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MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『東京家族』 80点

2013-01-26 23:23:25 | goo映画レビュー

東京家族

2012年/日本

ネタバレ

次男を巡る考察

総合★★★★☆ 80

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 確かに本作は小津安二郎監督の『東京物語』(1953年)のリメイクとして構想され、実際にラストでは小津安二郎監督に対する献辞まで添えられているのだから間違いないのであろう。もともとは2011年12月の公開を目指していたそうであるが、東日本大震災によって公開が延期となり、それにともなって脚本の一部が改訂されたらしい。その脚本の‘一部’というものが些細なものなのか大幅な改変だったのかはもちろん分からない。周吉ととみこが娘の滋子の知り合いの配慮で横浜のホテルに格安で泊まれたものの、予定を勝手に切り上げて一泊しただけで帰ってきてしまうシーンなどは当然とみこがチェックアウト前に携帯電話で滋子に伝えるはずで、しかし電話をしてしまったら物語が滞ることは明らかで、携帯電話の扱い方に苦労していることは伺えるが、これは東日本大震災とは関係はない。しかし例えば、主人公の平山周吉の次男である平山昌次は福島県の被災地でボランティアをしている時に間宮紀子と出会い、付き合うようになるのであるが、この‘障害’を乗り越える次男(父親と長男の次ならば‘第三の男’?)と恋人という設定から、個人的な印象としては『東京物語』のリメイクというよりも山田洋次監督自身の『息子』(1991年)のリメイクと見なした方がハードルが下がって素直に感動出来ると思う。


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実名公表を拒む理由

2013-01-26 00:05:49 | Weblog

日本人犠牲者名、実名公表に賛否 アルジェリア人質事件(朝日新聞) - goo ニュース

 もしも私が今回の犠牲者のような立場に立たされたならば、絶対に名前を公表して欲しく

ない。自分の身内が取り乱した様子が全国に放送されることは忍びないからである。身内が

死んだ直後に敢えてテレビのインタビューに応じたいという人がいても構わないとは思うが、

冷静に言葉を選んで冥福を祈れることが出来る人などはごく限られていると思う。時間が

経つとニュースヴァリューが欠けるというのであるならば、実名非公表でいいのである。

個人的なことで言えば私が死んで大喜びする人間の顔がかなりの数思いつくからであり、

自分が死んだ上に大勢の“敵”を喜ばせるなど癪でしょう


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『あやつり糸の世界』 70点

2013-01-25 23:32:23 | goo映画レビュー

あやつり糸の世界

1973年/-

ネタバレ

持て余すテーマの大きさについて

総合★★★☆☆ 70

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 事の発端は、サイバネティック未来研究所で行われたミーティングでの出来事で、そこの主任研究者のヘンリー・フォルマー教授が手鏡を取り出して、他の出席者の顔を鏡に写しながら意味不明の言動を繰り返した後に、感電によるものと思われる突然死を遂げたことである。更に不思議なことはヘンリー・フォルマー教授の死の様子を目撃したはずのギュンター・ラウゼが主人公であるフレッド・シュティラー教授と会話の最中に突然パーティーの席上から行方をくらまし、ラウゼ自身の存在自体がフレッド以外の誰の記憶からも抹消されており、ラウゼが行方不明になったことを伝えていた事件翌日の5月31日付けの新聞の記事さえもいつの間にか別の記事に差し替えられていたことである(新聞記者のルップによって記事の差し替えが発覚する)。
 以上の事件とは別に、サイバネティック未来研究所ではシミュラクロンと呼ばれるコンピュータによる仮想世界の研究が進められており、その研究を巡って研究所所長のジスキンスと鉄鋼業界を牛耳るハルトマンによる研究成果の私的利用の噂がたっており、当初、ルップはこの件を取材していた。
 この2つの問題を解決しようとフレッド・シュティラー教授がシミュラクロンにトリップを試み、そこでラウゼの姿を目撃したりするのであるが、フォルマー教授のみならず、研究所の心理学者だったハン・エデルケンの殺害容疑までかけられてしまう。シュティラー教授の秘書だったマヤもいつの間にか姿を消し、グロリア・フロムという女性がシュティラー教授の秘書に就いている。しかしここでメインキャラクターとなるのは、ジスキンスのスパイだったグロリアではなくて、エヴァと呼ばれる謎の女性である。シュティラー教授とエヴァの関係は謎のまま物語は進行するのであるが、第一部の最後でエヴァの苗字がフォルマーであることが明かされる。そうなるとエヴァはフォルマー教授の妻なのかと勘ぐってしまい、シュティラー教授とエヴァの関係は不倫なのかという疑惑がよぎるのだが、第二部の途中で、エヴァはフォルマー教授の妹であることが明かされる。しかしもはやエヴァがフォルマー教授の妻であるか、妹であるかということは、エヴァが‘上界’の人間であることが明かされどうでもよくなる。もちろん‘どうでもよくなる’という意味はエヴァの正体が徐々に明かされるプロットの巧みさを表す。
 2人の殺人容疑で追われ、森の小屋の中に潜んでいたシュティラー教授のもとにエヴァが訪れる。エヴァが乗っていることを知らなかったシュティラー教授はそのクルマを撃ち、エヴァに怪我を負わせてしまう。何故自分の居場所が分かったのか尋ねたシュティラー教授に対して、エヴァは‘上界’の存在をシュティラー教授に教える。それはまるでシミュラクロンに対する人間界のようなもので、そこではシュティラー教授と全く同じ姿でありながら傲慢な男がゲーム感覚で人間界を仕切っていることを明かし、自分はそこからやって来たのだとシュティラー教授に教えた後、森に駆け込んだエヴァは獣に変身してシュティラー教授を襲う。獣は銃で仕留めたものの、今度は突然大木がシュティラー教授に倒れてくる。間一髪で身をかわしたものの、シュティラー教授が身を隠していた小屋が大爆発を起こすのであるが、ここでもシュティラー教授は事前にクルマで逃れることが出来た。
 自分の名誉回復のためにストライキが行われているサイバネティック未来研究所にシュティラー教授自ら赴くものの、クルマのボンネットに乗った瞬間に銃で撃たれるのであるが、気がつくとシュティラー教授は別の場所に倒れており、そばにはエヴァがいた。何とシュティラー教授はエヴァによって‘上界’の‘シュティラー教授’と取り替えられたのである。シュティラー教授とエヴァが抱き合うシーンと、クルマのボンネットで倒れている‘シュティラー教授’を黙って取り巻く人々のシーンがモンタージュされながら物語は終わる。
 このようなSF作品が1973年に撮られたことは大いに評価されるべきだとは思うが、物語のテンポは悪く、決して分かりやすい作品ではない。例えば、第一部でシュティラー教授はタバコを吸おうと、通りがかりの女性に火を求めた時に、何かが爆発し、シュティラー教授は難を逃れたものの、女性は爆発物の下敷きになって死んでいるのであるが、シュティラー教授は女性を救出する素振りも見せず、ただ落ちていたライターを拾ってタバコに火をつけるだけでそのまま歩いて行ってしまう。もちろんこの唐突な爆発は‘上界’の‘シュティラー教授’による戯れであることは分かるのであるが、明らかに演出は間違っている。
 「クリストファー・ノーバディー」からゼノンのパラドックスを導き出すことにも無理を感じるが、ゼノンのパラドックスが本作にどのように関連するのかよく分からないし、タイトルの「あやつり糸の世界」というその‘あやつり糸感’が冒頭のタイトルバック以外には感じられない。
 ラストシーンもファスビンダー監督らしからぬ捻りの無いオチで、本作と同年に撮られ、‘多重人格’を扱っている『マルタ』と比較しても、かなりクオリティに差が生じてしまっている理由は212分という長編によるものなのか、あるいはテレビ映画という媒体によるものなのかはっきりしないが、さすがのファスビンダー監督の力量をもってしてもテーマの巨大さを持て余したように思う。


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噂のキンタロー。

2013-01-25 00:12:48 | 邦楽

AKB新曲、まゆゆ・珠理奈・ぱるるが新センター!キンタロー。共演にメンバー太鼓判(クランクイン!) - goo ニュース

 前田敦子のモノマネで大ブレークしているという噂のキンタロー。を初めて見たが、想像

以上のクオリティーの高さと、それに反比例するかのような他のAKBメンバーのモノマネの

クオリティーの低さに驚いた。ただせっかくの共演にも関わらず、「フライングゲット」の

コラボレーションは随分と短めで終わらせてしまい、どうせならフルコーラス歌わせれば

よかったと思う。それよりも私が「火曜曲SP」を見て不安に思ったことはゲストで出演

していた中島美嘉のことで、新曲の「初恋」は何とか無難にこなしていたが、2007年の

ヒット曲である「LIFE」の音程が安定しておらず、調子が余りよくなかったように思う。


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『マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋』 70点

2013-01-24 00:45:00 | goo映画レビュー

マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋

2007年/アメリカ

ネタバレ

物語の力

総合★★★☆☆ 70

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 本作がそのカラフルな色彩のみに興味が向きがちな理由は、ストーリーが凝り過ぎて分かりにくいからだと思う。物語の中心は1764年生まれで、2007年に死ぬことにしたエドワード・マゴリアムの人生なのであるが、その百科事典のような長編の伝記を書き記している人物は本人ではなくベリーニという男であり、その伝記を読んでいるのは9歳の少年であるエリック・アップルバウムである。
 マゴリアムが死ぬ決意をした理由は、‘おもちゃ屋’の支配人を任せているモリー・マホーニーがなかなか自信をつける様子を見せず、おもちゃ屋に入り浸ってなかなか友達を作ろうとしないエリックも、仕事中毒のヘンリー・ウェストンも、マゴリアムが作り出す‘物語’の中に安住してしまっているからだと判断したからであり、自分が死に、大きな物語を無くすことで彼ら自ら積極的に物語を生み出さざるを得ない状況を作り出そうと試みたからであろう。
 ストーリーのアイデアは素晴らしいと思うが、ストーリー自体が熟れていないことが惜しいと思う。


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地方特有のおおらかさ

2013-01-24 00:16:05 | Weblog

センター試験途中持ち出し、予備校職員が指示(読売新聞) - goo ニュース
センター問題持ち出し、別の受験生にも依頼 予備校職員(朝日新聞) - goo ニュース

 考えれば考えるほど意味が分からない行動である。長崎市の活水女子大で、大学入試

センター試験「地理歴史、公民」の試験中に退室した19歳の女子受験生に問題冊子の持ち

出しを依頼した予備校の職員は「監督者の許可があれば(問題冊子を持ったまま)途中退室

できるかもしれない」と伝えていたらしいが、問題冊子の試験終了後の持ち帰りは認められ

ているのだから、そんなに急ぐ必要はないわけだし、この女子受験生は問題冊子を職員に

渡した後に、問題冊子無しでは勉強した成果の力試しにはならないだろう。職員は試験中の

問題持ち出しが禁じられていることを知らなかったと説明しているが、そんなことも知らない

人間が予備校の職員でいられるところは長崎という地方特有のおおらかさなのだろうか


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作風の違いと長寿の関係

2013-01-23 00:37:54 | goo映画レビュー

「厳しくしかる人いなくなった」 坂本龍一さん弔辞 葬儀に700人が参列 大島渚さん死去(産経新聞) - goo ニュース

 大島渚が亡くなったことで驚いたことは享年80歳ということだった。『東京家族』が公開中

の山田洋次は1931年9月13日生まれで81歳なのであるが、大島は1932年3月31日

生まれで山田とは同学年なのである。私はてっきり山田は大島より一回り上の世代で山田

のような作風を嫌った大島たちが松竹ヌーベルバーグを起こしたのだと思っていたのだが、

そのような誤解が生じたのはおそらく大島の作風が型破りで若々しかったからだと思う。

政治色が強いためなのかなかなか製作資金が集まらなかったのは残念だった。山田と同様

に、1935年生まれの77歳のウディ・アレンも1965年の映画監督デビュー以来、毎年

一作新作を公開している多作ぶりで、ストレスをそのまま作品にしている強みだと思う。


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『めがね』 80点

2013-01-23 00:33:03 | goo映画レビュー

めがね

2007年/日本

ネタバレ

黄昏られるかられないか

総合★★★★☆ 80

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 同じ‘自然’を尊ぶ運営方針でありながら、ユージが営んでいる民宿「ハマダ」と森下が営んでいる「マリン・パレス」は接客の仕方が正反対で、「ハマダ」の緩さに辟易して「マリン・パレス」に移ろうとしたものの、その余りの厳しさにすぐにタエコは逃げ出す。そのようなタエコの行動を見越していたように浜辺でカキ氷店を営むサクラが自転車で迎えに来る。サクラの無言の圧力によりタエコは運んでいたキャスター付きの旅行カバンを置いていくことになったのであるが、タエコが帰京する日にその旅行カバンを持っていなかったところを見ると、後で取りに戻ることのなかった旅行カバンは大きな‘心の荷物’のメタファーとして機能させているはずで、その大胆な演出が面白い。おそらく太田恵美によるドイツ語の詩も伊藤千枝による「メルシー体操」も深い意味はなく、結局は、鹿児島県与論島の美しい景色をバックに登場人物の立ち位置の妙を楽しむことが黄昏るということなのであろう。


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『雲のむこう、約束の場所』 80点

2013-01-22 23:48:22 | goo映画レビュー

雲のむこう、約束の場所

2004年/日本

ネタバレ

夢の終焉、現実の始まり

総合★★★★☆ 80

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 本作に登場する村上春樹の『アフターダーク』や宮沢賢治の『春と修羅』は存在するものの、沢渡佐由理が熱心に読んでいる森下さなえの『夢綱(The net involved in a dream)』という著書は実在していないようであるが、その後ナルコレプシーに陥った佐由理が夢の中で藤沢浩紀を追い続けることを勘案するならば、「夢綱」という言葉は「アフターダーク」や「春と修羅」同様に暗示として機能しているのであろう。
 藤沢浩紀と白川拓也が自分たちで作った飛行機「ヴェラシーラ」に一緒に乗って津軽海峡の向こうにそびえ立つ「塔」に行くという中学生時代の夢は、東京の高校へ進学した浩紀と、地元青森の高校に通いながら「ユニオンの塔」の外部研究員として命をはっている拓也の環境の変化から、夢のあり方が変わってしまうことはやむを得ない。
 ラスト、「ヴェラシーラ」内でようやく目覚めた佐由理が、目の前にいる浩紀に対して夢の中で言いたかった「好き」という言葉が記憶から消えてしまう原因は、夢は叶った時点で夢でなくなるためだからであろうが、浩紀が決して慌てることなく、現実を地道に歩んでいこうとする気概が頼もしい。おそらく『新世紀エヴァンゲリオン』に少なからず影響を受けたであろう本作のように、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」が大団円を迎えられるのだろうか。


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終末期医療の難しさ

2013-01-22 00:05:57 | Weblog

麻生氏「さっさと死ねるように」 終末医療巡る発言撤回(朝日新聞) - goo ニュース

 終末期の患者を「チューブの人間」と表現する麻生太郎の性格の悪さは結局変わって

いないことを伺わせる。麻生は、「私は遺書を書いて『そういうことはしてもらう必要はない。

さっさと死ぬから』と書いて渡してある」と発言し、さらに「いい加減死にてえなあと思っても、

『とにかく生きられますから』なんて生かされたんじゃあ、かなわない。しかも、その金が政府

のお金でやってもらっているなんて思うと、ますます寝覚めが悪い」などと述べたことに対し、

「個人的なことを申し上げた。終末期医療のあるべき姿について意見を申し上げたものでは

ない」と釈明している。終末期医療の問題は、このように強気な発言をしている人に限って、

いざその状況を迎えると、「命乞い」を始めてしまうことなのである。


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