青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

未来へ架ける橋

2019年03月06日 17時00分00秒 | 弘南鉄道

(雪晴れの丘を行く@津軽大沢~松木平間)

十和田の山々をバックに、東急7000が松木平への坂道を上がって来ました。弘前に来てから、晴れベースで初めて編成っぽい写真を撮れたような気がします。今回の津軽行、地吹雪から晴れ間まで気象的にも色々なシチュエーションが楽しめました。ラッセルがきれいに路面の雪をさらっていったので、前面のスノープロウから路面までのクリアランスが確保されて、スッキリと足回りが見やすくなりました。


再び三たびの石川高架橋。今度は時間があったので、インカーブから見上げるようなアングルで構えてみました。ところどころに補修の跡が残る開業以来の構造物は、鳥居型のコンクリートのトレッスルを組んだ側壁のない高架橋。いくらコンクリートの構造物とは言え、気象条件の厳しい北国では老朽化も早そうで、維持管理が大変なのではないかと思われる。下を走るJR側からも安全対策を求められたこともあり、最近になって補助金により大規模な補修が行われたと聞きます。


青空の石川高架橋を、ひらりと超えて行く大鰐行き。大鰐線の将来的な見通しを考えたとき、設備の保守管理にかかる費用を勘案すると、この長大な(弘南鉄道的には)高架橋の老朽化というものは大きなネックになって来そうな感じもある。そうなってくると、地方の中小私鉄はどこも設備は地元自治体が公共物として管理し、運行を鉄道会社が担うという「上下分離方式」によって「社会インフラ」としていかない限りは、どこもなかなか厳しいのであろうなと。逆に言えば、赤字黒字の議論だけじゃなくて、この橋がきちんと維持される公共交通の体制作りこそが、大鰐線の「未来へ架ける橋」なのかもしれません。


ラッセルを撮り終わってからは、ちょっとアテもなくフラフラしてしまったので無難な編成撮りばかり芸になってしまった。今回の大鰐線は、弘前市街の撮影が少なかったかなと言うのが反省点。朝の30分間隔の時間帯にもうちょっと市街に突っ込んでおけば良かったんだけど、これは次回への宿題かもしれません。大鰐線最長の橋梁である平川の鉄橋を渡る7040編成。ヘッドマークに書かれた「さっパス」とは、大鰐駅前の温泉「ワニcome」の入浴券と往復乗車券がセットになった企画乗車券のことです。


お岩木山をバックに、平川の鉄橋へのアプローチを登って行く7037編成。帯なしのスッピン顔のこの編成が、一番東急7000系の雰囲気を残しています。1時間に1本の運行でも、車内の何とはなしの閑散さがお分かりいただけますでしょうか…。廃止の話はいったん立ち消えになってはいますけど、中央弘前から途中駅の千年辺りまでは弘前BTから弘南バスが20分に1本は走っているし、大鰐から弘前まで2駅15分のJRと、13駅30分の大鰐線では近距離・遠距離の需要とも拾えないんだろうなあと言うのが正直なところ。頼みの綱の学生も、少子化に伴う生徒数の急減に伴って先行きは決して明るくはないようですが。

ただ、単純な交通政策論で消えて行くだけの路線をいくつも見て来た身としては、自身の記事にすることで魅力が少しでも伝わればなあと思ってはいる。短い路線ではあるけど、弘前の旧市街や沿線の雰囲気に見どころはあるし、原型に近い東急7000が活躍する姿はノスタルジックだけじゃなくて単純にカッコいいですよ。ワニだけに、噛みついたら離さないくらいの魅力はあると思います(笑)。

おいでよ、大鰐線。乗るなら、今だよ。
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