青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。写真はおおめ、文章はこいめ、コメントはすくなめ。

横江残雪、駅は静かに春を待ち。

2021年03月09日 17時00分00秒 | 富山地方鉄道

 (歳月染みた板塀に@横江駅)

寺田から立山に向かう立山線は、岩峅寺を境にガラッとその様相が変わります。寺田~岩峅寺を立山里線とすると、岩峅寺~立山が立山山線という感じでしょうか。そんな山線の最初の駅に当たる横江駅。街道沿いから一段下がった場所にあって、クルマで通りすぎたら気付かないような集落の小駅。焦げ茶色の板塀に囲まれた佇まいは好ましく、何度か訪れた事もある地鉄ではお気に入りの駅です。

正面の車寄せにうず高く積まれた雪の山。今年の1月の富山の雪の降り方は結構えげつなかったらしい。地鉄電車も何日か運休を余儀なくされたようで、駅には定期券回数券の期限延長のお知らせが掲示されていました。横江駅の乗降人員は一日に50人程度。岩峅寺以遠はガクッと運転本数が減る立山山線の中間駅ではありますが、近年はさしたる減少もなく健闘を見せています。

もう無人化してから長いと見え、かつて駅員が詰めていたと思われる事務室内部は残念ながら悲しいほどに荒廃していた。机から落ちた鉄道電話と、むき出しで放置された何かのバッテリーが哀れさを誘う。

緩やかに立山に向かって登って行き、左に曲がって消えていくレールを見渡す横江駅のホーム。絵になる。勿論、自分がこの手の絵に弱いというのもあるが。なんかこう、啖呵売を終えて次の街に向かう寅さんが、トランク持ってふらっと立っているようなそういうホーム。土間の苔生す簡素な待合室から空を見やれば、立山山麓の里山が静かに春を待っています。

駅横の踏切が鳴り、14760形が静かに駅のホームに滑り込みます。一瞬だけ、駅に停まった事の証拠を残す程度のドア開扉。誰も降りず誰も乗らずの電鉄富山行きが坂道を降りて行くのを見送って駅舎に戻ると、待合室の壁に絵が一葉、綺麗に額装されて飾られていました。いつの頃の横江駅を描いたものなのか分かりませんが、水彩と色鉛筆で鮮やかに佇む横江の駅舎が愛されている事が分かります。

あとひと月もすれば、駅前の桜が見事な花を付けると聞きました。
その頃の富山に、この横江の駅に、また来てみたいなと思いますね。

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