MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『レディ・プレイヤー1』

2018-05-04 00:48:14 | goo映画レビュー

原題:『Ready Player One』
監督:スティーブン・スピルバーグ
脚本:ザック・ペン/アーネスト・クライン
撮影:ヤヌス・カミンスキー
出演:タイ・シェリダン/ベン・メンデルソーン/オリヴィア・クック/サイモン・ペッグ
2018年/アメリカ

結局解けなかった「ローズ・バッド」の謎について

 『パシフィック・リム: アップライジング』(スティーヴン・S・デナイト監督 2018年)の時代設定が西暦2035年で、本作がその10年後の2045年なのだが、製作会社も配給会社も違うからたまたまなのだろう。本作はマシ・オカがコンサルタントとして参加しており、日本に関する描写は正確だったように思う。
 しかし物語設定は『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』(ジェイク・カスダン監督 2017年)と類似しており、その2045年のオハイオ州のコロンバスの荒廃とした街並みは、ラストで映される幼き頃のジェームズ・ハリデーの室内そのもので、まさに「オタク」と化した世界なのであるが、オグデン・モローと共に創り上げた「オアシス」と呼ばれるバーチャルネットワークシステムの後継者を巡る覇権争いが物語の主軸となる。
 どうもラストシーンに説得力が欠ける理由として、あれほど有名キャラクターを登場させて目くるめく世界を描いた後に、ウェイド・ワッツとサマンサ・クックのカップルや一緒に戦った仲間たちを通して「リアル」の大切さを強調するのであるが、それならば設立者であるジェームズ・ハリデーの孤独な人生とは何だったのかはっきりとしないことで、本人が何も語らないまま子供の頃の彼自身と共に自分の部屋(=世界)を去っていってしまったところにある。本作が「子供向け」とは言わないまでも「大人向け」とは言えない原因がここにある。


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