青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

黄金差すホームにて。

2025年01月18日 00時00分00秒 | 野岩鉄道・会津鉄道

(午後の陽射し、雪凍る築堤にて@男鹿高原~会津高原尾瀬口)

午前中に鬼怒川温泉へ下った後は、昼の運用を東武から直通のリバティに任せ、午後遅くなってから会津高原へ戻って来る6050系。昔は日中も浅草からの東武快速が1時間に1本程度は直通してきてくれたものだが、東武側から普通列車の野岩直通が切られた2年前の大減便は大きくこの付近の鉄道での行動範囲を狭めてしまった。東武側の6050系の後継である20400系は未だに野岩線内の運用実績がないように思うのだが、入線試験もしなかったというあたりに何となく察せられるところがある。大減便ダイヤは、もちろんコロナで需要が減退してしまった・・・ということもそうなんだろうけど、東武から乗り入れて貰って走らせることによって発生する東武からの車両賃料を圧縮したいという思惑もあったのではないかと勘繰ってしまう。東武からの直通を整理したことで、運用車両数が充足出来なくなった野岩鉄道が、この2本の6050系の末裔だけで済ませることが出来るくらいの運用数にダイヤを整理してしまったというのは考えが穿ち過ぎか。

雪が凍ったホーム、足元を気にしながら鬼怒川温泉方面へ向かうお客さん。駅までは誰かしらが車に乗せて送って来てもらっているようだ。この滝の原の集落はそう大きな集落ではないが、中山峠を越えて立岩や檜枝岐の村からは一番近い鉄道の駅でもある。本州の中でもこの辺りは相当に海から遠い地域だと思うが、そんな山里の暮らしも鉄道が通ることによって大きく変わったのだろう。冬の間は、浅草から「スノーパル23:45」なんていう臨時電車が会津高原のたかつえスキー場向けに走ったりもしてますよね。冬の週末のみの臨時便ですが、23:45に浅草を出て、車中泊をしてから朝に会津高原尾瀬口の駅からバスでスキー場まで連れってってくれる。このパターンが夏だと沼山峠からの尾瀬トレッキング向けの「尾瀬夜行」になるんですよね。いずれにしても、沿線住民による大幅な利用増が期待できる状況にはない路線。観光振興に一役買うしかないのが宿命でもある。

山里の冬の陽射しは早くも山の端に掛かり始め、茜色を帯びる会津高原尾瀬口のホーム。こういう冬の低い低い光線を反逆光くらいで仕上げるのが好きだ。赤味がかった光が雪に跳ね返って、黄金を帯びて来る。「ここから先のホームには電車が止まりません」なんて掠れて褪せた文字が浮かぶ看板の向こうに、この日は電車が止まっていた。この年末年始はスカイツリートレインを含めて4連の列車が2本も野岩線内に入線していたのだから、それくらい異例のことだ。集客効果や実際の利用動向はどうだったのだろうか。私たちのような一回の鉄道ファンの満足だけでなく、実需のある形での結果が表れていることを期待したいものだが。

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