MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『海月姫』

2015-01-10 00:46:00 | goo映画レビュー

原題:『海月姫』
監督:川村泰祐
脚本:川村泰祐/大野敏哉
撮影:福本淳
出演:能年玲奈/菅田将暉/池脇千鶴/太田莉菜/篠原ともえ/馬場園梓/長谷川博己
2014年/日本

オタク女子とファッションの関係について

 本作において主人公の倉下月海はイラストレーターを目指している「クラゲオタク」で、風呂とトイレが共同で男子禁制のレトロなアパート「天水館」の鉄の掟である「オシャレ人間は天敵」や「人生に男を必要としない」を守っているのではあるが、やはり世間との常識とはかけ離れていることは自覚しており、こんなに生きることが苦しいならば「海中をたゆたうクラゲになりたい」と思っている。これはもちろん『私は貝になりたい』(橋本忍監督 1959年)のパロディーである。因みに初めて自分の部屋に鯉淵蔵之介を入れてしまい、男性を部屋に入れた場合として家主に質問した際に、「死」の一文字が大きく書かれていた返事を見て月海が発した「ですよね」という返事が「Death(デス=死)よね」とかかっていたところも面白い。
 「天水館」の取り壊しを防ぐために、ファッションショーを開くという発想も面白いと思う。例えば、渋谷を占拠しているファッションに卓越した女子たちに対して、オタク女子たちが対抗するためにはファッションを諦めるのではなく自分たち独自のファッションを生み出し、オタクであることを「宣言」することで、渋谷の女子たちとコミュニケーションが取れるきっかけとなることは、クライマックスにおいて月海が近所のギャルにドライヤーを借りられることで証明される。しかしオタク女子と非オタク女子の間を取り持つ人間が服装倒錯者であり、理屈としては分かるが現実的には難しいところで、両方を理解できる人というのはそうはいないであろう。それが演出をファンタジーなものにしている要因であると思う。


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