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MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『JUDGE ジャッジ』

2013-11-08 22:52:49 | goo映画レビュー

原題:『JUDGE / ジャッジ』
監督:古波津陽
脚本:古波津陽/川手ふきの
撮影:柏崎佑介
出演:瀬戸康史/有村架純/田中壮太郎/平良和義/川手ふきの/西丸優子/佐藤二朗
2013年/日本

正当防衛の是非について

 登場人物は、「オオカミ(憤怒)」の警備員、「ライオン(傲慢)」の女性タレント、「キツネ(強欲)」の自己啓発セミナー講師、「イヌ(嫉妬)」のベンチャー企業社長、「クマ(怠惰)」の引きこもりの男、「ブタ(大食)」のボランティアスタッフ、「ウサギ(色欲)」のキャバクラ嬢の7人である。
 「オオカミ」と「キツネ」が残るまではルール通りと言っていいと思う。その後、突然、恐らく監視カメラで7人を見ていた人たちによる投票が始まり、お互いの数字を見比べながら状況が不利だと察した「オオカミ」は外した腕輪に付いている毒の針を「キツネ」に刺して殺してしまうのであるが、土壇場で票が逆転したようで、「オオカミ」が最後まで残ることが出来る。しかし再び「オオカミ」に関して罪があるかないかの投票が始まり、激怒した「オオカミ」はついにジャッジする機械そのものを壊してしまったようにしてようやく投票は終わる。
 しかしその後、広場で6人が遊んでいる様子が映し出され、それを警備員である「オオカミ」が監視しているようなシーンで終わる本作は、結局、「オオカミ」自身が仕組んだ(空想の?)「遊び」だったようにも見えるのであるが、何を言いたいのか邪推するならば、正当防衛というものが正義なのか罪なのかといったところであろう。密室劇としてとても良く出来ていると思う。


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マッキアイオーリの難しさ

2013-11-08 00:18:21 | 美術

損保ジャパン東郷青児美術館で現在『トスカーナと近代絵画』というフィレンツェ ピッティ宮

近代美術館コレクションが展示されている。フランスの印象派と似たような流派がイタリア

にも存在し、「斑点」を意味する「マッキア(macchia)」を語源とする「マッキアイオーリ」と

呼ばれている。上の作品はジョバァンニ・ファットーリ(Giovanni Fattori)が1858年から

1860年頃に描いた『従姉妹アルジアの肖像(Ritratto della cugina Argia)』である。

「マッキアイオーリ(Macchiaioli)」とは「事物の形を大まかな明暗と色彩の対比でとらえ、

それを大まかな色斑で塗り、15世紀ルネサンス絵画をベースに幾何学的に安定した構図

が特徴の作品」だと解説されていた。確かにラフな筆致などは印象派に通じるものの、

印象派のように理論に基づいたものではないため、非常に分かりにくく、故に印象派の

ように広く知られていないのであろう。バルビゾン派と印象派を合わせたものが

マッキアイオーリというような塩梅で、印象派とマッキアイオーリを繋ぐ役割を果たして

いる画家がアメデオ・モディリアーニという気もするが、とにかくテクニックだけの話では

ないことは確かであろう。本展覧会で一番驚いたことはジョルジョ・デ・キリコに

アルベルト・サヴィニオ(Alberto Savinio)という弟がいたことで、ピアニストや作家

など多才な活躍をしていた弟が描いた『オルフェウスとエウリュディケ(Orfeo e Euridice)』

(1951年)はなかなかの力作だった。


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