寮管理人の呟き

偏屈な管理人が感じたことをストレートに表現する場所です。

台北の国立故宮博物院で財宝を眺める(前編)

2009年07月15日 | 

私達は台北市北部の「国立故宮博物院」に移動した。ここに来るのは二度目だが、改装されて益々立派になっていた。中国文明の粋を集めた故宮には毎年多くの日本人が訪れる。精巧な青銅器にかぶりついて見ているとTさんがこう言った。

「すごいもんだねー。この頃、日本では槍を持って獣を追い回していたんだから(笑)」

彼の言う通りである。私は黙って笑みを浮かべた。Tさんは話を続けた。

「中国はカンカンだよね。日帝のせいで自分とこの財宝がごっそり船で台湾に運ばれたんだから。中国が返せと言っても台湾は馬耳東風だよ。金のなる木をみすみす手放す馬鹿がどこにいるかっての」

「我々の先祖がまいた種がこのような形で発芽するとは…。皮肉なもんですな」

私は歴史の暗部について手短に語ったが、内心では別のことを考えていた。

「これらの財宝が中国大陸から海を渡らなかったとして、果たして無傷で現在まで残っただろうか。共産主義国家の大汚点として語り継がれる文化大革命で破壊される危険性は大きかったはずだ…」

愚民は歴史を負の側面からしか見つめない。しかし、正の側面から冷静に物を考えることも実は重要なのである。

最も古いとされる篆刻の複製品を手に取ることができたのでパンフレットに押印して持ち帰った(※冒頭の画像)。数々の展示を見て古代、印がいかに重要視されていたかがよくわかった。

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