Bunkamura ザ・ミュージアムでは現在、『バルビゾンへの道』という山寺 後藤美術館
コレクション展が行われている。私が気になった事は作品よりも、例えばエドワード・
マシュー・ウォード(Edward Matthew Ward)やジョン・ウィリアム・ゴッドワード
(John William Godward)が素晴らしい絵画のテクニックを持ちながら作風が時代に
合わなくなったという理由で自殺してしまっていることで、もちろんそれだけが理由では
ないとしても、もっと自信を持っていてもいいような人たちだから惜しいと思ってしまう。
ところで上の作品はジャン=バティスト・カミーユ・コロー(Jean-Baptiste Camille Corot)の
『サン=ニコラ=レ=ザラスの川辺(SAINT-NICOLAS-LEZ-ARRAS.-AU BORD DE LA
RIVIERE-)』(1872年)である。写真では分かり難いのであるが、現物を間近でよく見ると、
これは突風が描かれている。風に乗って舞い上がっている土埃で全体が霞んでいる様子が
実に丁寧に描かれており傑作であることが分かるのである。