MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『モリーズ・ゲーム』

2018-05-14 00:49:43 | goo映画レビュー

原題:『Molly's Game』
監督:アーロン・ソーキン
脚本:アーロン・ソーキン
撮影:シャルロッテ・ブルース・クリステンセン
出演:ジェシカ・チャステイン/ケヴィン・コスナー/イドリス・エルバ/マイケル・セラ
2017年/アメリカ

深刻な「人生ゲーム」が始まる原因について

 鍛錬を重ねて実力をつけた女性アスリートが親の教育が原因で身を持ち崩してしまうというストーリーは『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(クレイグ・ガレスピー監督 2017年)の主人公で元フィギュアスケート選手のトーニャ・ハーディングの物語とそっくりで、なおかつ本作の主人公で女子モーグル選手だったモリー・ブルームの父親のラリー・ブルームは心理学を専攻している大学教授・心理療法士で、自分の娘が博打に手を染めた原因は男性を支配したいという欲望から来ており、それは娘に厳しく接した父親である自分自身に対するコンプレックスが由来であるという的確な分析ができるにも関わらず、娘の違法賭博を止めることができないのだから始末が悪い。
 モリーが改心する瞬間があったとするならば、それはクライマックスにおいて判決が言い渡される直前になってフォックスマン判事がモリーに与えた「温情判決」によってであろう。その時、ようやくモリーは「男性」を赦せる気持ちが持てたような気がする。
 ラストでモリーは「成功とは一つの失敗から、熱意を保ち続けてもう一つの失敗に移れる才能に他ならない(Success is the ability to move from one failure to another without loss of enthusiasm.)」というウィンストン・チャーチル(Winston Churchill)の言葉を引用している。やはりチャーチルは偉大なのである。


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