青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

地方私鉄の苦労と苦悩。

2023年07月01日 10時00分00秒 | 上信電鉄

(安全の証、ミドリ十字@吉井駅)

上信電鉄の駅に大きく垂れさがっているミドリ十字の旗。工事現場とか交通事業体なんかでよく見るこの旗は、「株式会社日本緑十字社」というところが作っている「安全衛生旗」というものらしい。構内踏切の向こう、ちょっと古めかしいトタン屋根とモルタルの駅。その改札口に、大きな緑の旗が良くマッチしている。この旗一枚風になびいているだけで、いかにも「現場!」という感じが強くなるからだろうか。

吉井駅の、おそらくは元貨物ホームであったスペースには、現在上信電鉄の施設区(保線の詰所)が設置されています。無数に積み上げられたレールの継ぎ目の部品や枕木、安全帯や絶縁のためのゴム手袋なんかが大量に干ささっている様子を見ると、男の職場だなあって感じがします。この日も上信電鉄の保線職員がトラックから荷物を積み下ろししている光景を見ましたが、全国の地方私鉄、運転や駅務だけでなく、どこも保線作業や饋電管理に充当出来る職員の数も予算も相当に厳しいのが現状です。実際、上信の線路ってのはなかなか揺れますんで、保線と言っても本当にダメなところを交換して持たせる、みたいなギリギリのところでやってるんだと思いますが・・・夏暑く冬寒い屋外作業、作業環境も危険と隣り合わせですから、大変な仕事です。

日々の保線が、未来に繋がるそのレール。小学生の下校の時間。電車通学なんだね。彼が大人になるまで、鉄路は残っているだろうか。それとも、免許を取ったら、もう電車なんか使わないだろうか。そういう意味では、日本一自家用車の所有率が高い群馬県の地方鉄道ですから、ここからどうやって存続して行くのかって大事な話。富岡市内も国道254号のバイパスがどんどん東へ伸びていて、これが藤岡まで繋がるようだと相当に日々の人流は変わりそうですしね・・・。

そんな群馬県、何かと鉄道に対する政策は充実していて、県のブレインが総合交通政策の中で中長期的なビジョンを発表していたりする。この日に使った「ぐんまワンデーパス」も「GunMaas」というアプリでスマートフォン購入したのだが、こういう交通補助事業も群馬県の肝煎りの事業。そもそも富岡製糸場の世界遺産認定で群馬県が補助金で上信電鉄に導入したのがこの7000系。新車プレゼントだもん、気前がいいよね。


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