MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『孤狼の血』

2018-05-28 02:13:08 | goo映画レビュー

原題:『孤狼の血』
監督:白石和彌
脚本:池上純哉
撮影:灰原隆裕
出演:役所広司/松坂桃李/真木よう子/ピエール瀧/滝藤賢一/江口洋介/竹野内豊/石橋蓮司
2018年/日本

「汚さ」に隠れてしまう「良心」について

 時代設定は昭和63年で「平成前夜」である。『仁義なき戦い』(深作欣二監督)が上映された1973年から「実録シリーズ」として撮られてきたやくざ映画は平成3年の暴力団対策法の成立によってだんだんと「実録」が面白くなくなってきたのは間違いないであろう。さらにインターネットの普及によって「記録」が丁寧になされるようになってからますます面白みに欠けたものになったはずで、例えば、日岡秀一の調書に大上章吾が感想を書くなどという行為は今ではありえないだろうし、しばしば舞台の一つとして出てくる「豚小屋」にしても、今ではオートメーション化されてかつてのように汚くはなくなっている。
 『
彼女がその名を知らない鳥たち』(2017年)も傑作だったが、白石監督は「汚い」映画を撮ることに長けているように思える。どちらの主人公も「汚い」のだが、結局一番良い人間なのである。いずれにしても本作を観るならば豚のケツの穴から糞が出るシーンを見る覚悟が必要になるのだが、この意外とショッキングなシーンを含む本作は何故か「R-18」ではない。


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