(寂しき優等列車@新宮川~中加積間)
午後の「UN3」こと「うなづき3号」。富山と宇奈月温泉を結ぶ地鉄の特急電車ですが、緊急事態宣言の発出された昨春以降、特急列車のシンボルであったヘッドマークの装着はなく、観光需要の低迷によってそのニーズも非常に厳しいものがあります。先日、4月からの地鉄ダイヤが発表されていましたが、コロナ禍での乗客減に伴い、地鉄の特急は土休日のアルペン片道1本(宇奈月→立山)を残して全便取り止めという何とも衝撃的な内容。四半期決算での経営指標も相当厳しい内容で、経営陣の危機感がありありと見えるダイヤ改正となります。
午後の上市界隈。いい光線。こんな光線だったらどんな車両でも何でもいい。今回の富山行で初めてお目にかかったレッドアロー。レッドアローも優等に入る時は、このでっかい前面サボ差しにガッツリとヘッドマークを差し込んで走るんですけどね。今回のダイヤ改正の概要を受けて、1990年代中盤のバブルの残り香も芳しい地鉄の時刻表を眺めてみると、朝は3連4連が各方面から仕立てられて富山に客を運んでいるし、日中は特急うなづきが毎時1本出ているパターンダイヤだし、立山にサンダーバードやシュプール号が乗り入れているし、まあ溜息の出るような黄金期のダイヤでした。この時代に今の機材を持って乗り込めるタイムマシンにお願いしてみたくなる。ヲタクはいつもないものねだり。
5世紀中頃に作られたとされる稚子塚古墳。1500年以上に亘って、富山の国を見つめて来ました。小さな古墳ですが、稚子塚の森から眺めれば、1世紀と少しくらいの地鉄の歴史なぞ、ほんの僅かな出来事かもしれなくて。そして、令和の御世のこの苦境も、そのほんの僅かの、さらに指先程度の事なのかもしれなくて。時代の移ろいに悠然と佇む稚子塚を横目に、雷鳥カラーが冬枯れの景色を立山方面へ。目の前に立ち塞がる難局に項垂れそうになるけれど、目を開いて、頭を上げてその先へ。