(金鳥のホーロー看板の懐かしき@大島鉱泉)
引き続き先月の上信電鉄訪問記をつらつらと書いておりますが、そう言えば、物議を醸し過ぎた東京オリンピックもあっという間に終わってしまいましたね。そして、オリンピックと並行してコロナの感染爆発が止まりません。変異株とやらの置き替わりで、燎原の火の如くいよいよ世界を飲み込み始めた新型コロナ。日本に目を移せば、コロナの爆発的感染に加え、言われなくても帰省を控えざるを得ない全国的な豪雨・・・猛暑、豪雨、コロナと何もいい事のない2021夏。なので、とても外出してカメラを持つような状況になく。と言うか、先月でも上信電鉄に行っておいて良かった。それすらなかったら、書く事なくて開店休業だったよ(笑)。
閑話休題。猛暑の中で撮ったり乗ったり降りたりを繰り返し、相当汗もかいて体も汚れたアタクシ。替えの服を持って来ていたので、そろそろ一回汗を流してサッパリしたいね・・・ということで、上州富岡に置いておいたクルマを回収。富岡市の郊外、田園風景を辿りながら、大島鉱泉という山の湯を訪ねてみました。鏑川の支流の野上川と言う小さな川のほとり、「金鳥」のホーロー看板が素敵な一軒宿。裏には上信越道が通っているはずなんですが、えらく奥まった閑静な場所にあって、ふらっと通りがかりで立ち寄るという感じではない。あくまで地元の客と、ツウ好みのマニアでもない限り、こんなとこにはなかなか足が向かなそう。
大島鉱泉は、以前は宿泊も受け入れていたようですが、コロナのせいかどうなのか、現在は日帰り客を受け入れるのみの営業体制のようです。鉱泉宿ってのはいきなり行っても「お湯を沸かしてない」とか言われて断られてしまう事も多いので、一応上州富岡の駅を出る前に電話を入れたんだけど「ああ、やってますよ!(夜)7時くらいまで!」という快活な返事。宿でありながら群馬県の銭湯の登録を受けていて、銭湯価格で楽しめるのが良いところ。県の銭湯の中では唯一の天然温泉なんだそうで・・・いかにも昭和的なこの手の観光要素皆無の鉱泉宿って大好物なんですよねえ。雑多な調度品の並ぶ受付周りの雰囲気も好ましく、独りきりの貸切の湯。ひとしきり汗を流して浴槽の淵に座る。鉱泉水をボイラーで沸かす昔ながらの鉱泉宿で、2つあるカランからは沸かした鉱泉水と源泉の投入が可能。源泉は強めのタマゴ臭とほのかに鉄の香りがし、ツルツルと冷たい。上がり湯代わりに硫黄の香る冷えた鉱泉水をかぶるのは、この暑さの中でひとしおの贅沢である。
小一時間西上州の山のいで湯に遊び、大島鉱泉を後に。すっかり太陽は西の妙義荒船に傾いていたものの、昼間の灼熱の名残りを残す熱風が田園地帯を吹き抜けていました。遥かな山並みを望む農村風景は、太古の昔から続く日本の営みのありようだ。そう思えば、ウイルス禍も、気象の歴史にないような豪雨も、奥底のところは「気候変動」と「環境破壊」いうキーワードで繋がっているような気がする。人間が生きるために食糧を増産すれば、耕地の確保のために森林は破壊され、そこで暮らしていた未知のウイルスを持つ生物との接触の機会が高まる。そして食糧増産や森林伐採に伴う気候変動がさらに環境の破壊を進め、永久凍土や極地の氷に封じ込められた太古のウイルスを呼び覚ますのではないか・・・なんて言われてますよね。
ことこの状況に至り、今更二酸化炭素やメタンを少し減らしたくらいでどうにかなるものでもないとは思うのだけど、こんな風景が当たり前に楽しめるような世の中が、永遠のものでなくなる未来は、すぐそこに来ているようです。