青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

ヘキサの旅 長野愛知静岡県道1号飯田富山佐久間線

2010年08月28日 14時56分58秒 | 日常
  

(画像:r-1グランプリ)

ナンバーワン!ナンバーワン!三県連続ナンバーワン!
なんだかどこぞのCMみたいですが、私は別にささききのファンでも何でもないですw
三遠南信道の天竜峡ICを降りた私ですが、やっぱり朝と同じ道を帰るのが嫌だった事もあり、とりあえず南信を南進する事に致しました。んで、チョイスしたのがこの県道。正式名称は長野県道・愛知県道・静岡県道1号飯田富山佐久間線。長い。県道にして3県に跨り、なおかつどこの県からも映えある「1号」の称号を頂戴した道と言うのも珍しいですよね。珍しいっつーかそんな道はここしかないみたいで、それだけに道ヲタとしては走る意味があると言うものです。

  

正確にトレースするなら飯田市の起点から走るべきではあるんでしょうが、まあここはエセヘキサの旅(笑)なので泰阜村の門島地区からまず長野r1に合流してみる。泰阜村と言えば田中ヤッシーが住民票を移した村としてちょっと有名になりましたね。泰阜村から阿南町にかけて道は天竜川と飯田線に沿うようになり、天龍村までは平岡ダムの造り出すゆったりした水を見ながらまったりと走る事になります。画像は秘境・遠山郷から流れる遠山川が天竜川と合流する羽衣崎と言う景勝地からの眺め。広々としたダム湖の水が西日に輝き、水面スレスレに飯田線の橋脚が組まれております。

 

天龍村の中心地である平岡地区の手前までは、1.5~2車線が確保されたそれなりにワインディングのあるまあまあのドライブルート。平岡で一旦R418と合流し、飯田線の伊那小沢駅付近で天竜川を渡ってR418と別れてからは佐久間ダムに沿って天竜川の右岸を行くのだが、ここからこの道の味わいに酷が出て来る(笑)。写真左は天竜川に架かる平神橋からの眺め。ダムに止められたどろりとした天竜の水、左側にちらっと見えるガードレールの部分がr1です。右側の山の中に飯田線の中井侍駅があるのだが、とても駅があるような環境には思えない。この辺りの飯田線の駅は、「駅まで行くのが難儀」と言う秘境駅物件ばかり。佐久間ダムが出来て、駅を作る理由となった集落が水没し、駅だけが残され過疎化が進行したものらしい。小和田駅などはその最たるもので、天竜川と深い山に囲まれて孤立した集落が過疎化し、駅に行くには林道からケモノ道同然の道を2時間歩かないと到達出来ないそうだ。

  

この辺り飯田線が天竜川の左岸、そしてr1は右岸を走りつつ長野から愛知にバトンタッチ。大嵐駅に向かう愛知r426津具大嵐停車場線は鷹巣橋と言う吊橋で飯田線の大嵐駅に向かっている。橋を渡ると静岡県。しかも浜松市天竜区ですが、周囲を見れば人っ子いない山ばかり。平成の大合併の弊害は、地名と雰囲気にギャップが激し過ぎる事だと思います(笑)。飯田線はここから山一個をトンネルで越えて一つ東側の谷である水窪町に到り、下流でもう一度山を越えて天竜川の谷へ帰って来ます。この迂回ルートは佐久間ダムの建設により発生したものであり、ダムの下に豊根口駅、天龍山室駅、白神駅の三駅が水没しました。
ちなみに通行止め表示が出ているのは佐久間ダムの左岸を行く静岡r288大嵐佐久間線です。ほぼ全面廃道状態らしいですが…その道のスペシャリストである「山行が」の静岡r288のレポを読んだ事があるけど、凄かった(笑)。さすがヨッキれん氏。直リンする勇気はないので読みたい人は各自ググるように。

  

大嵐駅前通り(笑)からしばらくウネウネと暗い森の中を進むと、ちょこっと目の前が開けて集落が顔を出す。これが佐久間ダム沿岸の唯一まともな集落と言っていい富山地区。現在は愛知県北設楽郡豊根村となっているが、ここは2005年まで愛知県北設楽郡富山村と言い、本土では最少人口の自治体として有名でした。合併直前の人口はウィキによれば218人だったとか。ここもご多分にもれず佐久間ダムのおかげでめぼしい集落が水没し過疎化が一気に進んだらしい。そんな村の外れにあるのが湯の島温泉、午後も遅い時間であんまり日没後に酷な道を走りたくはないのだが、とりあえず狭い暗い見通し悪いと三拍子揃った道を走るのにも疲れたので入浴休憩タイム。集落のおばちゃんが極めてヒマそうに番をしていた。土曜日の夕方と言えばこの手の施設では一番混む時間だと思うのだが、こんな山奥までわざわざ温泉入りに来る人間もそうはいないのか貸切であります。ボイラーで沸かしてはおりますが妙にツルツルする温泉でありましてなかなか気持ちが良かったですよ。はい。

  

湯上がりの体でなおr1を進むが、まあとにかく行けども行けども左側は深緑によどんだ佐久間ダムの湖面、右は落石防止ネットに覆われた見通しの悪い岩壁(多少崩落あり)であり、どのカーブを抜けても向こう側に見える風景には既視感があってホントに進んでいるのかどうか疑わしくなって来る道である(笑)。個人的には標識が少ないのもツライw自分がいったいどのあたりを走ってるのかが分からなくなって来るからだ。


ダム湖の道路らしく素掘りのトンネルも目立つ。トンネル内で湿った空気が冷やされて霧のようになっているらしく、フォグランプを付けてトンネルの中に入ったらリアルでマヌーサかけられた状態になってもうた(笑)。怖いよ怖いよ。不気味なナトリウム灯のオレンジの光が霧に反射して、いい感じに倦んだ頭を覚醒させてくれます(笑)。

  

終盤戦は連続するマヌーサトンネルに手を焼きながらも、ようやく佐久間ダムの堰堤に到着しここから県道1号は静岡県道1号線。日本の水力発電の元締めとも言える「電源開発株式会社」のロゴが時代を感じさせます。現在はJ-POWERとか言う名前に変わってますけど、日本の山奥の有名ダムサイトに行くとだいたいこの会社が幅を利かしておりまして、私みたいな山奥好きの好事家にはなじみの企業でもあります。建設当時の昭和31年には日本最大級、「黒部・佐久間・奥只見」は日本の三大ダム事業として日本の高度経済成長を支えたシンボル的存在でもあります。堤体155mのその高さはなかなかレンズに収まらないのが難点だが、何となくでもその迫力を感じていただければと。重力式コンクリートダムの滑り台のような堤体、下を覗き込むのはアーチ式ダムよりは怖くないんですが結構おっかなびっくりですな。

 

ダムのふもとに広がる佐久間の街には中部電力の佐久間発電所があり、佐久間ダムの水を使って50Hzと60Hzの両方の電力を発電しております。日本の電力は富士川糸魚川構造線で周波数が分かれておりますが、関東圏と中京圏両方の面倒を見ておるのですね。電力事業と言うのはこの地域の主要な産業であり、中部電力と電源開発の従業員の寮みたいなのが結構ありましたね。雰囲気としては大井川沿いの千頭の街に似てるかなあ。あそこも中部電力の街みたいな感じがありますしね。踏切の名前も「電源踏切」、夕暮れの佐久間の街を、飯田線の豊橋行きが通過。

  

県道1号はここからR473に合流し、愛知県の東端にある東栄町にて終点となりますが、私は天竜川に沿って秋葉街道を天竜市へ向け快走。すっかり暮れた天竜川沿いの道は、ここまでのr1がウソのような高速ワインディングで、佐久間から1時間程度で天竜市街に着いてしまった。駅前では天竜の秋祭り、山車の曳山で市内はすっかり大渋滞でありましたとさ。

捕獲成功

長野県・道愛知県道・静岡県道1号飯田富山佐久間線
起点:長野県飯田市下久堅R258交点
終点:終点:静岡県浜松市天竜区佐久間町川上
経由市町村:長野県飯田市、泰阜村、天竜村、愛知県豊根村、静岡県浜松市ほか
走行難易度:星みっつ(5点満点で)
トレース難易度:そんなに難しくないんじゃないすか
コメント (2)
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