原題:『A Quiet Place : Part II』 監督:ジョン・クラシンスキー 脚本:ジョン・クラシンスキー 撮影:ポリー・モーガン 出演:エミリー・ブラント/ミリセント・シモンズ/ノア・ジュープ/ジャイモン・フンス― 2020年/アメリカ
起死回生の「ポンコツ映画」について
観客からも批評家からも絶賛された前作が「ポンコツ映画」だったという事実は既に書いてしまったので繰り返さないし、当然のことながらその続編である本作は監督も同じだから期待せずに観に行ったのだが、こんなことがあるのだろうかと思うくらいに良作であることに驚いた。 前作で問題となっていた音の感度の緩さが本作においては登場人物がしっかり怪物に聞かれないレベルで行動しており、90分強の上映時間を緊張でみなぎらせることに成功しているように思う。その成功の要因は本作が続編であるということも関係しているのかもしれない。前作は物語を作り上げなければならない都合による説明が「うるさい」原因を作っていたようで、その点、本作は既に大まかなストーリーは観客に共有されているために最小限の会話で成立できたのである。
ところで本作の肝となるのはラジオから流れてくるボビー・ダーリンの「ビヨンド・ザ・シー」(1960年)を和訳してみたいのだが、この曲は元々はフランスの歌手のシャルル・トレネが歌う「ラ・メール」(1946年)のカヴァーである。トレネが曲を完成させたのは彼が30歳の時なのだが、歌詞は彼が16歳の時に書いたものらしい。そういうレベルの歌詞ではある。
「Beyond the Sea」 Bobby Darin 日本語訳
海の向こうのどこか どこかで僕を待っている僕の恋人は 黄金の砂浜の上に立ち 出航しだす船の集団を見ている
海の向こうのどこか そこで彼女は僕を待ち構えている もしも僕が鳥のように空高く飛べるのならば 彼女の両腕にまっすぐに向かう 僕は出航するんだ
星々を遥か超えて 月を越えないほどに 不信を越えて すぐにでも僕の心は僕をそこに導いてくれるはず
岸辺を越えて僕たちは逢い 以前と変わらずにキスを交わす 海を越えれば僕たちは幸せになるだろうから 僕は二度と出航することはないだろう
不信を越えて すぐにでも僕の心は僕をそこに導いてくれるはず 岸辺を越えて僕たちは逢い 以前と変わらずにキスを交わす 海を越えれば僕たちは幸せになるだろうから 僕は二度と出航することはないだろう
もう出航はしない さようなら航海 さようなら船旅
Bobby Darin "Beyond the Sea" VIDEO
「La mer」 Charles Trenet 日本語訳
海 澄んだ湾に沿って踊り子がいる 銀色に反射する 海 雨が降ると様々に反射する
海 夏の空と混ざり合う 白い羊たちが純真無垢な天使たちと共にいる 海 果てしない空の羊飼い
見てごらん 湖沼のそばには 濡れた大きな葦が生えている 見てごらん 白鳥たちと 錆びついた家屋を
海は 澄んだ湾に沿って 愛の歌で和ませた 海は 人生のために僕の心を和らげた
Charles Trenet "La mer" (Beyond the sea) | Archive INA VIDEO
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