MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『女たち』

2021-07-21 00:59:45 | goo映画レビュー

原題:『女たち』
監督:内田伸輝
脚本:内田伸輝
撮影:斎藤文
出演:篠原ゆき子/倉科カナ/高畑淳子/サヘル・ローズ/筒井茄奈子/窪塚俊介
2021年/日本

アベノマスクを巡る考察

 主人公の美咲が抱える問題というのは父親の死を巡るものだったようなのだが、それはともかくとして美咲の友人の香織が自殺(あるいは深酒による凍死?)をした理由がよく分からない。
 最も不可解なのがマスクの描写である。美咲が「アベノマスク」を付けているのは皮肉のようにも見えるのだが、他の登場人物のマスクのつけ方も鼻が出ていたり中途半端なもので、例えば、介護士の田中マリアムが美咲の母親で半身不随の美津子の世話をしており、顔が見えないからマスクを取るように美津子から言われたマリアムは「お言葉に甘えて」と言ってマスクを取るのであるが、高齢の持病を持った人の前で一番やってはいけない行為である。この演出が2人の関係が深まったという暗喩であるのならば、内田監督は「アベノマスク」を揶揄する資格はないと思う。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/eiga_log/entertainment/eiga_log-78362


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『くれなずめ』

2021-07-20 00:59:57 | goo映画レビュー

原題:『くれなずめ』
監督:松居大悟
脚本:松居大悟
撮影:高木風太
出演:成田 凌/若葉竜也/浜野謙太/藤原季節/目次立樹/飯豊まりえ/内田理央/高良健吾
2021年/日本

疑惑の「濃密な関係」について

 本作はストーリーの肝となる部分が分からない。高校時代の親友である藤田欽一、明石哲也、曽川拓、田島大成、水島勇作と実は既に亡くなっている吉尾和希の物語なのであるが、5人がどうして亡くなった吉尾にそれほどこだわっているのかよく分からないのである。
 5年前に仙台で暮らしていた吉尾が藤田と明石の芝居を観るために上京し、翌日仕事ということで吉尾は仙台に帰ろうとするものの、新幹線に乗り遅れてしまい代わりに夜行バスで帰ったのである。例えば、夜行バスが事故に遭遇して吉尾が亡くなったのであるならば、彼らの無念は理解できるのであるが、吉尾が亡くなったのは2年前に吉尾の家族のメールで初めて知らされており、3年も彼らは吉尾と音信不通の間柄であり、なおかつ吉尾の死因は最後まで明らかにならないのである。どうも5人と吉尾の関係の「濃密さ」が疑わしいのである。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/eiga_log/entertainment/eiga_log-77568


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『バイプレイヤーズ ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』

2021-07-19 00:51:21 | goo映画レビュー

原題:『バイプレイヤーズ ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』
監督:松居大悟
脚本:ふじきみつ彦/宮本武史
撮影:加藤十大
出演:田口トモロヲ/重松豊/光石研/遠藤憲一/濱田岳/有村架純/天海祐希/役所広司
2021年/日本

「ド根性」で撮られた映画について

 タイトルの割にはストーリーが地味である感が拭えない。例えば、濱田岳が初監督として柄本時生、菜々緒、芳根京子、高杉真宙を集めて『月のない夜の銀河鉄道』という映画の自主制作に取り掛かるのだが、肝心のSLが調達できない。そこで『小さなおじさん』という映画の制作に携わっている田口トモロヲ、重松豊、光石研たちの手伝いをする代わりに、『小さなおじさん』で使っているSL内部のセットを無償で貸してもらえる約束を取り付けるのであるが、嵐でセットは滅茶苦茶になってしまうのである。
 ところが役所広司の「あのね、あそこに大きな蛙がいてね、近づいて取ってみたんだよ、するとそれはカエルに似た大きな石だったんだ、面白いねぇ、カエルそっくりだったんだよ」という話からスタジオそのものが電車のようだという話になり、100人の名脇役たちが集合して自主映画を完成させてしまうのである。つまり予算や、もはや脇役などしない一流俳優の所属する各々の事務所が厳重に管理しているスケジュールなど無視した「ド根性」で映画を撮ってしまうという荒唐無稽な話で、完全な内輪ウケの話に堕してしまっている。例えば、決して主役を得られない名脇役たちを集めて本作を撮ったならば見るに耐えられる作品になるかどうか考えてみればいいのである。
 
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https://news.goo.ne.jp/article/thetv/entertainment/thetv-241926


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『東京リベンジャーズ』

2021-07-18 00:49:06 | goo映画レビュー

原題:『東京リベンジャーズ』
監督:英勉
脚本:高橋泉
撮影:江崎朋生
出演:山田裕貴/今田美桜/杉野遥亮/鈴木伸之/清水尋也/磯村勇斗/間宮祥太朗/吉沢亮
2021年/日本

お手軽になったタイムリープについて

 『夏への扉 -キミのいる未来へ-』(三木孝浩監督 2021年)において「屁」がつくほどの理屈をこねてタイムトラベルの詳細な説明を駆使したのに比べるならば、本作において主人公の花垣武道と、ガールフレンドの橘日向の弟の直人が手を繋いだだけで何度もタイムリープが出来るようになっているのだから、世の中便利になったものではある。
 ほぼ野郎ばかりが出てくる作品において唯一のヒロインである橘日向はギスギスしている本作のオアシスみたいなものではあるが、例えば、武道が襲われて体中をガムテープで巻かれて倒れているところに日向が現れて武道は助けられるのであるが、走り去っていく武道を目で追う日向が立ち上がる瞬間、ハンディカメラが追い付かずに日向を演じる今田美桜のアップの顔を捉え損なっているのは、ラストのオチを効果的にするためにも撮り直すべきだったと思う。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/mycom/entertainment/mycom_2264472


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『夏への扉 -キミのいる未来へ-』

2021-07-17 00:56:02 | goo映画レビュー

原題:『The Door into Summer
監督:三木孝浩
脚本:菅野友恵
撮影:小宮山充
出演:山崎賢人/清原果耶/夏菜/眞島秀和/浜野謙太/高梨臨/原田泰造/藤木直人
2021年/日本

「璃子はまだ16だから」

 三木孝浩監督の作品は個人的にはどれも高評価なのであるが、『フォルトゥナの瞳』(2019年)がトンデモ作品だったので、SF系は厳しいのか思いながら本作を観に行ったのであるが、原作を簡潔化して上手くまとめて描いている。つまり原作のエッセンスである主人公の高倉宗一郎と、ビジネスパートナーの松下和人と宗一郎の恋人の白石鈴の裏切りと、宗一郎の、松下璃子を通じての人間に対する絆の回復までが分かりやすく描写されていると思う。
 ところが原作を改めて読んでみるならば、「裏テーマ」があることが分かる。主人公のダニエル・ブーン・デイヴィスは1970年に30歳の技術屋で「ハイヤード・ガール」、「ウィンドウ・ウィリー」、「フレキシブル・フランク」などの家庭用ロボットを開発している。デイヴィスが2000年にタイムスリップすると、はっきりと描かれてはいないのだが、それらのロボットが実用化された代償として大量の失業者が出ているようなのである。本作が「つまらない」とするならば本作がただのエンターテインメントではなく社会批評が紛れ込んでいるからだと思う。


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/eiga_log/entertainment/eiga_log-82156


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『騙し絵の牙』

2021-07-16 00:55:45 | goo映画レビュー

原題:『騙し絵の牙』
監督:吉田大八
脚本:吉田大八/楠野一郎
撮影:町田博
出演:大泉洋/松岡茉優/宮沢氷魚/池田エライザ/斎藤工/中村倫也/木村佳乃/佐藤浩市
2021年/日本

出版業界の成功譚の非現実性について

 映画と違って原作は出版業界の現状が事細かく描かれており、これをそのまま映画化するのか疑問に思っていたものの、映画は大幅にストーリーが変えられており、その点に関してならば成功しているように思うのだが、作品の性格上詳細は省くがサスペンス色を強めにしたために、特にラストのオチなど現実離れしてしまっている嫌いは仕方がないのかもしれない。


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/eiga_log/entertainment/eiga_log-72640


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『ブレイブ -群青戦記-』

2021-07-15 00:52:31 | goo映画レビュー

原題:『ブレイブ -群青戦記-』
監督:本広克行
脚本:山浦雅大/山本透
撮影:佐光朗/的場光生
出演:新田真剣佑/山崎紘菜/鈴木伸之/濱田龍臣/宮下かなこ/三浦春馬/松山ケンイチ
2021年/日本

「殺し屋たち」vs.高校生たちの無理強いについて

 滋賀県にあるスポーツ強豪校で有名な私立星徳高校が建物ごとタイムスリップして織田信長や徳川家康がいる戦国時代に迷い込み、主人公で弓道部の西野蒼や瀬野遥が歴史が変わらないようにしながら戦国武将たちと対峙していくという物語である。
 漫画が原作なのだが、漫画という表現形式であるからこそ納得できるのであって、これが実写映画として描かれるとなると、どう考えても殺人を躊躇わない武士たちを相手に、いくらスポーツに長けているとはいえ現代の高校生たちが適うはずはないのである。もちろんそれを承知の上で観に行ったのであるが、やっぱり無理があったというのが偽らざる感想である。
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『太陽は動かない』

2021-07-14 00:57:52 | goo映画レビュー

原題:『太陽は動かない』
監督:羽住英一郎
脚本:林民夫
撮影:江崎朋生
出演:藤原竜也/竹内涼真/ハン・ヒョジュ/ピョン・ヨハン/市原隼人/南沙良/佐藤浩市
2021年/日本

テレビドラマに持っていかれる「ストーリー」について

 本作もテレビドラマは未見で、映画の予告編において主人公の鷹野一彦を演じる藤原竜也が宅配された箱を突き破って出てくるシーンを見ていたので、これはコメディ作品だと思って観に行ったらゴリゴリのサスペンス映画だったので驚いた。
 確かに冒頭からアクションシーンが途切れることなく続き、それなりに楽しめるのではあるが、果たして自分がどこまでストーリーを把握しているのか正直自信がない。
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https://news.goo.ne.jp/article/thetv/entertainment/thetv-1021742


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『地獄の花園』

2021-07-13 00:58:34 | goo映画レビュー

原題:『地獄の花園』
監督:関和亮
脚本:バカリズム
撮影:奥平功
出演:永野芽郁/広瀬アリス/菜々緒/川栄李奈/大島美幸/勝村政信/遠藤憲一/小池栄子
2021年/日本

隔世の感なのか本性丸出しなのか

 本作を観ながらこれは「本物」の『キル・ビル』(クエンティン・タランティーノ監督 2003/2004年)ではないのかと思った。『キル・ビル』には多少の香港臭が漂っていたが、本作においては一般企業の制服を着た日本のОLの田中直子を演じる永野芽郁と『アトミック・ブロンド』(デヴィッド・リーチ監督 2017年)のシャーリーズ・セロンを彷彿とさせる「地上最強のOL」である鬼丸麗奈を演じる小池栄子の戦闘シーンが見事だったからである。
 それにしても森繫久彌が主演の『社長シリーズ』や植木等が主演の『クレージー映画』などサラリーマンを描いた映画と比較するならば世知辛い世の中になったものである。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/dailysports/entertainment/20210523005


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『劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班』

2021-07-12 00:54:03 | goo映画レビュー

原題:『劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班』
監督:橋本一
脚本:仁志光佑/林弘
撮影:柳田裕男
出演:坂口健太郎/北村一輝/吉瀬美智子/杉本哲太/奈緒/田中哲司/鹿賀丈史/伊原剛志
2021年/日本

登場人物が「消滅」する意義について

 原作となる韓国のドラマも、そのリメイクの日本のテレビドラマも未見なのだが、どうも2021年と2009年を繋ぐ無線機の「按排」がストーリーのご都合主義に繋がっているように見える。
 最も理解に苦しんだシーンはラストで主人公の三枝健人と桜井美咲が目撃した大山剛志が彼らの目の前を走り過ぎる車と共に消え去ってしまうことで、例えば、『ジェントルメン』(ガイ・リッチー監督 2019年)のラストでも主人公のミッキー・ピアソンが姿を消すシーンがあるのだが、それはストーリーの語り部である探偵のフレッチャーの「映画脚本」というフィクションと現実がリンクしているから理解できるからであって、本作の消滅は意味が分からない。


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/eiga_log/entertainment/eiga_log-71204


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