MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『サン=ニコラ=レ=ザラスの川辺』

2013-11-03 00:30:13 | 美術

 Bunkamura ザ・ミュージアムでは現在、『バルビゾンへの道』という山寺 後藤美術館

コレクション展が行われている。私が気になった事は作品よりも、例えばエドワード・

マシュー・ウォード(Edward Matthew Ward)やジョン・ウィリアム・ゴッドワード

(John William Godward)が素晴らしい絵画のテクニックを持ちながら作風が時代に

合わなくなったという理由で自殺してしまっていることで、もちろんそれだけが理由では

ないとしても、もっと自信を持っていてもいいような人たちだから惜しいと思ってしまう。

ところで上の作品はジャン=バティスト・カミーユ・コロー(Jean-Baptiste Camille Corot)の

『サン=ニコラ=レ=ザラスの川辺(SAINT-NICOLAS-LEZ-ARRAS.-AU BORD DE LA

RIVIERE-)』(1872年)である。写真では分かり難いのであるが、現物を間近でよく見ると、

これは突風が描かれている。風に乗って舞い上がっている土埃で全体が霞んでいる様子が

実に丁寧に描かれており傑作であることが分かるのである。


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『スティーブ・ジョブズ 1995 - 失われたインタビュー -』

2013-11-03 00:10:43 | goo映画レビュー

原題:『Steve Jobs: The Lost Interview』
監督:ポール・セン
撮影:ジョン・ブース/クレイトン・ムーア
出演:スティーブ・ジョブズ/ロバート・X・クリンゲリー
2011年/アメリカ

「終わった」と思われた男の肖像

 本作が2011年に上映されるまでの経緯はとても奇妙なものである。マスコミ嫌いで、インタビュー嫌いでも知られているスティーブ・ジョブズとのインタビュー取材に成功したのは1995年の夏で、PCの誕生に関するドキュメンタリーTVシリーズ『The Triumph of the Nerds: The Rise of Accidental Empires』の番組スタッフなのだが、何と番組内ではそのインタビューのほんの一部のみを使用し、残りのフッテージを収録した1インチテープマスターを消失してしまったというのである。当時、アップルを追い出されたスティーブ・ジョブズは「NeXT」という新会社のCEOとしてインタビューを受けており、要するに番組スタッフはジョブズは‘終わった’人間だと見なしていたのだと思う。まさかその一年後、アップルに電撃復帰するとは想像もしていなかったのであろう。
 興味深い話は多々あるのだが、とりわけマイクロソフトのビル・ゲイツに対する評価は辛辣で、彼らの製品には「味(taste)」が無いと断じており、その後、ジョブズが生みだしたiPadなどの製品と比較するならば反論のしようがない。
 ラストでインタビュアーに自身が「ヒッピー(hippie)」か「おたく(nerd)」かどちらかと問われたジョブズは、番組としてはタイトル通りに「nerd」と答えてもらいたかったのであろうが、自分はヒッピーだと答えている。もちろんそれはジョブズの行動を見れば一目瞭然であって、彼はコンピューターの性能を上げるだけで満足するのではなく、その成果を社会に還元し、既成の制度を破壊し、社会をより良くすることが生きがいだったのである。


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