MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ジャッジ 裁かれる判事』

2015-01-21 00:07:33 | goo映画レビュー

原題:『The Judge』
監督:デヴィッド・ドブキン
脚本:ニック・シェンク/ビル・ダビューク
撮影:ヤヌス・カミンスキー
出演:ロバート・ダウニー・Jr/ロバート・デュヴァル/ヴェラ・ファーミガ
2014年/アメリカ

ますます理解が困難になりつつある法廷劇について

 主人公のハンク・パーマーの父親で、インディアナ州のカーリンヴィルで長年判事を務めていたジョセフ・パーマーが起こした事件の流れがよく分からない。
 ジョセフは、かつて16歳の少女を殺そうとしたマーク・ブラックウェルに対して、号泣して懺悔したことと、彼に若い頃の次男(ハンク)の面影を重ねてしまったことで30日間の拘禁で済ませてしまい、結果的にその少女が殺されてしまったことを後悔していた。ある晩、ジョセフは出所したばかりのマークと偶然コンビニで遭遇する。マークはジョセフの妻が2014年6月に亡くなり、殺した少女と同じ墓地に埋葬されていることを知っており、死者を侮辱するような発言をする。
 一旦は、マークとジョセフは反対方向に帰っていくのであるが、5分ほどしてジョセフの車がマークの後を追いかけていく場面が店の防犯カメラに映っていた。雨で帰り道が冠水していたならば戻って来るまでに倍はかかるはずで、ジョセフのアリバイが崩れることになるのである。
 ジョセフは進行性の癌を患っており、その薬の副作用で記憶があいまいなところがあるのだが、マークを殺したいという思いは抱いていたと証言してしまい、その結果、陪審員たちは彼の殺害行動に関しては薬の副作用により責任能力が無いとしたのであるが、計画性の無い事故殺人である「故殺罪」により4年の判決を下す。
 実はこの判決が私にはよく分からない。日本においては「心神喪失」や「心神耗弱」などあるが、ジョセフがどのように扱われたのか分からないのである。逆に考えるならば、ジョセフが判事の知恵を使って10分かけて戻ってマークを追ったとするならば、これは「完全犯罪」となってしまう。余りにも簡単すぎやしないだろうか? その上、ジョセフは進行性の癌を患っているのだから、刑の執行停止になるのではないかとも思うのであるが、そうはならず、嘆願によって七か月後にようやく出所できるのである。
 このようにメインとなるハンクとジョセフの関係の修復までの物語よりも、事件そのものが気になってしまうのである。アメリカ人ならば誰もが納得できるジャッジだったのだろうか?
 メタリカのネタもピンク・フロイドの『炎(Wish You Were Here)』(1975年)のネタも消化不良のように思うが、「FLYING DEER DINER」のロケーションだけは素晴らしかった。


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