(画像:行き止まりの温泉場)
先週の夏の禊旅、グッピー氏のホスト役として選定したお宿は、新潟県は魚沼市の栃尾又温泉。
上越線の小出駅から、山に向かって30分。
雨に濡れたアスファルト、ブナ林を背負った温泉場は、県道の行き止まりにありました。
自在館・宝巌堂・神風館とたった三軒だけの温泉街。
まるで明治の書生が長逗留して小説でも書きそうな雰囲気。
日本の温泉場、色々行きましたが、まだまだいいところはあるもので。
その中でも我々が宿泊したのが「神風館」と言うお宿。
栃尾又の三軒の中では価格は一番リーズナブルですかねえ(笑)。
古モルタルの外観がちょっと昭和チックですが、中は全くの日本旅館と言った感じ。
部屋に通されて、店主らしいおじいちゃんのお話をしばらく聞くも、
結局「ここはそんなに見るべきものはないから温泉入ってくれ」、とw
元々そのつもりだったので全く異存のない我々。
荷ほどきを終え、早速温泉に浸かりに行くとしましょうか。
栃尾又の三軒の旅館は、二か所の共同浴場をシェアしており、どこに泊まっても風呂は一緒と言うのが変わっている。
逆に言えば、宿の高い安いはともかく温泉に関しては平等なのだ(笑)。
それってお得じゃね?
渓谷の底まで、長い長い階段を降りてようやくたどり着く「したの湯」。
ここ栃尾又は体温程度のぬるい湯に長湯をするのが入浴スタイル。
東日本では珍しいラジウム泉で、51.4マッヘのラジウム(ラドン)が含まれているらしい。
微量の放射線物質ラドンが、細胞を活発化させるのだとか。
って、51.4マッヘってどんなもんかいな。
1マッヘってこれくらいですかね。
ってそれは1マッハやがな。
渓谷の緑溶け込む浴室。
白熱球一つの灯りの中で、栃尾又の湯客は眠る。
真ん中の木の切り株のような場所から、こんこんとお湯が流れている。
実際、寝るにはちょうど良い温度で、のぼせる事もなく冷たくもなく。
浴槽の淵の岩のくぼみに頭を乗せて、我々も眠る。
朝早かったですからね。
夕飯は部屋出し。部屋出しの食事=豪華なものを期待するなかれ。
一泊7,000円弱の旅館の夕飯である。
鄙と言うか素朴と言うか…
ナスとトウガンとタマネギの味噌汁とか、トロロ汁とか。
なんか帰省先のばあちゃんの家の夕飯みたいだわな(笑)。
ただ、名誉のために言っておきますが、一品一品はそれなりに丁寧に作られていて味はいいんですよ。
本当の湯治場メニューなんでしょうね。
栃尾又のお湯は、胎児に戻れない人間の羊水であると言われているそうです。
胎内回帰的な心地よさがあると言う。
確かに人肌程度のラジウム泉は、体に染み込むような穏やかさがあって良かった。
自分は、温泉好きな割に熱い湯が好きじゃないからねえ(笑)。
栃尾又温泉は、「国民保養温泉地」に指定されているらしいのだが、
その通りで、一泊で去ってしまうのは勿体ない感じはするね。
携帯電話も届かないので、精神が倦んだ時に逃げ込むにはいいかもしれません(笑)。