原題:『Malavita』 英題:『The Family』
監督:リュック・ベッソン
脚本:リュック・ベッソン/マイケル・カレオ
撮影:ティエリー・アルボガスト
出演:ロバート・デ・ニーロ/ミシェル・ファイファー/トミー・リー・ジョーンズ/ディアナ・アグロン
2013年/アメリカ・フランス
パロディ作品の鑑賞方法
フランスのノルマンディーに再び‘上陸’した‘ヤンキー’のジョヴァンニ・マンゾーニは、とりあえずフレッド・ブレイクと名乗って歴史家として振舞っている。そんなフレッドにアメリカ映画の講演の依頼が来る。『走り来る人々(Some Came Running)』(ヴィンセント・ミネリ監督 1958年)という作品は、フランク・シナトラが演じた主人公のデイブ・ハーシュの、事件を起こしてアメリカのインディアナ州の街を追われ、小説を書きながらヨーロッパをさまよっているという設定が自分自身の境遇と重なっており、街の人々と溶け込もうと努めているフレッドはロバート・スタンスフィールドFBI捜査官を付添人にして引き受けるのであるが、当日になってフィルムの調達が間に合わず、代わりに上映された作品は『グッドフェローズ(Goodfellas)』(マーティン・スコセッシ監督 1990年)で、実はマフィアだったフレッドはブルックリンのマフィアが描かれたこの作品に詳しく、上映後のトークイベントも自らの体験を語れたおかげで大盛況となる(実はマフィアの一人であるジミー・コンウェイを演じているのがロバート・デ・ニーロ本人である)。さらにジャック・タチ監督の『ぼくの伯父さんの休暇』(1953年)や『ぼくの伯父さん』(1958年)などのポスターを示すことで、荒々しい‘ヤンキー’と対照的なフランス人の素朴さを暗示させる演出が上手い。
製作総指揮のマーティン・スコセッシと出演者のロバート・デ・ニーロが、敢えて本作に『グッドフェローズ』を挿入してくるということは、もはや現代においては「グッドフェローズ」のような男たちの世界観は自虐ネタのようにしかウケないと判断し、女性たちも含めた本当の「The Family」を、自己責任として土壇場までバラバラに行動させたのであろうから、本作を『グッドフェローズ』を観るように真剣に観ては作品の粗しか見えてこないであろうが、元ネタを知らなければその面白さがよく分からないという側面は否定しない。