原題:『The Last Tycoon』
監督:ウォン・チン
脚本:ウォン・チン/マンフレッド・ウォン/フィリップ・ルイ
撮影:ジェイソン・クワン
出演:チョウ・ユンファ/ホアン・シャオミン/サモ・ハン・キンポ―/フランシス・ン
2012年/香港
過去の名作の教養を必要とする香港映画について
物語は1913年の江蘇州川沙から1937年の第二次上海事変までの主人公のチェン・ダーチーと幼なじみのイエ・ジーチウの関係を中心に描いたドラマである。
クライマックスのダーチーたちの日本軍の秘密拘留所の火薬庫への襲撃はあまりにも用意周到過ぎるとしても、既に結婚していたジーチウと夫のチェン・チャイメイを飛行機で逃がすところは『カサブランカ』(マイケル・カーティス監督 1942年)を、火薬庫を爆発させた後、楽屋に戻っていたジーチウを助けようとしてアーバオが撃たれる鏡のシーンは『上海から来た女』(オーソン・ウェルズ監督 1947年)のクライマックスを、その直後のラストで日本軍に囲まれて車の中でダージーが妻のアーバオと共に一斉射撃を受けるシーンは『俺たちに明日はない』(アーサー・ペン監督 1967年)を彷彿とさせ、とても上手い「オマージュ」だと思う。