原題:『Eden』
監督:ミヒャエル・ホーフマン
脚本:ミヒャエル・ホーフマン
撮影:ユッタ・ポールマン
出演:ヨーゼフ・オステンドルフ/シャルロット・ロシュ/デーヴィト・シュトリーゾフ
2006年/ドイツ・スイス
コメディ作品の演出の違和感 その2
南ドイツの小さなレストランで、「官能料理(エロチック・キュイジーヌ)」を提供している、超一流のシェフである主人公のグレゴアの原動力は、近所のカフェでウェイトレスをしているエデンである。
『女と男の名誉』(ジョン・ヒューストン監督 1985年)と関連させながら、本作に対する違和感を書き記すならば、グレゴアが調理する「官能料理」で全ての客に皿を舐めさせるほどに味の虜にさせ、それはエデンにも感染し、裸になった自分の体に料理を乗せて夫のクサヴァーに食べさせるというような異常なシーンを終始暗い照明で映し出すことで、本作はダークファンタジーのように見えるのであるが、驚くべきことにラストでクサヴァーの逆鱗に触れたグレゴアが森の中へ逃走したものの、逃げることに疲れたグレゴアが木から落ちたところに立っていたクサヴァーにぶつかり、クサヴァーが圧死してしまうというコメディ的なオチを見せる。つまり本作はコメディ作品であり、作品の性質と演出の方法が噛み合っていないように感じるのである。