青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

地平高く潜行せよ

2006年07月09日 21時43分55秒 | 日常
また相変わらず金曜日に酒かっ食らって変な時間に寝たもんだから、土曜は朝3時に目が覚めてしまった。自分の場合は異常に早く起きた時、それが出掛け時なので簡単に着替えて髪だけ寝かせて、ツリマプとデジだけ持って出掛ける事にした。当然無予定、無展望。車にガソリンさえ入っていれば良いのです(笑)。

ハンドルを持って家を出て、30分くらいまでに西に行くか北へ行くか東へ行くか決めるのだが、何となく北の方へ。走って、コンビニで休んで、パンかじって、走って、走って、走って、走って、ここまで走りました

日帰りなんで今回もダイジェストで。
奈良俣ダム矢木沢ダム
群馬県の北部というのは利根川の源流という事で山に入ればダム銀座なのでありますが、全く異なるダムスタイル(?)ですね。奈良俣は石をうず高く積み上げたロックフィル式、矢木沢はいかにもダムらしいアーチ式。ロックフィルの奈良俣は高くてもそれほど恐怖を感じなかったが、矢木沢は腰を引け気味にダムサイトの上から下を見るとみぞおちの下から風がスーッと入って来るようなイヤな感じがして写真1枚撮るのもかなり怖かった事を付け加えておきますw。ダムの高さは113mだってさ…実際谷底から風がビュービュー吹き上がって来たし。またアーチ式だから内側にダムの壁面がえぐれてて、それが一層怖さを引き立てるんだよなあ(笑)。結構な山の中なのに、ダムの湖面に上がるまでこんな取り付け道路を上がって来る事からもその高さがお分かりいただけるでしょうか。

土合駅
高い所に上った後は、低い場所へと潜行してみる。鉄道ファンには言わずと知れたモグラ駅であります(一応分からん人のために土合駅ウィキ)。

以前この区間は昭和初期に掘られた清水TN(現上り線・上野方面)を単線で使用しており、水上を出た列車はこの土合駅まで谷川岳の麓をえっちらえっちらと登って、ようやくこの国境のトンネル(「雪国」のアレです)に入って谷川岳を超えておりました。
まだ上越新幹線など影も形もない頃に、東京と北陸を結ぶ幹線であった上越線の輸送量強化のため昭和42年に現在の下り線(長岡方面)である新清水TNが開通。旧TNよりはるか手前の湯檜曽(ゆびそ)駅付近を入口とするこの新清水TNの開通により谷川超えの勾配は緩和されたのですが、それと引き換えに旧清水TNの入口にあった土合駅だけは上下線の位置関係に70mもの開きが出来てしまった、とこう言う訳なのでした。

と言う訳で土合駅の下り線ホームに軽くレポがてら行ってみる事にする。
まずは注意書きで軽くジャブw。「486段」と言うのは中原永世名人でも取れなそうな数字(笑)。駅舎を出て案内板に従い「どうみてもウィザードリィです。本当にあり(ry」と言う感じの、はたまた「廃病院の中」と言う感じの陰鬱な廊下を歩いて行きますと一枚のサッシ扉がありまして、そのドアを開けるとこんな感じで階段がはるか彼方の地底まで長く続いているのでありますw

下、見えね~(笑)。
つか、一番下に金正日いるだろこれw

これを登れと言われればかなりイヤだが、とりあえず下りなので降りてみる。
間隔の開いた蛍光灯、ヒタヒタと壁を伝う地下水、地下だけにひんやりしているのかと思いきや、地熱のせいか妙に中は蒸し暑い。登りの乗客のために踊り場にはベンチも用意されているが、「そんなことよりエスカレーターマダー?」と言う気もする。しかしながら土合駅の普段の乗客は1日平均17人、上り下りで5往復の列車しか止まらない、来るのは私のようなマニアかモノ好きだけの駅は、廃止される事こそあれエスカレーターは付かないでしょう。ともかく無我夢中で降りてみますが、底なしの長さを感じました。

およそ10分の下り階段を経てホーム到着
何と言うか…鉄道のホームと言うよりは核シェルター、もっと悪く言えば霊安室ってこんな感じなんじゃないかと(笑)。行った事ないけど。もやがたなびき、むわっとした嫌な湿気。霞がかったホームに、1枚だけコンクリに地下水で錆びまくったビスで留められた駅名板が、駅である事の証明書のようであります。
ちょうど列車の時間を調べていたら次の列車に乗ると隣の土樽で逆方向の上り列車と10分の待ち合わせであり、土合(地下)→土樽乗換→土合(地上)と言う効率の良いリレミト(笑)を唱える事にしてホームで列車を待つ。

かすかな音が徐々に大きく変わり、もやが流れて空気が動く…
ビカッとライトがもやの中に滲んで光り、轟音とともに長岡行きが到着するのでありました。

やっぱりここは駅、だったんだねえ。
コメント
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