青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。写真はおおめ、文章はこいめ、コメントはすくなめ。

津軽を喰らう、これが弘前の台所。

2025年03月01日 10時00分00秒 | 弘南鉄道

(弘前の台所@虹のマート)

岩木山神社へのお参りを終えて、弘前市街に戻って来ました。これから大鰐線の午後の撮影に向かう前に、少々腹ごしらえ。弘前バスターミナルの前にある「虹のマート」。食料品を中心に色々な店が入る市場のようなマルシェ形式のような、そんな地元密着のマーケットです。方々へ出かけて行くにつれ、最近俄然興味が出て来たのが「その地域に根差した地元のスーパー巡り」。駅の物産館やサービスエリアの「お使い物」のお土産じゃなくて、地元資本のスーパーで地元の人の中で流通するような「普段使いのアイテム」を拾うのは楽しいもの。最近は素泊まりの旅館に宿泊して、風呂に入ってのんびり地元スーパーで調達したツマミで一献傾けるのが好きなスタイルになって来た。もちろん1泊2食の上げ膳据え膳もいいんだけど、どうしてもカメラを抱えているとね。夜まであっちゃこっちゃ歩いてしまうことが多くなってしまうから・・・進んで行こう旅先スーパー、進んで買おう地元の商品。

時刻は月曜日のちょうどお昼時。店内は、通りを挟んで小さな商店がひしめき合って並ぶ仲見世的構造になっていて、店ごとに色々な生鮮品や農産物に乾物、そして総菜、弁当、パンやお菓子、そして雑貨などが所狭しと並べられては積み上げられ、その中を妙齢の弘前マダムが品定めをしながら練り歩いている。事前のリサーチでは、朝から開いていて、昼くらいにピークが来て、夕方は生鮮品を売る店なんかは早めに売り切れちゃって半分店じまいみたいになってる・・・という情報を得ていたので、いつもならば線路っぱたでカメラ振り回している時間帯なんだがあえてここに来てみたのだ。乾物屋さんの目の前に立ってるだけで、なんとまあ乾物の品ぞろえの多いこと。スルメ、イカくん、むきたら、たらカワ、干しホタテ、根昆布、エイヒレ、かんかい・・・?というのはおそらくコマイのことだな。

そして見てくれこの海鮮。さすが青森。津軽海峡や陸奥湾や日本海の冬の海で揉まれた魚がそれこそ足の踏み場もないくらい並べられていて。北は羅臼のマガレイ、寿都の生カスベ、八森のハタハタ、深浦のノドグロ、陸奥湾のホタテ、ミズダコ、キンキ、閖上(ゆりあげ)のアカガイ、十三湖のシジミ、大きく太ったマダラに真っ白な白子!こっちでは「タツ」なんて言うみたいだが。エラや内臓なんかも「じゃっぱ」として売られていて、これを湯に落としてぬめりを取り、好みの野菜と味噌で炊いたのがじゃっぱ汁。冬のタラは余すところのない魚だということが分かる。ああ、クルマで来ててクーラーボックスでもあれば入るだけ買って帰りたかったけど!さすがに家まででっけえタラを丸のまんま引きずって帰る訳にも行かねえからなあ。

こちらのお店では青森の小泊産の生の本マグロ。身がきれい。青森の小泊と言えば、竜飛岬の西側の漁師町。五所川原から津軽中里の駅前を通って弘南バスで2時間くらいかかる辺境の街である。青森と言えば「大間のマグロ」ばかりがクローズアップされるのだけど、大間の対岸の北海道の戸井だったり、青森の西海岸の小泊や深浦もマグロのブランディングに努めていると聞く。「虹のマート」のいいところは、お店で買ったものを中のイートインのスペースで食べていけるところなので、一人前のパック盛りになってる刺身に目が行く。この店では、マグロもいいのだけど津軽サーモンというのが目に入って思わずこちらを一本釣り。

焼き立ての焼き魚の詰め合わせのお惣菜。これもうまそうだ。いがめんち。出来立てのものがどさっと店先に並べられた。並べられたものが、弘前の民の手に取られて飛ぶように売れて行く。あっちこっちでこう食欲を煽るロケーションばかりで、東海林さだおじゃないが「あれも食いたいこれも食いたい」になってしまう。心を落ち着けて、さすがに焼き魚の詰め合わせを食うのは一人では量が多かろうということで、焼き魚は単品モノからチョイス。いがめんちも昨日食ったけど、こちらのはこちらのでまた美味しそうだ。でも3コは多いんだよなあ・・・と思いきや、1コでも売ってくれるみたいなのでじゃあそれで。

お惣菜の店で「ホタテの炊き込みご飯」のおにぎりを買って、私の「虹のマートスペシャル」が完成。カスベの焼きもの、津軽サーモンのお刺身、大きないがめんち、そしてホタテご飯。津軽サーモンのお刺身も良かったけども、特にこん中ではカスベ焼き物が美味いわー。エイなんかあんまり美味いもんだと思ってなかったよね。身が繊維質でしっかりと噛み応えあるんだけど、例えるなら銀鱈くらい脂ある。たぶん、これで自宅に戻って近所の魚屋でたまに売ってるカスベとか焼いたってこんな味にはならんのだろうなあ。カスベってガンギエイのことだけど、エイなんかは少しでも鮮度が悪くなるとアンモニア臭くなるなんて言われますが、さすがこっちのほうで売ってるもんは鮮度が違うのか臭みなんかは全くない。身も美味しいんだけど、骨も軟骨でバリバリ食えて美味かった。大きなエイヒレみたいな味がして。まあ、エイヒレなんですけど。

津軽を喰らう、これが弘前の台所。虹のマート、末永く続いて欲しい弘前の活気あるスーパーであります。

 


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