青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

秋の京都、洛北に続く鉄路へ。

2024年11月02日 17時00分00秒 | 叡山電鉄

(カップルの聖地@秋の鴨川)

長々と夏の九州遠征の話をしていたら11月になっていた。まあ、夏の九州遠征以降大したことをしていなかったからいいんだけどさ。秋になると、やたらと三連休があるのがいいとこでもあるけど、特に9月は最近天候が安定しない+半期の締めで仕事が忙しい+夏にお金を使い過ぎてサイフが寒いという三重苦で実質何も出来ないことが多いんですよね。少し前までは秋は富山に行くことが多かったのだが、富山は8月のアタマに行ったのでちと間隔が短いなあと。ここのところはリピーター路線もいいのだけど、意識して「乗っていない路線」を潰し込むことも大事かなあってんで、初秋の京都に行ってきました。毎度おなじみ新横浜始発の「ひかり533号」で2時間。あっという間の京都である。初秋、って言っても10月の三連休なんだが、気温とか木々の色付きなんかは9月だったような。自分の子供の頃と比べて、季節の進みが一ヶ月遅いんだよね。夏が5月と9月に出っ張って来てて、その分春と秋が引っ込んでる。

朝もはよから元気なカップルとインバウンドだらけの鴨川を渡って、やって来たのは出町柳駅。はい、今日は京都の洛北・鞍馬や比叡山に向かう叡山電車に乗りに来たんですよね。叡山電車、昔は京福電気鉄道の傘下にあって、出町柳からの叡山本線と鞍馬線、そして四条大宮と北野白梅町から嵐山へ向かう嵐電が京福電鉄の「京」の部分を担っておりました(「福」の部分は現在のえちぜん鉄道)。隣県とはいえ、路線を接することなく鉄道事業を行っていた経緯は、両社が「京都電燈」という電力会社の傘下にあったことによります。京都電燈は、京都では蹴上発電所、福井では九頭竜川水系の水力発電所を経営しており、安定した電力の消費先としてそれぞれの府県での鉄道経営が選ばれた・・・と言う訳です。それにしても、新幹線で京都着いてから出町柳って行くのめんどくせえよな。JR京都→地下鉄烏丸線で烏丸御池→地下鉄東西線に乗り換えて三条京阪→京阪鴨東線に乗り換えて出町柳が正しいんだろうけど、乗り換えも面倒だし京阪電車の運賃も勿体ねえから地下鉄烏丸線の今出川から出町柳まで歩いてしまったよ。歩いても同志社大学の前を通って20分くらいだし。

叡山電車の出町柳の駅は、串型ホームの4面4線。何となくこう、せせこましさの中にホームごとの乗降機能を切り分けている感じに、江ノ電の鎌倉駅がフラッシュバックする。どちらも古都を走る伝統の中小私鉄、という共通点がそうさせるのであろうか。地下には京阪電車の鴨東(おうとう)線の出町柳駅があって、京都市内中心部や大阪方面へのアクセスを担っています。京阪電車が三条~出町柳間の2.3kmを開通させたのは1989年(平成元年)のことですが、1978年(昭和53年)の京都市電全廃以来、叡山電車は長いこと鉄道線との接続のない離れ小島となっていました。離れ小島となった叡山本線・鞍馬線は当然ながら経営が傾き、1985年に京福電気鉄道からの分社化によって経営の立て直しを図るもはかばかしい効果は得られませんでした。89年、悲願の鴨東線開通により客足の回復は図られたものの、最終的には積み上げてしまった累積の負債を解消するために1991年(平成3年)に京阪が大幅な出資比率の引き上げをおこない叡電を救済。2003年に100%出資となり、叡山電鉄は京阪の完全子会社となっています。

駅のホームの右側は、鞍馬まで行く2両編成が止まるホーム。左側の短いホームは、途中の宝ヶ池から分岐して八瀬比叡山口に向かう1両編成の電車が止まるホーム。この2系統が交互に発車していくダイヤになっていて、分岐駅の宝ヶ池までは日中でもかなりの頻繁運転がおこなわれています。ちなみに、1両より2両の方が格上っぽい感じもありますが、実際は出町柳~宝ヶ池~八瀬比叡山口が叡山「本線」で、宝ヶ池~鞍馬は鞍馬線なのであくまで支線の扱いなんですよね。なんにせよ「叡山」電鉄なので、比叡山に向かう線路が本線筋という理解になる。鞍馬方面と比叡山方面、ただ、どっちのほうがお客さん多いんだろう・・・と考えると、宝ヶ池から先も京都市内の住宅街になっている鞍馬線の方が沿線住民+観光客の効果で乗客の流動が強いように思う。だからこそ鞍馬行きが2連の運用なんだろうし。

どっちに乗って行くか決めかねていたのだが、とりあえず先に出る八瀬比叡山口行きに乗ってみることに。寺社仏閣だらけの古都の駅でも、ホームにハロウィンの飾りつけは日本らしいよなあ。深い藍色の単車は叡山電鉄の700系。叡電の旧型車や京阪電鉄京津線で余剰となった旧型車などの足回りを使い、新造のボディを乗せて阪神電鉄傘下の武庫川車両工業で仕上げたワンマン対応の車両。現在は京阪の子会社ですが、叡電自体の車両は京福電鉄時代から繋がりのある武庫川車両工業のものが多いみたいです。福井の京福も、阪神電鉄から譲り受けた車両を結構使ってましたからねえ。

好天の秋の三連休ですから、単行の車内は観光客と地元の乗客と学生でほぼ満員の混雑。
洛北に続く鉄路を、ひとまず宝ヶ池まで乗ってみます。

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