(島式駅舎@影森駅地下道)
改札に繋がる地下道から。影森の駅は、以前はそこそこ風格ある木造駅舎が建っていた記憶があるのだけど、いつの間にか駅舎は取り壊され、駅舎の代わりに駅のホームにある詰め所が駅舎の役割を果たすようになりました。地下道の階段を上ると左が三峰口方面・右が熊谷方面のホームになっていて、その手前に券売機と改札があります。秩父鉄道のホーム上駅舎ってーと樋口が有名ですが、あの形が影森にも持ち込まれたことになります。
影森駅ホーム遠景。羽生・熊谷と並んで、列車の運行上の拠点になっていて、ここから三峰口方面に関しては極端に本数が減ります。旧荒川村方面の乗客数の減少が激しいようで、最近は改正ごとに列車の本数が減る影森以遠。直通もありますが、最近は影森止まり、影森乗り換えの列車も増えました。滞泊の車両も多く、宿直の職員も多いと見えて、ホームの外れでは布団が干されている。改札代わりの詰所のほかにもう一つ木造の建物がホームにあって、これがおそらく宿直室なのでしょう。
三輪鉱山へ続く構外側線(三輪線)の他に、かつては駅に接する昭和電工向けの貨物ホームや、セメント用の骨材を出荷した武甲線の跡が残る広い影森の構内。三輪鉱山で積み込みを終えた積載の鉱石貨物が、ゆっくりと三輪線の坂を降りて来ました。以前はここから先の武州中川とか三峰口でも貨物の取り扱いがあったようで、全線に亘り貨物列車の運行があった秩父鉄道ですが、現在ではここ影森が貨物取り扱いの終点となります。
建物の陰に雪残る影森の街。北関東の冬空と相似の色をした機関車が、三ヶ尻への出発を控えて暫しのアイドリングタイム。盃型のホッパー車であるヲキ100形に満載に積まれた三輪鉱山の石灰石。最近はセメント需要も落ち気味と見え、熊谷工場での生産ラインの動きもそう芳しいものではないと仄聞する。それでもこうやって、私鉄の貨物列車が定期でそれなりの本数が走っている事がとても貴重な鉄道風景。
古工場の破れかけたトタンの向こうに、鉱石を積んだ貨車の姿。武甲山迫る山峡の街でありながら、工業と鉱山の街であるのが影森。旧秩父セメントによる三輪鉱山の操業は大正14年に開始され、約100年の長きに亘ってこの影森を始めとする秩父の街の主要産業として現在も続けられています。この駅とこの街が好きで、何度も訪れてはブラブラしているのだが、何というかこう、物静かで押し黙ったままだけど、佇まいからして歴史を感じる街ですよね。