MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『どん底作家の人生に幸あれ!』

2021-03-02 00:52:45 | goo映画レビュー

原題:『The Personal History of David Copperfield』
監督:アーマンド・イアヌッチ
脚本:アーマンド・イアヌッチ/サイモン・ブラックウェル
撮影:ザック・ニコルソン
出演:デヴ・パテル/アナイリン・バーナード/モーフィッド・クラーク/ピーター・カパルディ
2019年/イギリス・アメリカ

極めて解消の困難な苦い経験について

 言わずと知れたイギリスの文豪であるチャールズ・ディケンズの『デイヴィッド・コパフィールド』が原作の映画がつまらない訳がないはずで、批評家の受けも良いのだが、どうも個人的にはそれほど面白く感じなかった原因を鑑みるならば、文庫本で4冊ある長編小説を約2時間でまとめたためにダイジェストを観ているような錯覚に陥ったからで、あらかじめ小説を読んでいれば楽しめたのかもしれない。
 それにしてもこの手の作品を観て思うことは、主人公のデイヴィッド・コパフィールドは最終的に作家になってそれまでの苦い経験をお金に変えることができたから報われたわけであり、文才の無い多くの者たちにとって苦い経験は苦いままであるという厳しい現実である。


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『マーメイド・イン・パリ』

2021-03-01 00:59:23 | goo映画レビュー

原題:『Une sirène à Paris』
監督:マチアス・マルジウ
脚本:マチアス・マルジウ/ステファン・ランドスキ
撮影:ビルジニー・サン=マルタン
出演:二コラ・デュボシェル/マリリン・リマ/ロマーヌ・ボーランジェ/ロッシ・デ・パルマ
2020年/フランス

セイレーンとマーメイドの違いについて

 正確を期するならば原題は「パリのセイレーン」という意味でマーメイドではない。セイレーンとマーメイドは似て非なるもので、日本人が抱くマーメイドの良い印象はセイレーンにはなく、ホメーロスの『オデュッセイア』に描かれているようにセイレーンは美しい歌声で惹きこんだ船乗りたちを殺す海の魔物なのである。
 だから主人公のガスパール・スノウに助けられたセイレーンのルラの歌声を聴いた医師のヴィクトルは翌日原因不明のまま亡くなってしまい、妻で医師のミレナはガスパールが病院の受付に残していった絵本を手掛かりに原因究明を始めるのである。
 ところがルラがいくら歌ってもガスパールは平気なのだが、どうして大丈夫なのか理由は説明されないまま2人の「愛の逃避行」が最後まで続いてしまう。映像美はともかくとしてもストーリーは弱いと言わざるを得ない。


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