(高社山雲隠れ@夜間瀬~上条間)
折角スタッドレスを履いているので、冬だし、雪のあるところでしっかりと冬らしい写真を撮りたい。ということで、急に思い立って夜中に家を抜けだした深夜1時。雪を見るなら信州に行って、久し振りに小田急HiSEこと長電1000系ゆけむり号でもサクッと摘まんでこようかなというお手軽プラン。深夜の高速は最寄りのICから下仁田まで。先日冷やかした下仁田の駅をちらりと横目に、グイグイと真夜中の内山峠。佐久。雪なし。温泉休憩で早朝の戸倉上山田。雪なし。千曲から長野市内。当然のように雪なし。中野を過ぎて、夜間瀬川の扇状地に上がったあたりでようやっとリンゴ畑にうっすらと雪が積もっているという状態。地元民に言わせれば、降らないわけではないということなんだが、とにかくの異常な暖冬で降ってもすぐ溶けて全く根雪にならないとのこと。これが2月の上旬か?と我が目を疑うばかりの上条ストレート手前、風景としては3月の半ばくらいだろうか。もう信州に通い始めてから15年くらいは経つのだろうけど、年々雪は少なくなり、そして冬が心底「寒いなあ・・・!」と思う日々は、普段の暮らしの中でも段々と減っているように思う。ああ、雪よいずこ、冬よいずこ。
高社山は雲をかぶってへそを曲げているし、雪景色と鉄道を撮影しに来たのに、この地肌の見えっぷりがつくづく残念な山ノ内界隈。遠くから踏切の鐘の音に混じって、コトン、コトン・・・カタン、カタン・・・タタン、タタン・・・と独特の連接台車のリズムを刻みながら、ゆけむり号の足音が、遠ざかったり近くなったりしながら迫って来る。多摩丘陵の高台で、子供の頃から聞いていた耳に馴染んだその音色は、何度聞いてもいいものである。本家では、VSEの完全引退により失われてしまったサウンド。全国的にも、保守が面倒な連接台車は軌道線以外では消滅の傾向にあり、非常に貴重な鉄道の奏でる「音の財産」の一つと思います。