせていくことで、コンピューターの性能も知名度も上げていくのであるが、その人たちの嫌いな部分を見逃すという寛容さが無いために、人間関係が上手くいかないのである。
最初の子供であるリサを頑なに自身の子供と認めなかったスティーブが、いつの間にか一緒に暮らすようになっているところなど、彼の私生活に関する部分は極めて曖昧なのであるが、恐らく本作はタイトル通りに「Jobs(=仕事)」を巡る辛辣な物語であるが故であろう。