青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

試運転なぜなに話

2020年07月01日 17時00分00秒 | 箱根登山鉄道

(日の当たる坂道@出山信号場~大平台駅間)

箱根登山のシテン絡みでブログを書いてるせいなのか、最近ツィッターの方で見ず知らずのアカウントから「試運転のダイヤ教えて下さい」とか「大平台駅まで来ずに手前で折り返すのはなぜですか」とかダイレクトメッセージで直接聞いてくる方がいらっしゃいます。全線開通まで一ヶ月を切った中で、その動向に注目が集まっているのが分かりますが、こちらは別に関係者に知り合いがいる訳でもなく、ただの物見遊山な一人のマニアがテキトーな事をつらつらと書き連ねているだけなんで、そういうのは知らないんですよねえ・・・申し訳ない。というか、試運転のダイヤって言っても沿線に出張ってれば少なくとも30分以内でどっちかからは電車来るので、そんなに気にするほどのもんでもないように思う。ちなみに、先日複数ポイントで各列車の通過するサイクルを見ていたのだが、(乗務員交替5分)湯本(←5分→)塔ノ沢(←5分→)出山(←5分→)大平台(←5分→)上大平台(←5分→)折り返し点(折り返し作業5分)くらいの感じで回ってる印象。1往復が1時間のサイクル。見たままだけどだいたい間違ってないと思う。朝の始動は結構早くて、8時前くらいから試運転やってるみたいね。

そうそう、時と場合によるみたいなんだけど、試運転を大平台まで運転せずに、駅の手前の坂道(表題画像)の途中で打ち切っちゃって湯本方面に取って返すという試運転の短縮バージョンがあるようですね。大平台の手前の80パーミルの坂の途中でわざわざ電車を止めて折り返しているらしい。たぶんDMで聞いて来た人は、「なんで折り返し仕業のやりやすい駅まで来ずに途中で折り返しちゃうの!(駅まで来れば写真も撮れるのに!)」って思ったのでしょう。が、駅の配線を見ると分かるんですけど、大平台の駅って②のスプリングポイントの定位(通常時の固定位置)が強羅方向(③方向)に開いてるんで、湯本方向には折り返し出来ないんですよね。通常時、湯本からの電車はポイント①②を通過してホームに入り、折り返して②→③→④と強羅方面へ出て行きますが、ホーム側からは②の定位が強羅側(③方向)なので湯本方向には進めません。②のポイントは、ポイントの先っぽを車輪で押し出して①→②と進む事は出来るのですが、通過後にはバネの力で③方向に戻ってしまうので、②→①と進む事は出来ないのです。

いつぞやの大平台の同時進入シーン。ちなみに強羅から来た電車は、④③のポイントをを真っすぐ走ってホームに入り、折り返してからは③④を通過し①を車輪で割り出して山を降りて行きます。ここでミソなのは、定位が決まっている①②③と異なり④だけは普通に信号と連動で動くポイントであるという事。なので、通常時は④は直線方向を向いていますけども、坂を降りる際にだけ①方向に開いて進路を構成するのです。もし強引に大平台駅での折り返しを設定するなら、強羅行きホームからの出発時に④を①側に開く進路を構成して、②③④①と通過すれば湯本に戻れない事もないんだけど、なんか電車が脱線しそうだし、そもそもそういう信号を出せるプログラムになっているのかどうか。なんか説明がまだるっこしいんだけど、ようは駅まで来ずに大平台の手前で折り返してるのは「駅では湯本方面に折り返せないから」なんじゃねーのかなと。そして、そういう配線にしているのは、ホーム停車中の電車がもしブレーキの緩みか何かで動き出した場合でも、絶対に坂下側には落ちないようにするというフェイルセーフの考え方が基礎にあるのではないかと思っています。

んで、この試運転の短縮バージョンには、紫陽花の時期にダイヤも公開していない試運転列車を走らせてしまうと、紫陽花見物の観光客や登山電車狙いのカメラマンとの不慮の事故を招きかねないので、あえて踏切のない区間だけを走っているのではないか・・・というのもあると思います。特に大平台周辺には警報機も遮断器もない4種踏切が6つもあって(大平台東口×2、大向、原田、荏原、大平台隧道前)、宮ノ下の手前まで試運転を入れる日は各踏切にガードマン出したりしているようなのでねえ。これは憶測なのだけど。

見知らぬアカウントの君、これが自分なりに考えた質問の答えなのだけど、いかがなもんでございましょ?

コメント
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