(出雲そば@電鉄出雲市駅)
出雲と言えば出雲そば。出雲そばは、信州の戸隠そばと盛岡のわんこそばと合わせて、日本三大そばの一つに数えられるのだとか。出雲のそばは、冷涼な山間部で育てられた蕎麦の実を使って作られていて、皮ごと引いた引きぐるみの粉を使って打つことに特徴があります。蕎麦の実を丸ごと使っているので、更科系のように蕎麦の実の芯の部分の上等な部分だけを使った白っぽいそばと比べると、色が濃く香りが高い。出雲そばは漆器の器(割子)に重ねて出す「割子そば」のスタイルが有名で、割子の器をいくつもいくつも重ねて食べるのが流儀。こちらのおそば屋さんでも三枚重ねの割子そばを注文しましたが、そばに生卵の黄身ってのも、そばが黄身の味に負けてしまいそうですが、少し甘めの汁と引きぐるみで香りが強いそばと合わせるから出来るんでしょうね。奥出雲を走るJR木次線の亀嵩駅には駅付きのそば屋があって、「亀嵩そば」なんて名前で有名です。もうすぐ運行が休止となる「奥出雲おろち号」に乗って食べに行ってみたかったものですが。
電鉄出雲市駅と、7000系急行松江しんじ湖温泉行き。電鉄出雲市の駅は、JRの駅が高架化されたときに一緒に高架化されたらしく、頭端式の串型ホーム1面2線がJR駅の少し東側に立っています。昔は一畑百貨店と一緒に駅があったらしいのですが、そういう色気みたいなものは高架化された際に置いて来たようで、ホームは何もなく少し殺風景な感じもするね。階段を下りた1階が改札になっていて、あくまでホームは列車に乗る用事のためだけにある感じ。
階下の改札兼待合室。殺風景なホームとは対照的に、改札にいる駅員さん、改札口を抜けて行く普段使いの学生には「はい、お疲れさん」、旅人風情の私には「はい、いらっしゃい」と言葉を使い分けている。丁寧だなぁと思うと同時に、改札の人間が「ちゃんと人を見ている」事の緊張感だよな。最近そこをなくしてる現場が多いからさ。
この日は後はひたすら一畑電車を全線乗り潰しDay。気になったところがあればちょこちょこ降りてみようかな。この出雲行、比較的天気に恵まれて、そこだけは申し分なかった。めちゃくちゃ暑かったのは確かですが、これを書いている今がもう10月。すっかり朝晩は肌寒くなってしまいましたね。あの暑さが少しだけ恋しくもあります。
雲州平田で降りたり、一畑口で降りてみたり。この日は、朝に松江しんじ湖温泉に行ったスーパーライナーの7000系がバラされて北松江線の日中に単行で投入されていました。こういう経済的な使い方が出来るのが両運車の7000系の良いところでしょうし、正直、夏休み期間中の昼間なんかは京王の5000系の2両じゃもったいない程度の流動しかないのでしょうね。のったりと駅南側のシーサスを渡って一畑口の駅に入って来る7000系。何とはなしのワンシーンですが気に入っていて、今の私のPCの壁紙になっている一枚です。
待合室から一畑口を出て行く7000系を見送る。ちょっと懐かしい製菓会社の広告が入ったベンチ。果たしてこれは長年ここにあるものなのか、それとも映画の撮影かなんかで使われたものなのか・・・富山地鉄と同様、この一畑電車も映画「RAILWAYS」の舞台となったことで有名です。有名です、とか言っておきながら自分は一畑の回も地鉄の回も一回も見たことはないんだけど。地方私鉄は映画で見るもんではなくて、行って乗るもんでしょ!(笑)。
半分クロス、半分ロングのシートが進行方向に向かって千鳥式に配置されている7000系の車内。夏休みの学生たち、部活なのか塾通いか、ひとまずスマホに興じる姿は日本中どこでも同じだね。正直、午前中に大社線で乗った京王の5000系もだいぶ年数が経過している車両ですし、この酷暑でクーラーの効きが悪かったりしたので、学生さんたちの通学環境は大幅に改善されたのではないでしょうか。クーラーが効いた新しいきれいな車両、都会に居たら当たり前のものだけど、地方私鉄ではなかなかそうはいかないですからねえ。