現在、国立西洋美術館で催されているスイスの画家の『フェルディナント・ホドラー展』を
いつものように何の予備知識もなくダラダラと観ていたら、途中で作風が変化したように
感じて、どこから変わっているのか観なおしてみたら、どうやら1900年代に入ってから
変化しているように見える。その変化が一番よく分かる作品が、残念ながら今回の
展覧会に出品されてはいないのであるが、上の作品『春(Spring)』(1901年)で、
左の少女の描写はそれまでのホドラーの作風であるが、右側の男性の描写はまるで
ポール・ゴーギャンのような作風に変化しており、以後、ホドラーの人物画は
このタッチで描かれることになるのである。例えば、ピカソのように意識して作風を
変える画家ももちろんいるわけなのであるが、このように同一作品内で作風が変化
しているというのは無意識だったのではないかと想像し、何故このように作風が
変わってしまったのか詳細なことは知らないが、1900年前後にホドラーは壁画制作に
取り組むようになり、その影響が少なからずあるのではないのかと邪推している。