原題:『アゲイン 28年目の甲子園』
監督:大森寿美男
脚本:大森寿美男
撮影:佐光朗
出演:中井貴一/波瑠/柳葉敏郎/和久井映見/門脇麦/西岡徳馬/堀内敬子
2015年/日本
理解されずに使用されるハンディーカメラについて
主人公の坂町晴彦の娘で日大芸術学部に通っている沙奈美と最後で「和解」する場面は余りにも急な気がするが、ストーリーそのものは悪いわけではない。野球を題材にした作品として『バンクーバーの朝日』(石井裕也監督 2014年)も上映されているが、これくらいベタなストーリー展開の方が盛り上がるのである。ただ気になるところはカメラワークで、例えば、久しぶりに娘が住んでいるアパートを訪ねた際に、晴彦と沙奈美が対面するシーンにおけるハンディーカメラの不安定な画面は確かに2人の深層心理を表したものとして有効だと思うが、同じ川越学院高校野球部の元チームメイトの松川典夫の娘の美枝が坂町を訪ねてきたシーンも、何故かハンディーカメラによる不安定な画面で、演出意図がはっきりしていないところが残念に思う。