MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『レッド・スパロー』

2018-05-01 00:49:54 | goo映画レビュー

原題:『Red Sparrow』
監督:フランシス・ローレンス
脚本:ジャスティン・ヘイス
撮影:ジョー・ウィレムス
出演:ジェニファー・ローレンス/ジョエル・エドガートン/マティアス・スーナールツ
2018年/アメリカ

今どきのスパイ事情とフェミニズムの関係について

 三角関係のもつれによって負った怪我によりバレリーナとしてのキャリアを諦めざるを得なかったドミニカ・エゴロワは、それでも病気がちの母親のニーナの医療費を工面しなければならず、そんな時に叔父のイヴァンに半ば強引にスパイにさせられる(ドミニカが所属するスパイ養成所の校長がシャーロット・ランプリングというキャスティングが上手い)。
 ここで印象的なシーンを挙げておくと、ドミニカが実践訓練と称して男性に犯されようとするシーンがあるのだが、ドミニクは断固として拒否する。校長の命令でそれでもやらなくてはならなくなったドミニクは「弱者」の立場から、自ら全裸になって「強者」として相手に命令してやらせようとするのだが、「弱者」に追い込まれた男性は勃起できずに終わってしまうのである。つまり強姦とは性的なもの以外に男性の力の誇示という性格があることを証明するのである。
 スパイ映画という性格上、結末など詳細な説明は避けるが、どうもドミニカのいくつかの謎の行動によって結末が分かる人たちがいるようなのだが、個人的には全く予想しない展開で伏線の鮮やかな回収は十分に楽しめた。終始主人公を覆う寂寥感と、それを打ち破ろうとするドミニカを演じるジェニファー・ローレンスの大胆な演技は称賛に値する。
 ストーリーの事の発端は2017年9月21日のゴーリキー・パークでのナッシュと「マーブル」の密会なのだが、今どきこのような話が本当にあるのかどうかは言うまでもなく寡聞にして知らない。


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