青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

真夏の近江熱風録 キング・オブ・ガチャコン編

2013年07月21日 09時15分18秒 | 近江鉄道

(キング・オブ・ガチャコン@近江鉄道226型)

さて、ひとしきり高宮駅で「ローカル私鉄の駅が持ついい雰囲気」を堪能した後は、折り返しの多賀線電車でまずは終点の多賀大社前へ。多賀線の折り返し運用に入っているのは前項でも触れました近江鉄道220型電車226号。西武グループらしくライオンズカラーをまとったコンパクトな17m車両で、流動の少ない線区や時間帯を効率的に埋めてくれる、痒いところに手が届く小回りの効いたナイスガイであります。

 

ちなみに高宮からこの電車に乗ったのはアタクシ一人だけでございまして…(笑)。小回りが利くと言ってもこれではちょいと寂しいか。多賀線は終点まで2.5km足らずの盲腸線ですが、その中間駅の名前は「スクリーン」。知らずに来たらちょっと衝撃的な名前である。せめて「前」くらい付けても良かったんじゃねーのかとw。別にこの駅で降りても映画館がある訳ではなく、これも先ほどの「フジテック前」と同様、プリント基板製作を主業とする大日本スクリーン彦根事業所に隣接して開設された駅でもあります。しかし英単語だけで完結してしまう駅名って日本で他にあるんかいな。あ、ハウステンボスとかスペースワールドみたいなのは除外ね。

  

多賀大社前駅。地元自治体のコミュニティセンターと併設された形の駅舎で、見てくれはそこそこ立派な建物。駅には臨時改札口もある3面2線のホームは、やはり正月の初詣等の多客対応などを意識して作られているものと思われます。多賀大社の門前町をそぞろ歩きながら思うに、多賀と言えば私的には多賀大社より名神高速道路の多賀SAの方が有名なんですけどねえ。その昔から東名の足柄上りと多賀下りにだけはレストイン(宿泊休憩施設)があって、高速道路地図パンフでベッドのマークが付いているSAって相当珍しいものでしたからね。ちなみに多賀大社前駅から多賀SAまでは900mくらいで、歩いても行けるみたいですよ。看板立ってましたから。

  

徒歩10分ちょっとで多賀大社到着。なるほど「お多賀さん」と言われて全国の信仰を集めるだけの立派な神社である。イザナギ・イザナミノミコトがお祭りされており、「お伊勢参らばお多賀へ参れ お伊勢お多賀の子でござる」との言葉もあるとか。なんか境内に柱が乱立していてちょっと景観を損なうのだが、来月初旬に行われる「万灯祭」の準備のためらしい。お賽銭を投げて二礼二拝一礼。病気の平癒と家内安全、そして皆様の趣味活動のますます活発ならん事を祈願させていただきました(笑)。


参拝を終え、駅に戻ると再び226型が入線して参りました。この車両、見掛けはかわいらしくリアルBトレインショーティーって感じの風貌なんですが、走らせると「カァァァァァ~ン!」と言う豪快な吊り掛けサウンドを奏でるそのギャップにクラクラします。台車こそ新しい空気バネ台車(西武系でおなじみの住友のFS台車)を履いているものの、駆動装置が以前から近江鉄道で使われていた旧型車のモーターなので、空気バネでありながら吊り掛け駆動と言うマニアにはたまらない珍車。その他の部品も、側板や付属機器などは廃車からの流用品を借りつつ、前面と運転台だけは新製して彦根の工場でくっつけているので、色んな時代の色んな車両の部品が新造部品と合わさった歴史年表のような車両になっています。まあそれをやってのける彦根工場の改造能力は凄いって事ですか。

  

正面から見ると、この226型は大きなスノープロウを履いていて、それがまたアクセントの一つになってますね。これは、冬場はラッセル車の代わりとして働いたりもするからなんだそうです。冬は米原のあたりも結構雪が降りますからねえ…あと、この小さな体で両運転台って特性を買われて工場内の入れ替えのためにアント代わりとして使われたり、ある時はホキを引いて工臨として走ったりもするそうで、まさに生い立ちから生き様まで何でもアリの何でも屋。やる事なす事全部がガチャガチャしている、まさしくキング・オブ・ガチャコン電車。小柄な体に流用部品をまとい、体の割に大きなパンタを構えているその姿を見ていると、何となく親会社の西武にいたE31型を思い出しますよ。あれはれっきとした機関車だったけどね。

個人的にはこの車両がワムハチみたいな有蓋貨車とタンク車とか引いて、混合列車として走ったら似合うんだろうなあ…と思ったりもします。
そんなイベントやったら、真っ先に近江に駆けつけねばならんだろうなw

次回へ続く。
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