青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。写真はおおめ、文章はこいめ、コメントはすくなめ。

青葉燃ゆる三島谷

2018年06月04日 17時00分00秒 | 只見線

(青葉燃ゆる季節@早戸~会津宮下間)

会津盆地の通学風景を写真に収めた後は、只見線の本分とも言える水と緑の織り成す風景を。会津宮下から、宮下ダムへ続く道へ入れば、只見川第三橋梁を見下ろす境の沢の俯瞰。青葉燃ゆる三島谷と、チンダル現象によってエメラルドグリーンに色付く三島谷。息苦しいほどの緑に囲まれた中を426D。


引きの絵で見ると、深い三島谷の底のような場所に架橋されているのが第三橋梁。宮下から先は只見川の電源開発のために戦後に敷設された区間だそうです。只見川の源流部は遥か尾瀬沼に至り、奥只見ダム、田子倉ダムと日本有数の巨大ダムを始めとする無数のダムが作られています。その作業用の資材運搬を担った只見線。人跡稀な渓谷に隧道を穿ち、橋を架け、奥会津の集落の窓を開きました。
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通学風景

2018年06月03日 17時00分00秒 | 只見線

(425Dがやって来た@会津坂下駅)

424Dを待たせて、会津川口行き425Dがやって来た。この会津坂下の朝の最大の見どころ(?)は、駅の裏にある県立坂下高校と県立会津農林高校へ通う学生たちの通学風景。全校生徒は普通科の坂下高校が150人、農業・森林・食品の専門課程を持つ農林高校が300人程度。普通科の生徒の方が少ないのは、さすがは農村地帯というべきか。会津の未来と第一次産業の貴重な担い手たちを乗せた列車が、会津坂下の駅に到着です。


まずは424Dの乗務員さんに、425Dの乗務員さんが合流して改札の準備。列車からぞろぞろと降りて来る学生たち。425Dの会津坂下到着が8:25頃なので、通学にはちょうどいい時間のダイヤになっているよね。むしろ、生徒数総計で450人余を数える高校への通学の足としてダイヤが組まれているんだろうけど。


おはよう、うーす。おはよう。チーッス。かったりぃなあ月曜日。今日一限何だっけ?英語の小テスト?マジで??


昨日LINE送ったのに何で既読スルー?えー、もう寝てた?ウザイって?気づけよって感じ?あれ、定期どこ入れたっけ?


…という会話が交わされているかどうかは知りませんが(笑)、次から次へと降りて来る学生たちの声で、一気に賑やかになる会津坂下の駅。2つの高校の生徒が下車するとはいえ、その数としたら自分が想像するだに遥かに多い。こんなに学生が乗ってるんだとしたら、3連でも車内は結構ごった返しているのではないだろうか。ざっと見で100人以上は確実に降りて来たと思われるのだが、両校の生徒の半分くらいはこの425Dで通って来ている事になる。車体は古くとも、収容人数の大きいキハ40が重宝される訳である。


生徒の通学を見守る只見線の乗務員たち。おそらくほとんどの生徒は通学定期を利用しているものと思われますが…それでも100人超の下車客を駅長一人で対応する事は難しく、424D・425Dに関しては上下列車の乗務員が下車客の改札業務を担当しているようです。まあどちらかと言えば、その風体は改札業務と言うより校門に立っている生徒指導の先生感ある。まあ生徒にしてみりゃ若い先生みたいな年齢だろうしね。


学生たちの中に混じって下車した、シルバーカートのおばあちゃん。すかさず手を貸す乗務員。温かさというバリアフリーがあります。


切り欠きの階段を上がり、定期券を見せつつ改札を通り抜けて行く学生たち。交わされる挨拶。月曜日の物憂げな雰囲気を吹き飛ばすように、乗務員の方々の笑顔がこぼれる。今日からまた新しい一週間。元気出して、勉強、運動、がんばれよ。そんな声が聞こえてきそうな会津坂下の通学風景。基本的には乗客の少ないローカル線というイメージだったので、こんなに賑やかな只見線は初めて見たけど、たまには賑やかなのも悪くない。やっぱり鉄道は乗ってもらってナンボだよね。

青いチェックのスカートひらり。会津盆地のティーンエイジたちに、只見線の未来を託します。

(※本記事は個人情報などの公序良俗に反しない程度で撮影していると判断してはいますが、万が一の際はコメントを頂ければと思います)
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坂下、凛とした朝

2018年06月02日 17時00分00秒 | 只見線

(会津の西の玄関口@会津坂下駅)

会津盆地の西側に位置する会津坂下町。人口1万6000人の町の玄関口に当たるのが会津坂下駅。すっきりしたトタン屋根のシンプルな駅舎ですが、入口横の丸ポストがいいアクセントですね。明治の時代に開通した中央西線に坂下(さかした)駅と言うのがありますので、こちらは旧国名をかぶせて会津坂下(ばんげ)駅。地元民でもないと、一見で読むのはちょっと難しい地名でしょうか。


会津坂下駅は2面2線の相対式ホーム。少し互い違いに配されたホームの間を、構内通路が結んでいます。構内通路で結ばれたホームというものが珍しいわけじゃないですけど、ホームの真ん中を切り欠きにして階段で上り下りするタイプって今の時代かなり珍しいのではないだろうか。この手の切り欠き型の構内通路だと、長い編成の列車が入って来た時に通路が遮断されてしまいますのでね。



列車の到着時間が近づいて、フライキを持った駅長さん(だよね?)がホームに現れました。現在は自動閉塞化されていますが、ほんの少し前まではタブレット交換で閉塞を扱っていた只見線。その時代であれば、ホームをタブレットの輪っかを持った駅長さんが行き来する光景が見られたんだろうな…なんて思いながら、ここで狙うは424Dと425Dの交換風景。それにしても、切り欠きの構内通路に初老の駅長さんがフライキを持って立っているという光景が何ともザ・ローカル線という感じ満点で、日本にもまだこんなところが残っているのだなあと感心するばかり。


会津川口発の朝の二番列車424Dが、ゆっくりとポイントを直進して入線して来ました。絶対的に本数の少ない只見線にあって、現在のところ只見線の中間駅で交換風景が見られるのはここ会津坂下と会津宮下のみ。あと西若松もあるけどあそこは会津鉄道も絡むからなあ。勿論以前は会津川口でも只見でも交換はありましたが、平成23年夏の福島豪雨により両駅の間は寸断されたまま。よって交換風景を見る事は出来ません。


鈍く輝くトタン屋根の下、進入してくる列車を真剣な眼差しで出迎える駅長さんの凛とした立ち姿。そんな駅長さんの後ろには、今や役目を終えて使われなくなった赤いタブレット閉塞器が保管されています。閉塞の方法が変わっても、日々の安全を守る立場と気持ちは同じ。そんな鉄道マンのプライドと心意気を感じる、会津坂下の朝です。
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優しさの422D

2018年06月01日 17時00分00秒 | 只見線

(月曜日の朝は@若宮駅)

カメラを持って列車を待つ自分の横を、チャリンコに乗った女子高生が走って行く。有給を取って会津に足を向けた自分の目の前で繰り広げられているのは、学生たちがホームで一番列車を待つ至ってフツーの平日の風景。朝のローカル線の小駅で、そんな「日々の暮らしの当たり前」にカメラを向けてみる。会津盆地のど真ん中にある若宮駅、水田の向こうから422Dがやって来た。折しもこの日は月曜日、何となくホームで待っている学生たちも気怠そう。まあたいてい月曜日のこの時間は自分も死んだ魚のような眼をして通勤電車を待っているので、気持ちはとっても良く分かる(笑)。それだけに、「この時間」に趣味に没頭している事のプレミアム感は至高。ビバ有給なのである。


会津若松行き422Dは、若宮発が6:45頃~若松到着が7:20頃と高校生の通学にはやや早い時間のようにも思えるんだけど、生徒によっちゃあ部活の朝練とかあるだろうし妥当な時間設定なのだろうか。そして、列車がホームに着くと同時くらいに、親のクルマで送って来られた組とか直前チャリンコ組とかがぞろぞろとホームに上がってきたりするのも緩くていいな。改札もなく、階段もない駅だからなせるワザ。だけどみんな、もうちょっと早起きしようぜ!(笑)。


客扱いを終えた422Dがなかなか発車しないので、何かあったのかと思っていたら遠くから一人の女子高生が走って来た。おそらくウテシ氏が遠くから駆けて来た女子高生に気付いていたか、ひょっとしたら422Dで一緒に通学している友人が車掌氏に伝えたか。その辺りの遅延情報は、いくらでも友人同士スマホで繋がれる時代でもある。ちなみにこの列車を乗り逃すと次の若松方面は8:30頃までなく、これでは若松到着9:00なので完全にガッコは遅刻確定でございます。

女子高生一人の乗車を待って、422Dの若宮発は手元の時計でM2。都会にいると考えられないようなまったりした光景ですが、地方のローカル線は、クルマを持たない学生と、クルマを運転する事の叶わない老人たちが支えています。そんな最重要顧客に対するこのようなVIP待遇も、まあ程度はあれどやむを得ないものなのでしょう。
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頑張るローカル線の顔

2018年05月31日 17時00分00秒 | 只見線

(森を抜けて@会津柳津~会津坂本間)

日中は2両の運用が中心の只見線にあって、最大編成の4両で組成された422D。一橋の船着き場から追尾を開始します。基本的に線形がそんなに良くないため最高速度は65km/hに抑えられており、加えて駅数も多いのでそんなにガツガツしなくても普通に追い掛けて行けば大丈夫。会津柳津の先、八坂野という集落の外れ。ハルジョオンの咲くあぜ道を登って来る姿をオーソドックスに編成撮り。線路際の衝立が少々やかましいのが玉にキズ。本務機を務めるキハ40572は今月全検を出場してきたらしく床下までピカピカのピッカピカで、「30-5 郡山総合車セ」の表記が見えました。まあそれにしてもオール両運車での4連、〆て8個の運転台がずらずらと並ぶサイドビューは壮観であります。


七折峠を大回りして会津盆地へ回り込んで来る422Dを、会津坂下ICから新鶴PAのスマートICを使って先回り。会津盆地の田園地帯で改めて水鏡風に構えてみました。既に田植えは終わっていて、すくすくと早苗が伸びている。そう言えば、最近我が家のコメは近所のスーパーで売っている会津産のコメだったっけ。一時期原発事故に絡んで「福島のコメ」という事で会津のコメも一緒くたに風評被害の餌食になってしまった事があるのだが、仕事の取引先のお弁当屋さんが会津産コシヒカリのご飯を売り物にしていたのでその当時頭を抱えていたのを思い出した。センシティブな問題なのは分かるけど、自分も福島県の広さと地形を見た上で冷静に考えろよと思ったものだ。

閑話休題。キハの長編成と言うと、東日本では男鹿線の朝に走るキハ40の5連で有名ですが、男鹿線はハイブリッド気動車ACCUMの導入が始まっていて、いつまで走るかなあという感じ。既に烏山線と八戸線からもキハ40は撤退しており、かつては日本のローカル線を我が物顔で席巻していた同系列の仕事の場はかなり減ってきているのが現状です。そんな中でも、未だにオールキハ40系列での運行が行われているというのも、只見線の特筆すべき魅力の一つですねえ。
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