Peter Gabriel - Intruder
ゲートリバーブという特異なドラムサウンドがある。細かい説明は省くが要するに
ドラムサウンドを迫力のある音に作り替えたものである。それに関する文章を以下
引用してみる。「ぼくの『音楽殺人』の最後に、『ザ・コア・オブ・エデン』という
曲がある。そのドラムは六本木のスタジオで録ったんですが、そのとき、長いエコー
をドラムの音にかけて、わざとゲートで切ってみたんです。のちにこの手法が一般化
して、ゲートエコーという言葉があるくらいですが、当時は、まだ珍しくて、人工的に
作ったのはこの曲が世界で初めてだったかもしれません。
フィル・コリンズに『イン・ジ・エアー・トゥナイト』という曲があって、彼はそれを、
ロンドンのタウンハウス・スタジオの石垣に囲まれたドラム・ブースで、自然エコーを
コンプレッサーで思い切り持ち上げてゲートで切るという方法で作っていた。
それをぼくは81年に知ったのですが、80年録音の『ザ・コア・オブ・エデン』で、
ぼくなりの方法で試していたわけですね。」
(『心に訊く音楽、心に効く音楽』 高橋幸宏著 PHP新書 2012.8.31 p.110)
ゲートエコーとはゲートリバーブと同じものを指すと思うが、ゲートリバーブを
有名にしたのは間違いなく、ピーター・ガブリエル(Peter Gabriel)が1980年
にリリースしたサードアルバムだったはずで、高橋幸宏の『音楽殺人』は1980年の
6月21日のリリースで、1980年5月23日にリリースされたピーター・ガブリエルの
サードアルバムの方が一ヵ月早いことになる。だから「ゲートエコー」が使われた曲として
「ザ・コア・オブ・エデン」は日本初かもしれないが世界で初めてではないと思う。
このアルバムにドラムスとして参加していたフィル・コリンズ(Phil Collins)が
プロデューサーのスティーヴ・リリーホワイト(Steve Lillywhite)とエンジニアの
ヒュー・パジャム(Hugh Padgham)と共同で作り出したということでリリース当時
衝撃的だったことは同業者の高橋も覚えていてもおかしくないと思うのであるが。