原題:『東京マリーゴールド』
監督:市川準
脚本:市川準
撮影:小林達比古
出演:田中麗奈/小澤征悦/樹木希林/斉藤陽一郎/寺尾聰/石田ひかり
2001年/日本
日付のあいまいさで不鮮明になるストーリーについて
恋人と別れたばかりの主人公の酒井エリコは合コンで田村広志と出会う。彼にはアメリカのサンフランシスコに留学している円城寺真弓(=エンジ)という彼女がいるのであるが、エリコはそれでもかまわないと彼女が留学している一年間だけ広志と付き合うことになる。別の部屋まで借りて2人は愛を育んでいたのであるが、一年が経とうとする頃にエリコは広志に、真弓と別れて自分と付き合って欲しいと頼むが、その願いが叶うことはなく、エリコは黙って荷物をまとめて借りていた部屋を出て行く。
ある日、エリコがバスに乗っていると偶然真弓と彼女の友人が交わしている会話を耳にする。真弓はケニーというアメリカ人男性と2年前に結婚しており、妊娠8か月で広志とは全く会っていないらしい。
しかしここで様々な疑問が生じてくる。エリコが真弓と遭遇した日がいつなのか分からないために、広志の真意が掴めないのである。広志は真弓から「でも最近日本の夢を見るの。実はさっきも広志と一緒に夕食を作る夢をみちゃった。まあそれだけなんだけれど。じゃあまたね。返事待っているわ。」という電子メールを2000年1月28日に受け取っているのだから、付き合っていたことは間違いない。例えば、エリコが広志と別れたばかりだったならば、広志は真弓に未練があってエリコと付き合えなかったという話になるが、別れて2年以上経っているのならば、広志は真弓に振られたことになる。だから真弓が広志のことを「しんどい」男と言っていたからといって必ずしも広志の優柔不断さだけではなく、真弓の冷たさも気になるところで、日付があいまいだと人物描写もあいまいになるということである。